今回は脊椎動物とその種類について学んでいこう。

動物はおおきく脊椎動物と無脊椎動物に分けることができる。以前の記事では無脊椎動物について紹介したが、今回は脊椎動物のほうをみてみよう。中学理科でも必須の学習項目です。

今回も、大学で分類学を中心に学んでいた現役講師のオノヅカユウに解説してもらう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

脊椎動物とは?

脊椎動物とは?

image by Study-Z編集部

脊椎動物とは、体に背骨をもっている動物のことをさします。背骨のことを脊椎というので、このような名前です。

脊椎(背骨)は小さな椎骨(ついこつ)という骨がつながってできてできています。人間の脊椎を構成する椎骨は約30個。頭に近いほうから、頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙椎(せんつい)、尾椎(びつい)という名前もついていますね。

脊椎は体の軸となるだけでなく、とくに直立二足歩行をする人間にとっては体を支えるのに必要不可欠な構造体です。

また、中枢神経系として脳と脊髄をもつことや、血液が赤いことなども、脊椎動物に広くあてはまる特徴といえます。

動物界の中の脊椎動物

脊椎動物にふくまれている生物について詳しく見ていく前に、まずは動物界のなかでの脊椎動物の位置づけを確認しておきましょう。

脊椎動物は正確に言えば、動物界の中の脊索動物門にふくまれている、脊椎動物亜門というグループのことになります。「脊椎」とよく似た言葉である「脊索」とは何なのでしょうか?

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脊索とは?

脊索とは、生物の発生過程で生じる、棒状の構造物です。受精卵が細胞分裂をおこない、胚の発生がある程度進むと、この脊索ができてきます。脊索が生じるのとほぼ同じタイミングで、脊索に沿うようにして生じるのが神経管(将来の中枢神経系)です。簡単に言えば、脊索があるおかげで神経管が場所を間違えずにつくられるんですね。

さらに、神経管の位置が決まることで、その個体の背中側と腹側が明確になり、体軸の基礎となるのです。体の構造を決定する、とても重要なものなんですよ。

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話を元に戻しましょう。脊椎動物は脊索動物門にふくまれていますので、胚が発生するときには脊索が生じます。面白いことに、ほとんどの脊椎動物では体が形成されるにつれて脊索の周りに骨ができ、最終的に脊索自体は退化してしまうのです。ここで脊索の周りにできた骨というのが、脊椎になります。

そう、脊椎は脊索があった場所に、それと置き換わるようにしてできた骨なんです。脊椎動物が脊索動物の中の一グループであるということは、当たり前だといえますね。

脊索の存在以外にも、脊索動物には共通する特徴があります。が、今回は脊椎動物がテーマですので、脊索動物の話はこれくらいにしておきましょう。

脊椎動物の分類

脊椎動物は大きく5つのグループに分けて考えることができます。魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類です。以下に、それぞれのグループをみていきましょう。

魚類

おなじみの魚の仲間、魚類です。魚類で特筆すべきは、脊椎動物の中で唯一手足をもっていない生物生物のグループであること。手や足ではなく、鰭(ひれ)ですよね。このことから、脊椎動物のうち魚類以外の生物をまとめて四肢動物とよぶこともあります。

魚類はさらに3つのグループに分けられることが多いです。一般的な魚がふくまれる硬骨魚類、サメやエイなどの仲間がふくまれる軟骨魚類、そしてヤツメウナギやヌタウナギなどがふくまれる無顎類。ぜひ覚えておきましょう。

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両生類

両生類は、脊椎動物亜門両生綱にふくまれる生物のことを指します。生活や繁殖をするために水中と陸上の両方の環境を必要とする動物です。陸上に上がる可能性があるので、四肢の骨や体重を支えるための腰の骨などが発達しました。

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現生の両生類も、大きく3つのグループに細分されます。無尾目、有尾目、無足目です。無尾目は尻尾の無い両生類、つまりカエルの仲間のこと。有尾目は尻尾の有る両生類、つまりイモリやサンショウウオの仲間のことです。無足目はアシナシイモリという、四肢の退化してしまった不思議な両生類のグループになっています。

爬虫類

脊椎動物亜門爬虫綱に属しているのが爬虫類です。「爬」という漢字には「(四肢で)はう」という意味があり、爬虫類の特徴をよく表していると思うのですが、常用漢字ではないため「は虫類」という表記をされるほうが多いですね。

カメ目ワニ目有鱗目ムカシトカゲ目の大きく4グループに分けられます。有鱗目が最大のグループですが、ここにはトカゲの仲間、ヘビの仲間、ミズトカゲの仲間がふくまれているんです。

また、絶滅してしまった恐竜たちも爬虫類の仲間。過去の地球で長く頂点に君臨した動物群といえるでしょう。

鳥類

鳥の仲間、鳥類は羽毛のはえた翼をもち、空を自由に飛び回ることのできる動物ですね。卵生であることやくちばしをもつことなどは鳥類ならではの特徴ですが、恒温性であることなどは哺乳類と共通しています。また、心臓の構造も2心房2心室で、哺乳類と同じです。

\次のページで「哺乳類」を解説!/

image by iStockphoto

現生の鳥類は、スズメ目タカ目ツル目など数多くの目に細分されています。世界に生息している種数は1万種ほどであるといわれることが多いです。

また、恐竜をはじめとする古生物の研究から、「鳥類は恐竜の仲間が生き残って現在まで存続し続けたグループである可能性が高い」ということがわかってきました。そのため、鳥類を「爬虫類の中に含まれる1グループである」と説明する文献もあります。

哺乳類

私たち人間を含んだグループ、哺乳類。脊椎動物の特徴としてご紹介した「背骨をもつ」ことや、「中枢神経系(脳と脊髄)がある」こと、「血液が赤い」ことなどがいずれも当てはまりますね。

哺乳類独自の特徴は、乳腺から分泌する乳(母乳)で子どもを育てることです。また、ほとんどが胎生であることや、大脳が特に大きく発達していることなどが特筆すべきポイントとして紹介されます。

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哺乳類の中にも、有袋類アフリカ獣類ローラシア獣類などさまざなまグループがあります。私たち人間が含まれているのは、真主齧類の中の霊長目。ヒト科ヒト属のヒトという生物です。

実は、脊椎動物は動物界の中でもほんの一握り

脊椎動物はとても身近な生き物のグループです。ところが、種数でみると動物界全体のうち、脊椎動物が占めるのはわずか5%ほどといわれています。

つまり95%ほどは無脊椎動物ということになりますが、それでも脊椎動物の仲間が生態系内で及ぼす影響は絶大です。自然界で動物たちがどのように生活しているのかを知るためには、脊椎動物・無脊椎動物両方のことろ学ぶ必要があるでしょう。

イラスト使用元:いらすとや

" /> 脊椎動物にはどんな種類の生き物がいる?現役講師がさくっとわかりやすく解説! – Study-Z
理科生物生物の分類・進化

脊椎動物にはどんな種類の生き物がいる?現役講師がさくっとわかりやすく解説!

今回は脊椎動物とその種類について学んでいこう。

動物はおおきく脊椎動物と無脊椎動物に分けることができる。以前の記事では無脊椎動物について紹介したが、今回は脊椎動物のほうをみてみよう。中学理科でも必須の学習項目です。

今回も、大学で分類学を中心に学んでいた現役講師のオノヅカユウに解説してもらう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

脊椎動物とは?

脊椎動物とは?

image by Study-Z編集部

脊椎動物とは、体に背骨をもっている動物のことをさします。背骨のことを脊椎というので、このような名前です。

脊椎(背骨)は小さな椎骨(ついこつ)という骨がつながってできてできています。人間の脊椎を構成する椎骨は約30個。頭に近いほうから、頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙椎(せんつい)、尾椎(びつい)という名前もついていますね。

脊椎は体の軸となるだけでなく、とくに直立二足歩行をする人間にとっては体を支えるのに必要不可欠な構造体です。

また、中枢神経系として脳と脊髄をもつことや、血液が赤いことなども、脊椎動物に広くあてはまる特徴といえます。

動物界の中の脊椎動物

脊椎動物にふくまれている生物について詳しく見ていく前に、まずは動物界のなかでの脊椎動物の位置づけを確認しておきましょう。

脊椎動物は正確に言えば、動物界の中の脊索動物門にふくまれている、脊椎動物亜門というグループのことになります。「脊椎」とよく似た言葉である「脊索」とは何なのでしょうか?

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