今回は省エネルギー化を実現する上で重要となる「廃熱利用」について解説していきます。

省エネルギー化を実現するためには、エネルギー同士の変換効率を向上させる必要があるぞ。「廃熱利用」を行うことで、多くの熱機関において、変換効率を向上させることに成功している。したがって、「廃熱利用」は省エネルギー化に直結する技術です。ぜひこの記事を読んで、「廃熱利用」に関する知識を深めてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

廃熱とは?

廃熱とは?

image by Study-Z編集部

火力発電所では、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させたときに発生する熱を利用して、タービンを回し発電機を回して電気を作り出しています。また、自動車は、ガソリンをエンジン内で燃焼させて、発生した熱で動力を作り出しますよね。タービンやエンジンのように、熱エネルギーを動力に変化する装置を、熱機関といいますよ。

そして、このような熱機関は、投入した熱エネルギーをすべて動力に変換することはできずに、一部の熱エネルギーをそのまま捨てることになります。つまり、必ずロスが発生するのです。この捨てられる熱を廃熱と呼びます。また、ゴミの焼却炉や工場で発生した熱なども、従来はそのまま捨てていたので、このような熱も廃熱に分類されますよ。

様々な廃熱利用の事例を紹介!

先ほど紹介した廃熱は、従来の方法ではそのまま大気中に放出され、活用されるということはありませんでした。ところが、省エネルギーへの関心が高まったことなどもあり、これらの廃熱が徐々に活用されるようになったのです。ここでは、様々な廃熱の利用法について解説していきますね。

蒸気タービンを回す

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ガスタービンなどの非常に高い温度で動作する熱機関から放出される熱を利用する方法の一つに、蒸気タービンを回すというものがあります。ガスタービンなどの熱機関から捨てられる熱の温度は、水の沸点よりも十分に高いので、水を利用する蒸気タービンを回すことができるのです。

このような方法は、火力発電所で、すでに導入されています。このように、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて電気を作り出す方法を、ガスコンバインドサイクル発電といいますよ。ガスコンバインドサイクル発電は、従来の火力発電に比べて2倍から3倍の熱効率を実現しています

また、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせる方式だけでなく、蒸気タービンから出される廃熱の一部を回収し、もう一度水の加熱に利用するという方式も存在しますよ。この方式は、再熱サイクル再生サイクルなどと呼ばれています。

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地域暖房に使う

次に紹介するのは、地域暖房です。地域暖房というのは、火力発電所、ゴミの焼却炉、工場などで捨てることになった廃熱を、電気やガスと同じように街で使用するというものですね。このような方法をコージェネレーションシステムとも呼びます。

地域暖房を採用してる地域は多く存在し、廃熱を商業施設やオフィスの暖房に利用したり、家庭で給湯目的で使用していますよ。また、ゴミの焼却炉で発生した熱で、水を温めることで、温水プールを営業している市町村も存在するようです。

燃料電池を加熱する

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燃料電池には、様々な種類があり、その中には高温条件でのみ動作するものがいくつか存在します。固体酸化物型燃料電池(SOFC)溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などが該当していますよ。この種類の燃料電池は、高温で動作するので触媒の役割をする白金が必要としません。白金は希少価値の高い金属で、非常に高価ですよ。

それらの加熱を、火力発電所やゴミの焼却炉、工場からの廃熱によって行うのです。燃料電池は、水素と酸素が結合して水に変化するときに、放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する装置ですね。燃料電池から排出されるの水だけですので、大気汚染などの心配もありません。

熱電変換素子で電気に変換する

最後に、熱電変換素子について紹介します。熱電変換素子は、熱エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する装置ですよ。熱電変換素子の特徴は、可動部がなくメンテナンスが容易なこと動作音がほとんど聞こえない小型軽量化が可能といった点ですね。

このような特徴を活かして、自動車に搭載することで、排ガスに含まれる熱を電気に変換して車内で使うということが可能です。ただし、現在は熱電変換素子を製造する際のコストが非常に高いので、本格的な実用化には至っていません

熱電変換素子の製造コストが高くなってしまうのは、ビスマス、テルルなどの金属を材料として用いるからです。コスト低減のために、代替材料の研究が進められています

\次のページで「廃熱利用の可能性」を解説!/

廃熱利用の可能性

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ここまで、廃熱利用の様々な事例について、紹介してきました。このような方法を利用することで、エネルギー利用の無駄が小さくなり、省エネルギー化に成功した例は数多くありますよ。しかしながら、日本国内で考えた場合でも、まだまだ利用できる廃熱は大量に存在します

これらの廃熱をすべて利用することができれば、さらなる省エネルギーが実現できますよね。特に、家庭用の給湯器、自動車の排ガスからの廃熱を利用するという方法はほとんど普及していません。これらの部門を支える部品、装置などが高価であることが原因です。技術開発、研究などを通して、より安価な材料の発見することが重要だといえるでしょう。

低熱源利用も可能?

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この記事では、主に高温の廃熱を利用する方法を中心に説明をしてきましたが、少し低熱源の利用についても考えていましょう。例えば、冷たい雪解け水などは、低熱源として冷房や冷却などの用途に使用することができますよね

日本国内でも降雪の多い地域では、冬に降った雪を倉庫などに保管しておき、夏に解け残った雪を冷房目的で使用するという事例があるようですよ。また、アウトドアなどの際、野菜や果物を川の水で冷やすことも原始的ではありますが立派な低熱源利用にあたります。

廃熱利用について考察する際の注意は?

廃熱利用は、省エネルギー化を実現する技術の一つであることがわかりましたね。ここで、廃熱利用について考察する際に、注意すべきことを説明します。それは、廃熱はあくまでも副次的に発生するエネルギーだということです。

ゴミの焼却炉を例にとって考えてみましょう。ゴミを焼却する第一の目的は、廃棄物を燃やして体積を小さくすることにあります。廃熱を多く得るために、ゴミを大量に燃やすという考え方は、本末転倒です。これでは、省エネルギーどころか、資源の無駄遣いになってしまいます。つまり。廃熱利用は常に脇役である必要があるのですね。

したがって、廃熱利用を積極的に導入すべき場所は「生活やサービスを支えるために必要不可欠であるが、絶対に廃熱が発生してしまう所」なのです。このような点を考慮して、有効な廃熱利用を拡大することが重要ですよ。

廃熱利用は省エネルギー実現の鍵

私たち人類にとって、省エネルギーの実現は大きな課題です。省エネルギー化において、重要なアプローチの一つが変換効率を向上させることですよね。廃熱利用をすることで、高い変換効率を実現できた事例は数多くあります。

そして、身近なところでも、まだまだ廃熱利用の余地があるのです。お風呂の残り湯さえも廃熱の一つですよね。このように活用されていない廃熱を利用する方法を模索することが、省エネルギー実現への第一歩となります。

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「廃熱利用」ってどういうこと?様々な「廃熱利用」を理系学生ライターが5分でわかりやすく解説

地域暖房に使う

次に紹介するのは、地域暖房です。地域暖房というのは、火力発電所、ゴミの焼却炉、工場などで捨てることになった廃熱を、電気やガスと同じように街で使用するというものですね。このような方法をコージェネレーションシステムとも呼びます。

地域暖房を採用してる地域は多く存在し、廃熱を商業施設やオフィスの暖房に利用したり、家庭で給湯目的で使用していますよ。また、ゴミの焼却炉で発生した熱で、水を温めることで、温水プールを営業している市町村も存在するようです。

燃料電池を加熱する

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燃料電池には、様々な種類があり、その中には高温条件でのみ動作するものがいくつか存在します。固体酸化物型燃料電池(SOFC)溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などが該当していますよ。この種類の燃料電池は、高温で動作するので触媒の役割をする白金が必要としません。白金は希少価値の高い金属で、非常に高価ですよ。

それらの加熱を、火力発電所やゴミの焼却炉、工場からの廃熱によって行うのです。燃料電池は、水素と酸素が結合して水に変化するときに、放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する装置ですね。燃料電池から排出されるの水だけですので、大気汚染などの心配もありません。

熱電変換素子で電気に変換する

最後に、熱電変換素子について紹介します。熱電変換素子は、熱エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する装置ですよ。熱電変換素子の特徴は、可動部がなくメンテナンスが容易なこと動作音がほとんど聞こえない小型軽量化が可能といった点ですね。

このような特徴を活かして、自動車に搭載することで、排ガスに含まれる熱を電気に変換して車内で使うということが可能です。ただし、現在は熱電変換素子を製造する際のコストが非常に高いので、本格的な実用化には至っていません

熱電変換素子の製造コストが高くなってしまうのは、ビスマス、テルルなどの金属を材料として用いるからです。コスト低減のために、代替材料の研究が進められています

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