

1937年に起こり1945年まで続いた日中戦争、その長い流れをしっかり理解しておこう。そこで今回、日中戦争について日本史に詳しいライターリュカと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/リュカ
元塾講師で、現役のライター。塾講師とライター業に共通して「わかりやすい伝え方」に定評がある。今回は得意分野のひとつである「歴史」から日中戦争をわかりやすくまとめた。
関東軍の謀略
1930年を過ぎた頃、日本は新たな領土の獲得のため中国大陸への進出を考えるようになりました。と言うのも、日清戦争や日露戦争で勝利した日本はその後の条約で朝鮮半島を手に入れており、さらには関東州なども租借(ある国が特別の合意の上で他国の領土の一部を一定期間の間だけ借りること)していたからです。
朝鮮半島や関東州を足掛かりとすれば中国大陸進出も充分可能と判断した日本。そこで、関東州を管轄する関東軍は1931年に日本の南満州鉄道の線路を爆破、これを中国軍の仕業と見せかけることで軍事行動を起こしたのです。要するに、これは満州制圧のための軍事行動を起こすための謀略、この事件を満州事変と呼びます。
こうして、日本は自ら爆破した事件を中国軍の仕業に見立ててそれを口実にして進軍、満州全土の占領に成功するとそこに満州国を建設しました。中国からすれば、日本は勝手に満州に国を作ったわけですから、当然これに納得できるはずなかったでしょう。
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満州を狙った意図
そもそも日本の関東軍はなぜそこまでして満州の権利と利益を得ようとしたのでしょうか。おそらくそれは昭和恐慌の影響と考えられます。当時起こった世界恐慌は日本にも影響しており、国内の企業が次々と倒産して絶えず失業者が増加する問題が起こっていたのです。
またこの恐慌は日本の農業にも影響し、米や生糸を中心に農作物の価格が著しく下落して農業恐慌まで起こってしまいました。災いというのは続くもの……これに追い打ちをかけるかのごとく凶作に見舞われた日本、その挙句の果てには身売りする女性まで現れるほど深刻な事態になっていたのです。
そこで関東軍が目をつけたのが満州。満州の地下には鉱物資源が豊富にあるため、国民の移住先に最適の地だと考えたのです。そのため満州の権利と利益を守ろうと、軍事行動を起こる口実まで謀略して満州制圧を実現しようとしたのでした。

日本で起こる深刻な恐慌、その打開策として日本の関東軍は満州に目をつけた。自作自演の爆破事件を口実に満州事変で満州を占領する日本。挙句国まで建設してしまい、これが中国の怒りを買って日中戦争へとつながっていく。
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