今回は「非金属」元素について勉強します。

元素は「非金属」元素と「金属」元素に分類することができる。金属元素はその名の通り金や銀、鉄やアルミニウムなど身の回りにある金属を構成する元素のことです。では「非金属」元素はどんな元素のことかわかるか?非金属元素を学ぶことは化学結合や物質の理解につながるので分からない奴はぜひここで覚えていってくれ。

それでは非金属元素の性質や種類について、本屋に行くととりあえず理工書コーナーで化学や元素の本を見ているという10年以上の元素マニア、たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

中学時代、酸素はO2として酸素分子になるのに鉄は分子を作らないことが不思議だった。高校、大学で原子や元素周期表についで学び、その魅力に惹かれたリケジョ。高校時代の得意科目は化学と現代国語、苦手科目は物理だった。パワーポイントを使うのが得意なため、大学でのプレゼンテーション発表の科目はそこそこよかった。

周期表と「非金属」元素、「金属」元素

周期表と「非金属」元素、「金属」元素

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まず、「非金属」元素「金属」元素の違いから説明していきます。


周期表を見てください。横に7行、縦に18列となっていますね。この横の行を周期縦の列を族といいます。周期表の左上にある元素番号1番の水素、そして周期表の右側の方にあるオレンジ色の元素が非金属に分類されている元素です。そして残りの緑色の元素が金属元素となります。非金属元素と金属元素の違いはどういうイオンになるのか、どういう結合をするのかということがポイントです。

周期表や元素についてはこちらの記事も見てくださいね。

おさらい イオンや結合に関わる最外殻電子

おさらい イオンや結合に関わる最外殻電子

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イオンや結合を理解するポイントは最外殻電子にあります。そこで、ここでちょっと最外殻電子についておさらいしましょう。原子は原子核陽子中性子)と電子から構成されています。そして最外殻電子とは原子核の周りにある電子殻のうち最も外側にある最外殻に入った電子のことです。

最外殻電子とイオンや結合との関係についてを、塩素とナトリウムを例に説明していきます。塩素とナトリウムでは塩素が非金属ナトリウムが金属元素です。塩素は3つの電子殻(K殻、L殻、M殻)を持ち、最外殻のM殻には7個の電子が入っています。この塩素の最外殻は8個の電子が入ると安定するため、7個しか入っていない状態では不安定な状態です。そのため、塩素元素は1つの電子を取り入れて陰イオンとなります。そしてナトリウムは最外電子殻に電子が8つ入るところ1つしかなく、電子を放出することで安定した陽イオンになるのです。

非金属同士が結合して物質を作る時は共有結合し、足りない電子を共有しあって分子を作ります。塩素(Cl)原子がふたつで塩素分子を作るのです。一方、金属元素は金属結合によって結晶を作ります。金属結合では最外殻にある電子が自由に動き回り、すべての原子で共有しあって単体のNaとなるのです。ちなみに金属に電気が流れるのは原子の中を自由に動き回る自由電子のおかげ。そして、非金属元素と金属元素はそれぞれがイオンとなってイオン結合します(NaCl)。

\次のページで「まずはこれを覚える!よく出てくる非金属元素」を解説!/

まずはこれを覚える!よく出てくる非金属元素

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非金属元素は金属元素より少ないですが、それでも20種類以上あります。化学を学び始めたばかりの段階なら、この元素すべてを覚える必要はありません。まずは以下に挙げた教科書に登場する化合物によく含まれている元素や、特徴的な族から覚えていきましょう。

最も軽く最も多い元素、水素

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元素記号と聞いてH、水素を思い浮かべる人も多いでしょう。元素番号1番の水素は太陽系に最も多く存在する元素です。水素元素は単体の水素分子はもちろん、水や有機物などいろんな物質を構成しています。また最近は環境にやさしいエネルギーとして水素燃料が注目を集めていますね。

水素分子は燃えやすい酸素と反応して水を作るといった特徴を持っています。そんな水素についてもっと詳しく知りたい人は次の記事も読んでみてくださいね。

鉛筆の芯からダイヤモンドまで、炭素

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空気中にある二酸化炭素、毎日使う鉛筆の芯、そしてダイヤモンド。このすべてが炭素からできています。1本100円くらいの鉛筆と高級宝石のダイヤモンドの違いはその構造が違うだけで価値も電気伝導性も全く違う物質となっているのです。これを同素体と言うのでしたね。そして、この炭素を燃やすと二酸化炭素になります。

炭素は水素と共に有機化学を学ぶ時に必ず登場する元素です。なぜならそもそも有機物とは炭素鎖を骨格としている物質だから。炭素の性質はしっかりと覚えてくださいね。また基本的な炭素鎖であるアルカン、アルケン、アルキンについては以下の記事を参考にしてください。

大気中で大きな割合を占める、窒素

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アンモニアにも含まれている窒素。空気中に最も多く存在しているのが窒素で、その割合は75%以上です。通常窒素分子は気体ですが、‐200℃くらいまで冷やすと液体となります。液体窒素は物質をしっかりと冷やしたいときや低温条件で実験したいときなどに使われ、化学実験に欠かせない物質です。

その一方、酸化物である二酸化窒素は環境汚染につながる物質として、その対策が求められています。窒素については次の記事も読んでみてくださいね。

思いっきり吸いたい、酸素

酸素といえば生物の生存に欠かせない物質です。しかし空気中で最も多いのは酸素ではなく窒素という事は先ほど説明しましたね。酸素は窒素に続いて2番目に多い物質で、窒素と酸素だけで空気の99%を占めています。そして酸素は地殻に存在する元素の中で一番多い物質です。近くに存在する元素の割合をクラーク数と呼び、

酸素(46.6%)>ケイ素(27.7%)>アルミニウム(8.1%)>鉄(5.0%)

という順になっているので覚えておきましょう。

臭いが気になる?硫黄

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硫黄といいえば硫酸H2SO4)や、硫化水素H2S)などに含まれています。硫化水素は火山ガスや硫黄温泉にも含まれている物質で、腐乱臭があるうえに毒性があるので注意が必要です。

また硫黄には斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄と同素体が多く存在しています。他の同素体(S(硫黄)、C(炭素)、O(酸素)P(リン))とあせてその名前や性質をしっかりと覚えておきましょう。

\次のページで「ハロゲン」を解説!/

ハロゲン

17族にある元素はハロゲンと呼ばれています。ハロゲンにはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンがあり、1価の陰イオンになるのが特徴です。フッ素の反応性・酸化力が最も強く、原子番号が大きくなるほど弱くなっていきます。

ハロゲンの単体やハロゲンと水素が化合してできたハロゲン化水素は、よく教科書や試験に登場する物質です。特に塩素は塩化水素、塩化ナトリウムなどよく教科書に登場する化合物も多いので、しっかりと性質を理解してください。

希ガス

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周期表の一番右端にある18族の元素が希ガスです。希ガスという名前はまれなガス、という意味から付けられました。希ガスにはヘリウムネオンアルゴンクリプトンキセノンラドンそして2015年に新元素と認められたオガネソンがあります。ヘリウムは声が変わるガスとして知られていて、またネオンはあの夜の繁華街で光るせオンサインのネオンのことで意外と身近なところにある元素もありますね。

希ガスは安定しているため、反応しづらいのが特徴です。その性質から、酸素と触れさせたくない実験をする際に実験系を満たすために使われています。

「非金属」はいろいろな物質に変身!

非金属は共有結合やイオン結合をして、様々な物質を作ります。そのため酸素や水素、炭素といった非金属の元素はいろんな化合物としてこれからたくさん登場してくるのです。非金属を理解するには金属元素や周期表だけでなく、結合などに関連する知識も必要となってきます。

化学を学ぶ時、そうなる理由をきちんと理解することはもちろん大切です。しかし、化学にはたくさんの物質や用語が出てきます。理論を深く理解するためにも教科書などをしっかりと読み、理解できない言葉は化学事典などでしっかりと意味を確認してみてください。自分で調べて言葉にまとめる練習をすることは、大学入試の二次試験対策にもなります。

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化学無機物質理科

3分で簡単「非金属」!どんな元素?元家庭教師がわかりやすく説明

今回は「非金属」元素について勉強します。

元素は「非金属」元素と「金属」元素に分類することができる。金属元素はその名の通り金や銀、鉄やアルミニウムなど身の回りにある金属を構成する元素のことです。では「非金属」元素はどんな元素のことかわかるか?非金属元素を学ぶことは化学結合や物質の理解につながるので分からない奴はぜひここで覚えていってくれ。

それでは非金属元素の性質や種類について、本屋に行くととりあえず理工書コーナーで化学や元素の本を見ているという10年以上の元素マニア、たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

中学時代、酸素はO2として酸素分子になるのに鉄は分子を作らないことが不思議だった。高校、大学で原子や元素周期表についで学び、その魅力に惹かれたリケジョ。高校時代の得意科目は化学と現代国語、苦手科目は物理だった。パワーポイントを使うのが得意なため、大学でのプレゼンテーション発表の科目はそこそこよかった。

周期表と「非金属」元素、「金属」元素

周期表と「非金属」元素、「金属」元素

image by Study-Z編集部

まず、「非金属」元素「金属」元素の違いから説明していきます。


周期表を見てください。横に7行、縦に18列となっていますね。この横の行を周期縦の列を族といいます。周期表の左上にある元素番号1番の水素、そして周期表の右側の方にあるオレンジ色の元素が非金属に分類されている元素です。そして残りの緑色の元素が金属元素となります。非金属元素と金属元素の違いはどういうイオンになるのか、どういう結合をするのかということがポイントです。

周期表や元素についてはこちらの記事も見てくださいね。

おさらい イオンや結合に関わる最外殻電子

おさらい イオンや結合に関わる最外殻電子

image by Study-Z編集部

イオンや結合を理解するポイントは最外殻電子にあります。そこで、ここでちょっと最外殻電子についておさらいしましょう。原子は原子核陽子中性子)と電子から構成されています。そして最外殻電子とは原子核の周りにある電子殻のうち最も外側にある最外殻に入った電子のことです。

最外殻電子とイオンや結合との関係についてを、塩素とナトリウムを例に説明していきます。塩素とナトリウムでは塩素が非金属ナトリウムが金属元素です。塩素は3つの電子殻(K殻、L殻、M殻)を持ち、最外殻のM殻には7個の電子が入っています。この塩素の最外殻は8個の電子が入ると安定するため、7個しか入っていない状態では不安定な状態です。そのため、塩素元素は1つの電子を取り入れて陰イオンとなります。そしてナトリウムは最外電子殻に電子が8つ入るところ1つしかなく、電子を放出することで安定した陽イオンになるのです。

非金属同士が結合して物質を作る時は共有結合し、足りない電子を共有しあって分子を作ります。塩素(Cl)原子がふたつで塩素分子を作るのです。一方、金属元素は金属結合によって結晶を作ります。金属結合では最外殻にある電子が自由に動き回り、すべての原子で共有しあって単体のNaとなるのです。ちなみに金属に電気が流れるのは原子の中を自由に動き回る自由電子のおかげ。そして、非金属元素と金属元素はそれぞれがイオンとなってイオン結合します(NaCl)。

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