今回は「ABO式血液型」について勉強します。

占いや輸血でおなじみの血液型。血液型占いではよくA型は几帳面、B型はマイペースなどと血液型によって性格判断がされているな。ところでこの血液型はランダムに決まるわけではない。血液型は遺伝によって決まり、両親や場合によっては祖父母の血液型も影響している。

今回はそんな「ABO式血液型」について、ゆとり教育第1号のため中学生の時に血液について学べず独学したというたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

大学で化学を学んでいたリケジョ。ちょうどゆとり教育が始まった頃に中学生だったため、教科書に遺伝についての記載はあるものの授業では学べなかった。そのため、自分で本を読んでその内容を勉強した。

そもそも血液型とは?

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まず血液型についておさらいしましょう。なお今回は「ABO式血液型」がテーマなので、ヒトの血液型をABABO4種類としてRhなどの分類については省略します。

血液について詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでくださいね。

あなたは多数派?少数派?

あなたは多数派?少数派?

image by Study-Z編集部

日本人の血液型はA型が最も多く4、続くO型が3B型2AB型1程度。ただし、国によってこの割合は異なり、100O型という国もあります(ブラジルやペルーなど)。

世界で見てもA型、O型が多くこの2つの血液型で8割以上を占めているのです。その一方、ほとんどの国でAB型が一番少なく、その割合も10%未満がほとんどとなっています。

4種類の血液型の違い、キーワドーは「抗原」と「抗体」

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血液型で気を付けなくてはいけないのが輸血。なぜなら違う種類の血液が混ざると凝集反応という、抗原と抗体が結合してかたまりを作る反応が起きてしまうからです。

4つの血液型の違いは、それぞれの赤血球に付いた抗原にあります。ちなみに赤血球とは酸素を運ぶ血液細胞のことで、抗原とは抗体によって体から追い出されてしまう免疫反応を引き起こす物質のことです。

血液を混ぜると凝集する場合があるという事に気が付いた病理学者、血清学者のシュタイナーは実験によって血液を分類し、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ちなみにシュタイナーが1901年に発表した論文では血液はA型、B型、C型の3つに分類されています。C型は現在のO型の事です。そしてその翌年、新たな血液型が発見されました。

血液型を決める要素

血液型を決める要素

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赤血球の表面には血液型ごとに決まった抗原が付いています。A型にはA抗原B型にはB抗原が付いているのです。そしてAB型にはA抗原とB抗原の両方が付いていますがO型には抗原が付いていません。血液型は、赤血球についた抗原の種類によって決まるのですね。

そして、血液中の血漿には血液型ごとに決まった抗体が入っています。A抗原に反応する「A抗体」、そしてB抗原に反応する「B抗体」です。ここでちょっとややっこしいのですが、A型の血液には抗B抗体が、B型の血液には抗A抗体が入っています。

そしてO型には抗A抗体と抗B抗体の両方が入っていますが、AB型には抗体が入っていません。抗原とは逆ですね。

混ぜると危険な血液、その違い

もし違う血液同士が混ざるとどうなるのでしょうか?

例えば、A型のヒトの体内にB型やAB型の血液を輸血したとします。輸血された血液(B型、AB型)にはB抗原が入っていますね。そのため、血液中の抗B抗体と反応してしまいます。この反応が先ほど説明した凝集反応です。一方、A型とO型の血液にはB抗原が入っていないため、A型のヒトに輸血しても抗B抗原と反応することはありません。

輸血を受けるのがO型の場合、血液中に抗A抗体も抗B抗体もあるため、A型、B型、AB型のどの血液とも反応してしまいます。そのためO型は何型にも輸血できる血液型でありながら、O型からしか輸血を受けることができません。一方でA抗原もB抗原も持つAB型は何型の血液からでも輸血を受けられる血液です。

このように型は違うけれど凝集反応が怒らない血液を「異型適合血」と呼びます。ただしこれはあくまで理論的な話であり、実際は同じ血液型の血液を輸血するのが基本です。

\次のページで「血液型は遺伝で決まる」を解説!/

血液型は遺伝で決まる

ヒトの血液型はランダムに決められているわけではありません。両親からの遺伝でその血液型が決まるのです。そこで、遺伝と血液型についてを説明していきます。

血液型の組み合わせ

血液型の組み合わせ

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性別は父親から受け継がれる性染色体がXかYかで決まります。なぜなら女性である母親の持つ性染色体は2本ともX染色体のため母親から受け継ぐのは必ずXです。一方、男性である父親はXとY、両方の遺伝子を持っています。そのどちらを受け継ぐのかで子どもの性別が男(X,Y)か女(X,X)か決まるのです。同じように、血液型も両親から受け継いだ遺伝子によって決まります

血液型がA型、B型、O型、AB型の4種類であることは先ほど確認しましたね。このうちO型は両親2人からO型の遺伝子を受け継いだ時のみO型(O,O)になります。一方、両親の片方からA型、もう片方からB型の遺伝子を受け取ったときにAB型(A,B)の子どもが生まれるのです。

そして複雑なのがA型とB型。A型になる時の組み合わせには(A,O)と(A,A)の2パターンがあります。(A,O)は片方からA型、片方からO型の遺伝子を受け取り、(A,A)は両方からA型の遺伝子を受け取ったときになるのです。同様に、B型もB型とO型の遺伝子を(B,O)と両方からB型の遺伝子を受け継いだ(B,B)があります。

血液型と親子の関係

血液型と親子の関係

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両親と子どもの血液型の関係について具体的に説明していきましょぅ。

子どもの血液は、親から受け継いだ血液型に関する遺伝子で決まります。血液型は父、母両方の遺伝子の組み合わせで決まるのです。しかし例えば同じ両親から生まれた兄弟が必ず同じ血液型になるわけではありませんね。なぜなら親自身2つの血液に関する遺伝子を持っていて、その組み合わせによって子供に引き継がれる遺伝子が異なるからです。

例えばA型の父親とB型の母親の場合。父親がのA型が(A,A)の組み合わせの場合と(A,O)の組み合わせの場合があります。同じく母親も(B,B)の組み合わせの場合と(B,O)の組み合わせの場合があるのです。その場合、さらにさかのぼって父型の祖父がO型で祖母がA型なら(A,O)と特定することができますね。表面的な血液型にとらわれず、どういう組み合わせがあり得るかを検証しましょう。

ちなみに、両親がA(A,O)とB(B,O)の場合、子どもは4種類すべての血液型になる可能性があります

例外的な遺伝、シスAB型

例外的な遺伝、シスAB型

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一般的にO型とAB型が親子関係になることはありません。しかし例外としてAB型の親からO型の子が生まれることがあります。それは片方がO型(O,O)で、もう片方がAB型(AB,O)の場合です。

AB型は通常、今まで説明してきたように(A,B)の組み合わせなのですが、(AB,O)という組み合わせという人もいてシスAB型と言われています。ちなみに、シスAB型に対して通常のAB型はトランスAB型というのです。シスAB型の親を持つ子どもはAB型(AB,O)、O型(O,O)のどちらかとなります。かなり稀なケースですが、頭の片隅入れておいてくださいね。

\次のページで「血液型はこうやって決まる!」を解説!/

血液型はこうやって決まる!

血液型は血液に含まれる抗原で決まります。輸血の際に異なる血液型を混ぜてはいけないのは、凝集反応が起こってしまうからです。そのメカニズムをしっかりと抑えましょう。

また、血液の遺伝については試験にもよく出る重要な項目です。親から何の遺伝子をもらったら何型になるのかその組み合わせはしっかりと覚えてくださいね。慣れれば難しい問題ではないので、実際に問題を解くと確実に解けるようになりますよ。

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理科生物細胞・生殖・遺伝

3分で簡単!輸血も遺伝もばっちり「ABO式血液型」を元家庭教師がわかりやすく解説!

今回は「ABO式血液型」について勉強します。

占いや輸血でおなじみの血液型。血液型占いではよくA型は几帳面、B型はマイペースなどと血液型によって性格判断がされているな。ところでこの血液型はランダムに決まるわけではない。血液型は遺伝によって決まり、両親や場合によっては祖父母の血液型も影響している。

今回はそんな「ABO式血液型」について、ゆとり教育第1号のため中学生の時に血液について学べず独学したというたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

大学で化学を学んでいたリケジョ。ちょうどゆとり教育が始まった頃に中学生だったため、教科書に遺伝についての記載はあるものの授業では学べなかった。そのため、自分で本を読んでその内容を勉強した。

そもそも血液型とは?

image by PIXTA / 23178741

まず血液型についておさらいしましょう。なお今回は「ABO式血液型」がテーマなので、ヒトの血液型をABABO4種類としてRhなどの分類については省略します。

血液について詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでくださいね。

あなたは多数派?少数派?

あなたは多数派?少数派?

image by Study-Z編集部

日本人の血液型はA型が最も多く4、続くO型が3B型2AB型1程度。ただし、国によってこの割合は異なり、100O型という国もあります(ブラジルやペルーなど)。

世界で見てもA型、O型が多くこの2つの血液型で8割以上を占めているのです。その一方、ほとんどの国でAB型が一番少なく、その割合も10%未満がほとんどとなっています。

4種類の血液型の違い、キーワドーは「抗原」と「抗体」

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血液型で気を付けなくてはいけないのが輸血。なぜなら違う種類の血液が混ざると凝集反応という、抗原と抗体が結合してかたまりを作る反応が起きてしまうからです。

4つの血液型の違いは、それぞれの赤血球に付いた抗原にあります。ちなみに赤血球とは酸素を運ぶ血液細胞のことで、抗原とは抗体によって体から追い出されてしまう免疫反応を引き起こす物質のことです。

血液を混ぜると凝集する場合があるという事に気が付いた病理学者、血清学者のシュタイナーは実験によって血液を分類し、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ちなみにシュタイナーが1901年に発表した論文では血液はA型、B型、C型の3つに分類されています。C型は現在のO型の事です。そしてその翌年、新たな血液型が発見されました。

血液型を決める要素

血液型を決める要素

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赤血球の表面には血液型ごとに決まった抗原が付いています。A型にはA抗原B型にはB抗原が付いているのです。そしてAB型にはA抗原とB抗原の両方が付いていますがO型には抗原が付いていません。血液型は、赤血球についた抗原の種類によって決まるのですね。

そして、血液中の血漿には血液型ごとに決まった抗体が入っています。A抗原に反応する「A抗体」、そしてB抗原に反応する「B抗体」です。ここでちょっとややっこしいのですが、A型の血液には抗B抗体が、B型の血液には抗A抗体が入っています。

そしてO型には抗A抗体と抗B抗体の両方が入っていますが、AB型には抗体が入っていません。抗原とは逆ですね。

混ぜると危険な血液、その違い

もし違う血液同士が混ざるとどうなるのでしょうか?

例えば、A型のヒトの体内にB型やAB型の血液を輸血したとします。輸血された血液(B型、AB型)にはB抗原が入っていますね。そのため、血液中の抗B抗体と反応してしまいます。この反応が先ほど説明した凝集反応です。一方、A型とO型の血液にはB抗原が入っていないため、A型のヒトに輸血しても抗B抗原と反応することはありません。

輸血を受けるのがO型の場合、血液中に抗A抗体も抗B抗体もあるため、A型、B型、AB型のどの血液とも反応してしまいます。そのためO型は何型にも輸血できる血液型でありながら、O型からしか輸血を受けることができません。一方でA抗原もB抗原も持つAB型は何型の血液からでも輸血を受けられる血液です。

このように型は違うけれど凝集反応が怒らない血液を「異型適合血」と呼びます。ただしこれはあくまで理論的な話であり、実際は同じ血液型の血液を輸血するのが基本です。

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