地学

「冥王星」と「太陽系外縁天体」を理系ライターが丁寧に解説

よぉ、桜木建二だ。今回は冥王星と太陽系外縁天体について解説していくぞ。

冥王星はともかく、太陽系外縁天体については聞いたことがない人も多いと思う。それもそのはずで、太陽系外縁天体が発見され始めたのは1990代以降のことであり、つい最近まで人類はその存在を知らなかったのだ。

太陽系外縁天体の発見が進んだことにより、冥王星は惑星から準惑星に変更になった。そして現在では、冥王星は人類が始めて発見した太陽系外縁天体とされている。この記事では、新しい研究分野である冥王星と太陽系外縁天体について学んで見よう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

冥王星について

image by iStockphoto

冥王星は2006年まで太陽系第9惑星とされていたのですが、のちほど紹介する太陽系外縁天体に冥王星と似たような天体がいくつも発見されたことにより、現在では準惑星に分類されています。つまり冥王星は一番有名な太陽系外縁天体である準惑星となりました。準惑星というと惑星より重要ではないような気がしますが、太陽系外縁天体も重要な天体群ですので、冥王星も惑星の時と変わらず重要な天体です。

冥王星は2015年7月に探査機ニューホライズンズが比較的近距離で探査を行っていて、以前に比べると多少のことはわかっています。とはいっても、やはり地球から遠い天体であることにかわりはなく、その観測は容易ではありません。冥王星についてわかっているいくつかのことを紹介してみましょう。ついでに冥王星の巨大な衛星カロンについても簡単に触れておきます。

冥王星の基本

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NASA/JHUAPL/SWRI – http://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/crop_p_color2_enhanced_release.png (Converted to JPEG), パブリック・ドメイン, リンクによる

冥王星はかなり歪んだ楕円軌道をしていて、軌道長半径が約60億キロメートル、軌道短半径が約58億キロメートルです。公転周期は約248年になります。赤道面での直径が2370キロメートルで、地球の20パーセント以下、月の70パーセント以下とかなり小さい天体です。そのため質量も1.3×10の22乗キログラムと、地球の0.2パーセント程度しかありません。

他の天体と大きく違うのが軌道の傾きです。冥王星以外の惑星は大体同じ平面上で運動していて、この面を黄道面といいます。しかし、冥王星は黄道面から17度も傾いた軌道を回っているのです。このような惑星は冥王星以外存在しません。これも冥王星が準惑星に変更になった理由の一つです。黄道面より大きく傾いた軌道の天体が存在することは、太陽系外縁天体の特徴の一つになります。

ニューホライズンズによる冥王星の探査

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NASA/JHU APL/SwRI – http://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/15-152.png, パブリック・ドメイン, リンクによる

2015年7月に探査機ニューホライズンズが冥王星に接近し、多くの新発見がありました。その一部を紹介します。重要な点は、月よりも小さい冥王星は、地質学的活動が完全に終了した冷え切った天体だと考えられていましたが、ニューホラインズンズにより活発な地質学的活動が存在することが確認されたことです。

上記の画像は冥王星の赤道付近の画像ですが、明らかに山や平原が存在します。その他にも氷河が流れたような後も見つかっているようです。山のように見えるものは、窒素が凍った氷の海に浮いている水の氷だと考えられています。さらにひび割れのような巨大な裂け目も見つかっていて、これは冥王星の膨張による地形かもしれません。

冥王星の南極付近に大きな窪みも発見されました。2つの山の頂にあり、その裾野は100キロメートルにもおよびます。これは氷の火山のカルデラではないかという説があるそうです。氷の火山とは溶岩のかわりに、一酸化炭素や水の氷を含んだ液体窒素の混ざったものが噴出す火山になります。ちなみに、もし氷の火山だった場合、その熱源はまったくの謎です。

冥王星の大気は予想よりもかなり希薄なようですが、窒素を主成分とするため太陽の光を散乱し、地球と同じように青く輝いてることがわかりました。なんと太陽から地球より40倍も離れた冥王星にも青空が存在するようです。

冥王星の衛星カロンについて

2015年7月14日にニュー・ホライズンズが撮影。
NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute – http://pluto.jhuapl.edu/Multimedia/Science-Photos/image.php?gallery_id=2&image_id=323 (see also http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA19968), パブリック・ドメイン, リンクによる

冥王星には現在5つの衛星が知られていますが、その中でも重要な第1衛星であるカロンについて紹介します。カロンは直径約1200キロメートルと冥王星の約半分の大きさです。これは衛星としては非常に大きく、密度も冥王星とほぼ同じであるため、二つの天体の重心は冥王星の上空1200キロメートルのところにあります。そのため冥王星を連天体と見なすこともあるようです。

海王星は表面の主成分がメタンなどの氷だと考えられていますが、カロンは水の氷だと考えられています。なぜ海王星とカロンでこのような顕著な差があるのかわかっていません。ニューホライズンズの探査によって冥王星と同様クレーターが少ないことが発見され、カロンにも地質学的活動が存在する可能性がでてきました。

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冥王星は単体で見ると惑星のような天体だが、軌道が特殊なため準惑星に分類されている。それにしても、こんなにも遠い天体の地形の画像が見られるなんて驚きだ。太陽から非常に遠い月より小さな天体で、いったいなぜ地質活動があるのだろう。極寒の世界の地質活動とはどんなものだろうか。

地質活動の原因はいったい何だろうか。惑星から準惑星に変更にはなったが、天体としての興味深さはより大きくなったと言えるだろう。

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