「熱運動」と温度の関係を元塾講師がわかりやすく解説
3-2.ファーレンハイト温度(華氏)
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温度計に℃と℉、2つの単位を見たことのある人はいませんか?目盛りの間隔や数字の大きさが全く異なるものなので、読みづらいと感じた人も多いでしょう。これはファーレンハイト温度、華氏とよばれる温度の単位の1つです。日本ではマイナーですが、海外では日常的に使用される単位でもあります。
ファーレンハイト温度はセルシウス温度の値の1.8倍に32を加えることで変換が可能です。とてもややこしい計算ですよね。
この単位ができたのには様々な説があります。最も低い室外の温度を0℉、ファーレンハイト温度考案者本人の体温を100℉とした説。氷と塩の混合物を0℉、血液を96℉とした説。氷枕の温度、人間の体温、羊の直腸温度を基準にした説など様々です。気になる人はぜひ調べてみてくださいね。
3-3.絶対温度(ケルビン)
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そして最後に、科学を学ぶうえで欠かせないのが絶対温度、ケルビンの考え方です。温度は物質の熱運動による「熱」の存在がベースにあり、それには下限が存在するであろうという考えからこの温度が考えられました。温度が下がることで熱振動が小さくなり、運動エネルギーが最低になった状態になる下限温度を絶対零度 0Kとしています。
0K は -273.15℃ と変換することができるので、水の融点・凝固点(0℃)は 273.15K、沸点(100℃)は 373.15K です。理論上この温度下では全ての物質が運動を停止するとされ、原子の振動が完全に止まることを意味します。
しかし、近年クマムシという生物が発見され、ほぼ絶対零度(0.0075K=-273.1425℃)から150℃の条件下でも生き続けることがわかりました。生物最強ともいわれるのも納得ですよね。
全ての物質は絶対零度によって熱運動を停止する
全ての物質は原子や分子といった粒子の集まりからなっていますよね。生き物だとかそうでないとか、有機物・無機物、固体・液体・気体といった状態に関わらずです。これらは目で見えないほど小さな物質であるのはみなさんもご存知のとおりですが、これらは常に振動し、揺れ動いています。この揺れを熱振動といい、この運動を熱運動というのです。
物質の三態は原子や分子の運動の激しさによっても見ることができ、この激しさを熱と言い表すことができます。これは熱運動のエネルギーを表したものでもありますが、通常熱と聞くと熱いとか寒いとか、温度として捉えてしまう人が多いでしょう。しかし実際に熱という実態があるのではなく、あくまでも運動の激しさであり、物質そのものがもつエネルギーでしかないのです。
また、どんな物質も少なからず熱運動をしています。しかしどんな物質も運動を止めてしまう温度、それが絶対零度(0K)であり、−273.15 ℃です。それにもかかわらず、クマムシという生物はほぼ絶対零度となる0.0075Kの条件でも死なないという調査結果が出ているのは驚きですよね。