「状態変化に伴う熱」には2種類ある?「顕熱・潜熱」について元塾講師がわかりやすく解説
1-1.グラフから見る状態変化
image by Study-Z編集部
このようなグラフが書けたら正解です。
マイナスの温度で冷やし固められた氷(固体)は、加熱することで徐々に温度をあげます。温められて融点である0℃に達すると溶け始め、氷と水(液体)が入り混じった状態になりますね。そして氷が全て溶け切ると、温度が上昇していくのがわかるでしょう。そして沸点の100℃になると水は蒸発を始めます。全ての水が水蒸気(気体)に変わったあとは100℃以上に熱せられるのが見てとれますね。
このグラフを見て不思議に思ったことはありませんか?どうして固体と液体、液体と気体が混ざった相では温度が変わらないのでしょう。
こちらの記事もおすすめ

「熱運動」と温度の関係を元塾講師がわかりやすく解説
(1)縦軸を温度、横軸を時間経過とし、縦軸に融点(純粋な水の場合0℃)と沸点(100℃)を書き加える。
(2)融点より低い温度から徐々に温度を上げていき、融点に達するまでが固体である。融点では固体と液体が入り混じり、温度は変わらない。
(3)固体と液体が入り混じった状態を少し経て、沸点に向かって温度が上昇していく。このときは液体のみの相となる。
(4)沸点に達すると液体と気体が入り混じった相で一度温度は安定し、その後気体のみが温度を上げていく。※固体と液体が入り混じっている時間よりも液体と気体が入り混じっている時間を長く書くとより正確である。
ここで気付くのは、比例のような右上がりの直線状に温度が上がっていくときと温度変化のないときの2つがあるということですね。これらについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.顕著な熱の変化が見られる顕熱変化
image by iStockphoto
まずは、固体・液体・気体そのままの状態で存在する部分、グラフで見れば / の部分に注目してみましょう。一定のスピードで徐々に温度が上昇していくのがわかりますね。
このときの熱の出入りは顕著です。固体や液体のときは、それぞれ液体・気体になるためのエネルギーを物質内に蓄えている状態と見ることができるでしょう。周囲の熱を吸収した結果、自身が熱をもつようになります。しかし、融点・沸点には達しないため、状態変化が起こるまでには至らないのです。気体の場合、これ以上の状態変化は起こりません。そのために気体そのものの温度が上昇するのみの変化となりますよ。
このように、物質の状態は変えず、温度が上がったり下がったりするときに変化する熱を顕熱(けんねつ)といいます。また、そのときの反応過程が顕熱変化です。顕著な熱の変化と覚えるといいですね。
\次のページで「2-2.温度変化の見られない熱を潜める潜熱変化」を解説!/



