気化に伴う反応熱「気化熱(蒸発熱・昇華熱)」について元塾講師がわかりやすく解説
2.固体・気体間の反応熱
続いて反応熱について考えてみましょう。
昇華における反応熱を昇華熱といいます。他の状態変化における反応熱同様、固体から気体、気体から固体の両方において昇華熱は同じ値を示すのは想像できるでしょう。
2-1.昇華熱
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固体から気体への昇華は熱を加えることによって変化が進みます。しかし実際ドライアイスやナフタレンは常温で昇華が起こるためにイメージがしにくいかもしれませんね。この場合、部屋の中の熱を奪って利用する(熱を吸収する)ことによって変化が起こります。その証拠に、ドライアイスの周囲は空気がひんやりしているのを感じることができるはずですよ。
さらに、ヘスの法則については下記の記事で解説をしましたね。固体から液体(1)、液体から気体(2)という状態変化が起こったとき、反応前後の物質はそれぞれ固体と液体です。つまり、このときの熱量は固体から気体(3=1+2)に等しいことを意味しています。(1)(2)の反応はどちらも吸熱反応ですから、固体から気体への昇華も吸熱反応であることが理解できるでしょう。
その逆を考えれば、気体から固体への昇華は熱を放出する発熱反応であることがいえるのです。
3.気化(蒸発・昇華)
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気化する様子が非常によく似た2つの物質で考えてみましょう。
蒸発の例としては、液体窒素が挙げられます。液体の窒素を凝縮することによって液体になったものです。窒素は常温で気体として存在することからもわかるように、液体窒素は常温で蒸発します。昇華の例では、ドライアイスが挙げられますね。こちらも常温では二酸化炭素として気体のカタチで存在する物質ですから、常温で昇華します。
どちらも気体になる過程で白い煙のように広がっていく様子が非常によく似ていますね。しかし、もともとの物質が固体化液体かによって、分子の動きやエネルギー変化に大きな差があることを理解しましょう。
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