気化に伴う反応熱「気化熱(蒸発熱・昇華熱)」について元塾講師がわかりやすく解説
みなさんもドライアイスはスーパーなどで目にすることがあるでしょう。液体窒素はバラを一瞬で凍らせ、花弁を粉々にしてしまう実験によく使われていますよね。これらの物質は実験材料として用いられるほか、保冷剤や治療などさまざまなものに使われています。
しかし非常に低い温度の物質であるために、扱いには注意が必要です。身体にかかったり触れてしまうことで凍傷によるやけどを負う危険があるため、手袋や長袖を身につける必要があるでしょう。薬品などの化学物質の危険は毒性によるものだけではありません。白衣で衣服などの表面を覆ったり、防護メガネを使用するのにはきちんとした理由があるのです。
4.温度と圧力の関係
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物質の三態と温度変化は密接な関わりがありましたね。それに関連して、温度と圧力の関係について最後に解説します。
その前に、ボイル=シャルルの法則とその公式を確認しておきましょう。
ボイルの法則:PV=一定(圧力は体積に反比例する)
シャルルの法則:V/T=一定(体積は温度に比例する)
P:圧力 V:体積 T:絶対温度
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まずはシャルルの法則について考えてみましょう。「体積は温度に比例する」を言い換えると、体積が増えれば温度は上がり、温度が上がれば体積も増える。これは加熱によって 固体→液体→気体 と相転移していくことからも理解できるのではないでしょうか。
また、ボイルの法則の法則についてはこう考えてみましょう。圧力を抑え込む力と考えれば、圧力が上がれば体積は小さくなっていくのが想像できますよね。つまり、「圧力は体積に反比例する」ということがいえるのです。
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Maksim, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
これらを加味して相転移と圧力・温度の関係を示したのがこのグラフです。
横軸の温度(temperature)に注目して見ると、温度が低ければ固体(solid)、高ければ気体(gas)になることを意味しています。縦軸の圧力(pressure)に注目して見た場合、圧力が小さいときには気体、高くなると固体になるのがわかりますね。液体(liquid)は固体と気体の中間に位置する相ですから、グラフでは右上に位置しています。
少し難しいグラフではありますが、おさらいのつもりで意味を考えておくといいですね。
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蒸発熱=気化熱≒昇華熱
物質が気体になる現象を総称して「気化」、そのときの反応熱を「気化熱」といいます。しかし、物質が気体になる現象には2つの過程が考えられますね。1つは液体が「沸騰」したり「蒸発」することによって気体になるもの、もう1つは固体が「昇華」によって気体になるものです。沸騰と蒸発は起こりの違いによるもので、沸騰は蒸発の一種と考えていいでしょう。また、それぞれの反応熱が「蒸発熱」「昇華熱」です。
単に気化・気化熱とするときは蒸発・蒸発熱を意味することが多いものの、総称する意味で昇華・昇華熱を含める場合があります。そこで、蒸発熱=気化熱≒昇華熱 と覚えておくのがいいでしょう。テキストや本、インターネットページで気化や気化熱についての記述があった際には、それが蒸発と昇華、どちらを意味しているのかを考えて理解するようにしたいですね。



