
IHクッキングヒーターの仕組みを理系学生ライターが徹底わかりやすく解説

IHクッキングヒーターというのは、電気の力で鍋やフライパンを加熱する調理器具のことだ。オール電化の家庭などを中心に広く普及しているぞ。ガスコンロと違い、火が出ていないにもかかわらず、鍋やフライパンが熱くなる様子を不思議に感じた人もいるかもしれない。ぜひこの記事を読んで、この不思議な現象を理解してくれ。
中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長
小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電磁気学の内容を独学する機会が多かったこともあり、電磁気学の学習がいかに難しいかということもよく理解している。
IHクッキングヒーターとは?

IHクッキングヒーターとは、電気エネルギーを用いて、鍋やフライパンを加熱する調理器具のことです。簡単に言えば、ガスコンロの電気版ですね。オール電化の家庭を中心に普及し、近年では、ワンルームマンションなどで設置される事例も増えてきています。
IHクッキングヒーターの特徴について少し考えてみましょう。まず、火を使わないという点では、IHクッキングヒーターは安全性に優れていると言えます。また、天板が平面であることから、掃除をしやすいといったメリットもあるのです。しかし、水回りで使用する機器であるため、漏電対策を確実に行う必要があるなどのデメリットもあります。

IHクッキングヒーターは、電気の力で加熱をしているぞ。
IHクッキングヒーターの仕組みを学ぶ前に
IHクッキングヒーターの仕組みを学ぶ前に、電流と磁場の関係性について説明します。このことは、IHクッキングヒーターの仕組みを理解する上で非常に重要となる部分です。
電流は磁場を作り出す

image by Study-Z編集部
電流が流れている場所の周りには、磁場が発生します。一番わかりやすい例として、直線状の電線に電流を流した場合について考えてみましょう。直線状の電線の周りには、電流の向きを上にとると反時計回りの磁場が発生します。これを右ねじの法則といいますね。確認のために、電線の近くに方位磁針を置くと、N極が磁場の向きと同じ方向を指しますよ。
続いて、円形状の電線に電流を流すと、どのような磁場が発生するかを考えてみましょう。図のように、反時計回りに電流を流すと、円の内側に向かうような磁場が発生します。時計回りに電流を流す場合は、逆に円から外に出るような向きの磁場となりますね。右ねじの法則を円上の点で次々と適応させるとわかります。
また、いずれの場合も、磁場の強さは電線を流れる電流の大きさに比例していますよ。この節では、この点と右ねじの法則が理解できたら十分です。

電流が流れている場所には、磁場が発生することを覚えておけよ。
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