
太陽系外縁天体について
NASA This SVG image was created by Medium69. Cette image SVG a été créée par Medium69. Please credit this : William Crochot – https://herschel.jpl.nasa.gov/solarSystem.shtml, パブリック・ドメイン, リンクによる
太陽系外縁天体とは海王星の軌道よりも外側を周回している天体のことです。彗星の故郷と考えられているオールトの雲を別にして、1930年の冥王星の発見以降、それより遠くの太陽系天体は発見されていませんでした。しかし、1990年代以降観測機器の向上により、冥王星より遠くの天体が続々と発見され続けています。
それにより太陽系外縁天体が多数存在することが判明しました。その中で冥王星に似たような天体が発見され、2006年に冥王星が惑星ではなく準惑星に変更されます。それに伴い冥王星型天体という分類も生まれました。現在も活発に探査が続けられている太陽系外縁天体について見てみましょう。上記の画像は太陽系外縁天体の想像図です。
太陽系外縁天体の基本
現在発見されている太陽系外縁天体は、太陽と地球の距離の約30倍から50倍程度の帯状の領域に集中していて、この領域をエッジワース・カイパーベルトと呼びます。海王星の引力の影響が強く、海王星の公転周期との比率が3:2から2:1の間になっているようです。冥王星のように軌道が大きく傾いていたり、細長い楕円軌道の天体が数多く存在します。
公転周期が海王星と3:2や2:1の場所にあるものが共鳴天体、カイパーベルトの中間にある海王星と特に関係のない天体が古典的外縁天体、カイパーベルトの外側にある大きく伸びた楕円軌道の天体が散乱円盤天体です。散乱円盤天体はカイパーベルト内にあったものが、なんらかの原因で外側に弾き飛ばされた天体だと考えられています。
上記の画像の緑色の点が、現在発見されているエッジワース・カイパーベルト天体です。
冥王星型天体について
Lexicon – Based on the public domain Nasa images: Image:2006-16-d-print.jpg, Image:Orcus art.png. Source Page from 2006: http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/2006/16/image/d You can visually verify that the names and former designations of these objects match up on the image. For example: Eris, former designation 2003 UB313, Makemake, former designation 2005 FY9, and Haumea, former designation 2003 EL61. The references for the names can all be found here, at the Minor Planets Center: just type Eris, Makemake, Haumea, etc. in the box and click “get ephemerides”, and beside each one is the link “show naming citation”., CC 表示-継承 3.0, リンクによる
冥王星は、似たような天体が太陽系外縁天体にいくつも見つかったことにより準惑星に変更されました。現在準惑星にはケレス、冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアの5つが分類されています。しかし、ケレスは火星と木星の間にある小惑星帯にあり、天体としての性質も太陽系外縁天体にあるものとは少し違うようです。そのためケレスを除いた4つの準惑星を冥王星型天体と呼んでいます。
したがって、現在冥王星型天体と呼ばれるものは冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアの4つです。エリスは冥王星とほぼ同じサイズの天体で、黄道面より44度の傾いた軌道を約560年で公転しています。ハウメアは28度ほど傾いた楕円軌道を約282年で公転していて、大きさが2000×1500×1000キロメートルと歪な形状をしているようです。マケマケは直径約1500キロメートルで、22度ほど傾いた軌道を公転し周期は約307年になります。
上記の画像は比較的大きな太陽系外縁天体と月、地球の比較画像です。この画像では上の段の4つが冥王星型天体になります。
2014MU69について
NASA/Johns Hopkins Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute, National Optical Astronomy Observatory – https://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/ultima-thule-1-ca06_022219.png, パブリック・ドメイン, リンクによる
冥王星を探査したニューホライズンズは、他の太陽系外縁天体にも接近探査をしていて、それが上記画像の2014MU69と呼ばれる天体です。全体の直径は31キロメートルほどで、直径約19キロメートルと約14キロメートルの二つの天体が結合した形をしています。太陽から約66億キロメートルのところを公転していて、周期は約300年です。
太陽系外縁天体にはめずらしくかなり円に近い軌道で、黄道面に対してもそれほど傾いていません。そのような理由から古典的外縁天体であると考えられているようです。二つの天体がくっついたような形をしていますが、昔は二つの天体は完全に分離していて、その二つの天体が徐々に近づいていき合体したと考えられています。
太陽系のフロンティア

image by Study-Z編集部
冥王星と太陽系外縁天体は、現在の人類にとって太陽系の最前線です。人類にとって太陽系はここまで広がったとも言えるかと思います。もちろんエッジワース・カイパーベルトで終りではなく、どうやらその先にも比較的大きな天体が存在しいるようです。このように、宇宙自体の観測も徐々に遠くに伸びていますが、太陽系の観測も同じようにより遠くへ広がっていっています。
つまり人類の地図は現在も日々更新されているということです。どこまでいけるのかは誰にもわかりませんが、今しばらく人類の地図は広がり続けるでしょう。