今回は「気体の種類と性質」について詳しく勉強していこう。

化学反応には気体の発生がつきものですね。そこで今回は中学で習う気体をまとめて復習しておこう。

ここをおさえることでテストでは確実に部分点を狙えるようになるんです。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.そもそも気体って何?

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そもそも気体というのは物質名ではなく、物質の状態をあらわす言葉です。例えば H2O という物質があったとき、これは固体・液体・気体という三態のうちどれを意味しているかわかりませんよね。しかし、別の表記としては  H2O(液) とすることで名称と状態を明確にすることができるのです。(一般的に水蒸気といえば水の気体、ドライアイスといえば二酸化炭素の固体のように明らかな場合はこのような表記を用いない場合もあります。)

気体分子は空間を自由に飛び回り、圧力によって体積は増減します。これは分子の振動や熱エネルギーの解説でもお話ししましたね。カタチがないというのは固体や液体と大きく異なる点でしょう。気体ならではの特徴といえますね。

2.気体の性質・特徴とは?

最も身近な空気で考えてみると、目には見えず、においも特に感じず、どこにでも存在しています。しかしこの空気というものは混合物であり、その中には窒素や酸素、二酸化炭素といった単体や化合物の気体が含まれているのがわかるでしょう。それぞれの気体には異なる特徴があり、性質も様々です。今回はこれら単体・化合物としての気体の性質に注目していきます。

2-1.におい

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気体のにおいで覚えておきたいのは主に2種類、硫黄臭と刺激臭です。硫黄臭は卵の腐ったようなにおいともいわれ、いわゆる温泉地で嗅ぐことのできるにおいですね。そして刺激臭は鼻につんとくるようなにおいで、嗅ぐときには注意が必要です。実験に使う試薬や生成物は、においが強かったり有毒な気体の可能性もあるので、においを嗅ぐとき「手で扇いで嗅ぐように!」と言われますよね。

ここで特徴的な気体を挙げておきましょう。

硫黄臭:硫化水素
刺激臭:アンモニア、塩素、塩化水素、二酸化硫黄

また、酸素の同素体であるオゾンは生臭く特徴的なにおいをもつ物質として覚えておくといいですね。

空気自体は無臭でも、普段嗅いでいる美味しそうなご飯のにおい、雨のにおい、香水のにおいなども揮発性(液体が気体になりやすい性質)をもつ物質が関係しているんですよ。

2-2.色

続いて色についても見ていきましょう。空気には色がなく、気体そのものは空間中に拡散してしまうものであるために、気体の色を意識することは少ないかもしれません。しかし、代表的な色のある気体については暗記しておくといいでしょう。ただし、テストへの出題頻度は低めといえそうです。

\次のページで「2-3.重さ」を解説!/

淡い青色:オゾン
黄緑色:塩素
淡い黄色:フッ素
赤褐色:二酸化窒素

2-3.重さ

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気体にも重さがあるという話を気体の捕集法に関する記事で解説しましたね。空気を基準にしたとき、重い気体は下方、軽い気体は上方へ集まります。簡単に説明すると、テーマパークなどでもらった風船(中にはヘリウムガス)は翌日まで浮いているのに、自分で膨らませた風船(中には呼気である二酸化炭素)を浮かせるのは難しいでしょう。これは、中に入っている気体の重さが違うからなのです。気体の重さの考え方についてはこちらを確認してくださいね。

さて、いくつか例を挙げてみましょう。

重い気体:酸素、二酸化炭素、塩素
空気とほぼ同じ:窒素(空気のほとんどは窒素)
軽い気体:ヘリウム、水素、アンモニア

2-4.水への溶けやすさ

気体の重さとセットで考えたいのが水への溶けやすさです。これを覚えることで気体の捕集法の選択に役立ちます。「~~という実験の装置図として適切な図を選べ」というような問題に出されることがありますよね。

これらは水に溶けやすいものと、溶けることで何になるのかを覚えるのがコツです。

水に溶けやすい気体:アンモニア(アンモニア水溶液)、塩化水素(塩酸)、二酸化炭素(炭酸)

(カッコ)は水溶液になった物質を指します。気体が溶質、水が溶媒ということですね。水に溶かすことで気体の性質が明確になる場合があるので、追記しておきましょう。

アンモニア:水に溶けてアルカリ性を示す
塩化水素、二酸化炭素:水に溶けて酸性を示す

\次のページで「2-5.燃えやすさ」を解説!/

2-5.燃えやすさ

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火との関係で気体を特定する方法は実験でもよく用いられていますよね。ここでは簡単にまとめておきましょう。

酸素:火のついた線香を近づけると炎が大きくなる、激しく燃える など
水素:火のついた線香を近づけるとポンと音を出して燃える
二酸化炭素:火のついた線香を近づけると火が消える

2-6.その他

ここまでで解説した以外の性質をもつ気体があります。

石灰水の白濁:二酸化炭素
漂白作用:塩素、二酸化硫黄、オゾン

このほかに各種試験紙による反応などさまざまですが、代表的なものだけでも覚えておくといいですね。さらに理解を深めたい人は「塩素 オゾン ヨウ素カリウムデンプン紙」「二酸化硫黄 酢酸鉛試験紙」で調べてみましょう。

3.頻出気体の覚え方

最後に気体の性質の覚え方について解説します。これ以外にも様々な単元で使える方法なので、試してみてくださいね。

3-1.実験と関連付けて覚える

3-1.実験と関連付けて覚える

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得意な理科を伸ばしたいという人、これから新しく覚えていく内容については実験との関連で覚えることが大切です。気体それぞれをバラバラで覚えるより、頭の中で木を育てるように知識をつなげていく方が忘れにくくなりますよ。応用問題への対応力を求めるのであればこの方法が一番でしょう。

気をつけたいのは、関連付けて覚えたために「思い込みで問題を解いてしまうこと」です。問題は1つずつ条件や数値が異なります。出題傾向のパターンを覚えることは大切ですが、問題をよく読むことを怠ってはいけませんよ。

3-2.表で覚える

新しい実験や気体を習う度に1つ1つ覚えていければそれがいいのですが、理科に苦手意識がある人は表で重要なポイントを中心に覚えるのがおすすめです。中学理科のテスト、とくに化学分野は計算問題が難しいとされがちですよね。しかし、小問題は基本的な知識で解ける問題が多いので諦めてはいけませんよ。

また、テスト前の総復習として標を活用するのもいいでしょう。図や表は短時間で頭に入るので、自分に合った方法で試してみましょう!

気体の性質を覚えて得点アップを目指そう

テストによく出る酸素や水素、アンモニアなどを覚えるのは基本中の基本ですよね。色のある気体、刺激臭のある気体、水によく溶ける気体など、他の気体と区別できるような特徴をもつものは覚えておくだけでも得点になるでしょう。

しかし、より大きな得点を狙うのであれば、性質・特徴を理解したうえでどのようにそれを証明するのか、どのように実験を進めるのが最適かを見極める必要があります。ただ丸暗記するのではなく、応用までを理解してこそ大きな得点につながるのです。例えば、二酸化炭素は空気よりも重いので下方置換法、もしくは水にはそれほど溶けない(「炭酸」があるように、多少は溶ける)ので水上置換法でもいいでしょう。しかし気体そのものの捕集が目的なのではなく、気体の同定が目的であれば石灰水が濁ることでその証明ができます。それであれば気体を石灰水に溶け込ませるように実験装置をセッティングするのが相応しいといえますね。このように考えられれば覚えた知識が活きてくるでしょう。

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化学物質の状態・構成・変化理科

「気体」の種類と性質を復習!頻出ワードを元塾講師がわかりやすく解説

今回は「気体の種類と性質」について詳しく勉強していこう。

化学反応には気体の発生がつきものですね。そこで今回は中学で習う気体をまとめて復習しておこう。

ここをおさえることでテストでは確実に部分点を狙えるようになるんです。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.そもそも気体って何?

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そもそも気体というのは物質名ではなく、物質の状態をあらわす言葉です。例えば H2O という物質があったとき、これは固体・液体・気体という三態のうちどれを意味しているかわかりませんよね。しかし、別の表記としては  H2O(液) とすることで名称と状態を明確にすることができるのです。(一般的に水蒸気といえば水の気体、ドライアイスといえば二酸化炭素の固体のように明らかな場合はこのような表記を用いない場合もあります。)

気体分子は空間を自由に飛び回り、圧力によって体積は増減します。これは分子の振動や熱エネルギーの解説でもお話ししましたね。カタチがないというのは固体や液体と大きく異なる点でしょう。気体ならではの特徴といえますね。

2.気体の性質・特徴とは?

最も身近な空気で考えてみると、目には見えず、においも特に感じず、どこにでも存在しています。しかしこの空気というものは混合物であり、その中には窒素や酸素、二酸化炭素といった単体や化合物の気体が含まれているのがわかるでしょう。それぞれの気体には異なる特徴があり、性質も様々です。今回はこれら単体・化合物としての気体の性質に注目していきます。

2-1.におい

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気体のにおいで覚えておきたいのは主に2種類、硫黄臭と刺激臭です。硫黄臭は卵の腐ったようなにおいともいわれ、いわゆる温泉地で嗅ぐことのできるにおいですね。そして刺激臭は鼻につんとくるようなにおいで、嗅ぐときには注意が必要です。実験に使う試薬や生成物は、においが強かったり有毒な気体の可能性もあるので、においを嗅ぐとき「手で扇いで嗅ぐように!」と言われますよね。

ここで特徴的な気体を挙げておきましょう。

硫黄臭:硫化水素
刺激臭:アンモニア、塩素、塩化水素、二酸化硫黄

また、酸素の同素体であるオゾンは生臭く特徴的なにおいをもつ物質として覚えておくといいですね。

空気自体は無臭でも、普段嗅いでいる美味しそうなご飯のにおい、雨のにおい、香水のにおいなども揮発性(液体が気体になりやすい性質)をもつ物質が関係しているんですよ。

2-2.色

続いて色についても見ていきましょう。空気には色がなく、気体そのものは空間中に拡散してしまうものであるために、気体の色を意識することは少ないかもしれません。しかし、代表的な色のある気体については暗記しておくといいでしょう。ただし、テストへの出題頻度は低めといえそうです。

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