物理

「廃熱利用」ってどういうこと?様々な「廃熱利用」を理系学生ライターが5分でわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は省エネルギー化を実現する上で重要となる「廃熱利用」について解説していくぞ。

省エネルギー化を実現するためには、エネルギー同士の変換効率を向上させる必要があるぞ。「廃熱利用」を行うことで、多くの熱機関において、変換効率を向上させることに成功している。したがって、「廃熱利用」は省エネルギー化に直結する技術だ。ぜひこの記事を読んで、「廃熱利用」に関する知識を深めてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

廃熱とは?

廃熱とは?

image by Study-Z編集部

火力発電所では、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させたときに発生する熱を利用して、タービンを回し発電機を回して電気を作り出しています。また、自動車は、ガソリンをエンジン内で燃焼させて、発生した熱で動力を作り出しますよね。タービンやエンジンのように、熱エネルギーを動力に変化する装置を、熱機関といいますよ。

そして、このような熱機関は、投入した熱エネルギーをすべて動力に変換することはできずに、一部の熱エネルギーをそのまま捨てることになります。つまり、必ずロスが発生するのです。この捨てられる熱を廃熱と呼びます。また、ゴミの焼却炉や工場で発生した熱なども、従来はそのまま捨てていたので、このような熱も廃熱に分類されますよ。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

利用されることなく、捨てられてしまう熱のことを、廃熱と呼んでいるんだな。

様々な廃熱利用の事例を紹介!

先ほど紹介した廃熱は、従来の方法ではそのまま大気中に放出され、活用されるということはありませんでした。ところが、省エネルギーへの関心が高まったことなどもあり、これらの廃熱が徐々に活用されるようになったのです。ここでは、様々な廃熱の利用法について解説していきますね。

蒸気タービンを回す

image by PIXTA / 59865813

ガスタービンなどの非常に高い温度で動作する熱機関から放出される熱を利用する方法の一つに、蒸気タービンを回すというものがあります。ガスタービンなどの熱機関から捨てられる熱の温度は、水の沸点よりも十分に高いので、水を利用する蒸気タービンを回すことができるのです。

このような方法は、火力発電所で、すでに導入されています。このように、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて電気を作り出す方法を、ガスコンバインドサイクル発電といいますよ。ガスコンバインドサイクル発電は、従来の火力発電に比べて2倍から3倍の熱効率を実現しています

また、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせる方式だけでなく、蒸気タービンから出される廃熱の一部を回収し、もう一度水の加熱に利用するという方式も存在しますよ。この方式は、再熱サイクル再生サイクルなどと呼ばれています。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

廃熱を使って、さらに電気を作り出すんだな。

\次のページで「地域暖房に使う」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: