今回は「単細胞生物」について勉強します。

単細胞生物(たんさいぼうせいぶつ)とは簡単に説明するとひとつの細胞で体ができた生物のことです。単細胞生物として知られているのはアメーバ、ゾウリムシなどです。また酵母や細菌などの菌も単細胞生物に含まれているぞ。一体単細胞生物とはどんな生き物でどんな種類がいるのでしょうか?また単細胞以外の生物にどんなものがいるのでしょう?

それでは大学時代に家庭教師として中学生に単細胞生物について教えていたというたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

実験や文献を読むことを通して新しい発見をするのが好きな国立大学院工学部出身のリケジョ。卒論発表トップバッターで緊張しすぎて質疑応答で噛みまくったのが苦い思い出の科学館職員。

単細胞生物と多細胞生物

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生物は体を構成する細胞の数によって単細胞生物多細胞生物に分類されています。これは生物を学ぶ上で大切な基礎知識です。

単細胞についての理解を深めるためにまず、単細胞生物と多細胞生物について比較しながら学んでいきましょう。

単細胞生物

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コトバンクによると単細胞生物とは「単細胞で生活している生物の総称」とされています。簡単に言うと単細胞細胞とは1個の細胞で体が構成されている生物のことです。

単細胞生物とはどれくらいの大きさの生物なのでしょうか?比較的大きな単細胞生物としてアメーバ(100μm程度)、ゾウリムシ(150μm程度)などがいます。では中学校の理科の授業でおなじみのミジンコは単細胞生物と多細胞生物のどちらに分類されているでしょうか?単細胞かと思いきや実は多細胞生物です。一方、小さな単細胞生物としては大腸菌、枯草菌などがいます。

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単細胞生物はどんな生殖方法で増えているのでしょうか?単細胞生物は細胞分裂(体が2つ以上に分裂)がメインで出芽(母体から芽が出量にふくらみ、離れていく)、胞子生殖(胞子によって個体が増える)などによって個体が増える種もいます。受精による人間の生殖方法とは大きく異なっていますね。

単細胞生物には原核生物真核生物がいます。原核生物と真核生物の最大のポイントは「核膜に包まれた核があるのか」ということ。核膜に包まれた核がないのが原核生物、包まれた核があるのが真核生物です。

原核生物の例

 細菌:大腸菌・枯草菌など

 藍藻(ラン藻)類:光合成をおこなう細菌

真核生物の例

 原生動物:原虫とも呼ばれるミドリムシ、アメーバ、ゾウリムシなど

 酵母:真菌類の一種

 珪藻類(ケイ藻類):細胞の中にたくさんの葉緑体を持ち光合成を行う

 接合藻類:ミカヅキモなど

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多細胞生物

単細胞生物はひとつの細胞ですべての役割を果たします。一方、多細胞生物はいろいろな働きを持つ多くの細胞が集まって体を構成する生物です。細胞が集まって組織、器官、そして生物の体を作っています。体にいろいろな臓器を持つ人間はもちろん多細胞生物になりますね。

単細胞生物、こんな生き物がいる

単細胞生物にはどんな生き物がいるのでしょうか?代表的な単細胞生物を紹介します。

アメーバ

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アメーバとは単体細胞のうち、仮足(足の役割をする突き出した部分)を使って移動する原生生物のことです。細胞が形を変形させ仮足を伸ばし、そちらの方へ細胞質が流れるように動くこの運動はアメーバ運動と呼ばれています。このアメーバ運動は白血球も行っているのです。

アメーバはどんな生態の生き物なのでしょうか。大型のアメーバは1㎜を超えますが、大体は10~100㎛程度の大きさをしています。アメーバは淡水や土壌の中で生活しているのです。中には病原性を持つアメーバもいます。増殖の方法は分裂で、微生物を餌としている生物です。

ゾウリムシ

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細長い形をした生き物で、英語でslipper animalculeというゾウリムシ。スリッパが草履と訳されたのですね。ちなみにanimalculeとは微小動物を意味しています。

南極以外の世界中ほとんどの場所にいるゾウリムシを発見したのはレーウェンフックです。レーウェンフックといえば顕微鏡を使って初めて微生物を確認した人物ですね。

レーウェンフックについてはこちらの記事をどうぞ。

ゾウリムシの大きさは長さが90~150μm、幅が40㎛ほど。体の表面にはたくさんの繊毛(細胞の運動に必要なもの、短い毛で本数が多い物)があるのです。ゾウリムシは無性生殖(分裂)、有性生殖(接合)の両方の生殖をおこなうことができます。

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ミカヅキモ

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その形状からミカヅキモと名前を付けられた真核生物で接合藻類に分類されます。田んぼや池などで比較的簡単に見つけることができ、教科書でもおなじみの生物ですね。無性生殖、有性生殖の両方で増えることができます。ミカヅキモの大きさは大きさは0.5㎜ほど。葉緑体を持ち、セルロースでできた細胞壁もあります。

酵母

おいしいお酒やパンができるのは酵母による発酵のおかげです。酵母と人間の付き合いは長く、近年ではバイオ燃料として酵母が発酵したバイオエタノールが注目されていますね。

酵母は真核生物で細胞壁を持っています。球形や楕円形の形をしていて、研究室では寒天を使った寒天培地で培養し、実験に活用しているのです。

バイオ燃料、バイオエタノールについてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

大腸菌

腸内細菌の一種で、長さは大きくても4.0㎛ほど。その名の通り人間の台帳に生息しています。基本的には無害ですが、大腸以外の場所に入ると病原菌となってしまうのです。

食中毒を引き起こす菌類は病原性大腸菌と呼ばれます。1996年に大規模な食中毒を起こしたのが病原性大腸菌のO-157でした。

単細胞生物はひとりでなんでもこなす働き者

ひとつの細胞でからだができた単細胞生物、単細胞とは時に人を馬鹿にするようなニュアンスで使われることもありますね。しかし、単細胞生物はひとつの細胞でなんでもこなす働き者の細胞なのです。

ゾウリムシやアメーバもおいしい発酵食品を作り酵母も腸内にいる大腸菌も同じ単細胞生物になります。比較的大きな単細胞生物は理科の授業でおなじみなものが多いですね。単細胞には原核生物と真核生物がいましたね。原核生物はみんな単細胞生物になりますが、真核生物は単細胞生物にも多細胞生物にもいます。原核生物と真核生物の違いは押さえておいてくださいね。

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理科生物生物の分類・進化

3分で簡単「単細胞生物」はどんな生物?科学館職員がわかりやすく説明

今回は「単細胞生物」について勉強します。

単細胞生物(たんさいぼうせいぶつ)とは簡単に説明するとひとつの細胞で体ができた生物のことです。単細胞生物として知られているのはアメーバ、ゾウリムシなどです。また酵母や細菌などの菌も単細胞生物に含まれているぞ。一体単細胞生物とはどんな生き物でどんな種類がいるのでしょうか?また単細胞以外の生物にどんなものがいるのでしょう?

それでは大学時代に家庭教師として中学生に単細胞生物について教えていたというたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

実験や文献を読むことを通して新しい発見をするのが好きな国立大学院工学部出身のリケジョ。卒論発表トップバッターで緊張しすぎて質疑応答で噛みまくったのが苦い思い出の科学館職員。

単細胞生物と多細胞生物

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生物は体を構成する細胞の数によって単細胞生物多細胞生物に分類されています。これは生物を学ぶ上で大切な基礎知識です。

単細胞についての理解を深めるためにまず、単細胞生物と多細胞生物について比較しながら学んでいきましょう。

単細胞生物

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コトバンクによると単細胞生物とは「単細胞で生活している生物の総称」とされています。簡単に言うと単細胞細胞とは1個の細胞で体が構成されている生物のことです。

単細胞生物とはどれくらいの大きさの生物なのでしょうか?比較的大きな単細胞生物としてアメーバ(100μm程度)、ゾウリムシ(150μm程度)などがいます。では中学校の理科の授業でおなじみのミジンコは単細胞生物と多細胞生物のどちらに分類されているでしょうか?単細胞かと思いきや実は多細胞生物です。一方、小さな単細胞生物としては大腸菌、枯草菌などがいます。

image by Study-Z編集部

単細胞生物はどんな生殖方法で増えているのでしょうか?単細胞生物は細胞分裂(体が2つ以上に分裂)がメインで出芽(母体から芽が出量にふくらみ、離れていく)、胞子生殖(胞子によって個体が増える)などによって個体が増える種もいます。受精による人間の生殖方法とは大きく異なっていますね。

単細胞生物には原核生物真核生物がいます。原核生物と真核生物の最大のポイントは「核膜に包まれた核があるのか」ということ。核膜に包まれた核がないのが原核生物、包まれた核があるのが真核生物です。

原核生物の例

 細菌:大腸菌・枯草菌など

 藍藻(ラン藻)類:光合成をおこなう細菌

真核生物の例

 原生動物:原虫とも呼ばれるミドリムシ、アメーバ、ゾウリムシなど

 酵母:真菌類の一種

 珪藻類(ケイ藻類):細胞の中にたくさんの葉緑体を持ち光合成を行う

 接合藻類:ミカヅキモなど

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