化学反応は化合だけじゃない!「熱分解」について元塾講師がわかりやすく解説
3.テストに頻出の熱分解2パターン
テストで取り上げられる分解実験はこの2パターンを要チェック!化学反応式や実験のポイントをおさえておきましょう。
3-1.酸化銀の熱分解
酸化銀の熱分解はシンプルな実験です。黒色の酸化銀を加熱することで銀と酸素が生じます。
2Ag2O → 4Ag + O2
銀は金属なので、金属光沢や展性・延性を調べることで確認ができるでしょう。また、酸素を収集するためには水上置換法を用い、集めた気体に線香の火を近づけることで同定ができますね。
3-2.炭酸水素ナトリウムの熱分解
苦手とする人が多いのは、こちらの実験でしょう。炭酸水素ナトリウムを加熱することで炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素が生成する反応です。
2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2
ややこしくも思える反応式は、1つ1つの分子を原子ごとに分けて考えてみると理解がスムーズになります。物質名から組成式を思い出せるようにしておきたいですね。炭酸CO3水素HナトリウムNaのようにキーワードを見つけて考えてみましょう。
この実験では分解後の物質の同定が理解へのカギです。炭酸水素ナトリウムが炭酸ナトリウムになったことは水への溶けやすさで確認しましょう。炭酸ナトリウムのほうが水によく溶けます。発生した水は塩化コバルト紙、二酸化炭素は石灰水で確認ができますね。
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化学反応は合成だけじゃない!2パターンは要理解
まずは化合と分解の違いを理解しましょう。化合は合成ともよばれ、複数の単体または化合物が反応することによって1つまたは2つ以上の生成物を得る反応です。このとき、化合物である生成物が必ず1つ以上生じます。一方で分解は1種類の物質から複数の単体または化合物を得る反応であり、反応物は必ず化合物です。これを化学反応式での見極めのポイントにしましょう。
分解反応の代表である熱分解は、酸化銀の反応と炭酸水素ナトリウムの反応を解説しました。どちらも頻出の実験テーマなので、実験図や手順とともに覚えておきましょう。