化学

気化に伴う反応熱「気化熱(蒸発熱・昇華熱)」について元塾講師が解説

よぉ、桜木建二だ。今回は状態変化と反応熱の最後、「気化熱」について勉強していこう。

気化熱・蒸発熱・昇華熱は気化・蒸発・昇華と同様に紛らわしいワードだ。違いをしっかり理解しておこう。

現象の本質を理解することが大切だ。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.固体・気体間の状態変化

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まずは固体と気体における状態変化についての復習です。固体から液体になることなく気体になること、気体から液体になることなく固体になることを昇華といいましたね。後者はあまり例がないために、昇華といえば前者の意味を指すことがほとんどでしょう。

実生活での例としては、次の2つが挙げられます。保冷剤代わりに用いられるドライアイスの昇華では、白い煙として見ることができますね。ただし、ドライアイスは二酸化炭素が固体化したものなので、昇華することで生じる気体はもちろん二酸化炭素であり、無色透明です。煙のようなものは空気中の水蒸気が冷やされた結果液化した水であることを覚えておきたいですね。また、ナフタレンなどの防虫剤は昇華によって有効成分をクローゼット内に拡散されています。

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前回は液体と気体、前々回は固体と液体の関係について見ていったよな。今回は固体と気体の関係、物質の状態変化に関する第3回目の解説だ。

1-1.固体と気体のもつエネルギー

ここでは固体から液体への昇華について解説していきます。

例に挙げたドライアイスもナフタレンも、昇華することによって気体(有効成分)が空気中に広く拡散されるのがわかるでしょう。もともとは小さな固体であっても、ドライアイスの白い煙が広がる様子、ナフタレンが香りとともにクローゼットいっぱいに物質が空間を自由に広がっていくのがわかりますね。このように、固体から気体の変化は非常に体積変化が大きくなります。物質の体積は 固体<液体<<<気体 となるのですから当然ですね。物質のもつエネルギーは体積変化と同様、固体が最も小さく、気体になるほどに大きくなることを知っておきましょう。

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それぞれの物質のエネルギーの大きさを順番に考えよう。何度も言うようだが、固体<液体<気体 の順で理解するんだ。

2.固体・気体間の反応熱

続いて反応熱について考えてみましょう。

昇華における反応熱を昇華熱といいます。他の状態変化における反応熱同様、固体から気体、気体から固体の両方において昇華熱は同じ値を示すのは想像できるでしょう。

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温める=熱が必要=吸熱反応、冷やす=熱を奪う(放出する)=発熱反応ということだな。

2-1.昇華熱

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固体から気体への昇華は熱を加えることによって変化が進みます。しかし実際ドライアイスやナフタレンは常温で昇華が起こるためにイメージがしにくいかもしれませんね。この場合、部屋の中の熱を奪って利用する(熱を吸収する)ことによって変化が起こります。その証拠に、ドライアイスの周囲は空気がひんやりしているのを感じることができるはずですよ。

さらに、ヘスの法則については下記の記事で解説をしましたね。固体から液体(1)、液体から気体(2)という状態変化が起こったとき、反応前後の物質はそれぞれ固体と液体です。つまり、このときの熱量は固体から気体(3=1+2)に等しいことを意味しています。(1)(2)の反応はどちらも吸熱反応ですから、固体から気体への昇華も吸熱反応であることが理解できるでしょう。

その逆を考えれば、気体から固体への昇華は熱を放出する発熱反応であることがいえるのです。

3.気化(蒸発・昇華)

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気化する様子が非常によく似た2つの物質で考えてみましょう。

蒸発の例としては、液体窒素が挙げられます。液体の窒素を凝縮することによって液体になったものです。窒素は常温で気体として存在することからもわかるように、液体窒素は常温で蒸発します。昇華の例では、ドライアイスが挙げられますね。こちらも常温では二酸化炭素として気体のカタチで存在する物質ですから、常温で昇華します。

どちらも気体になる過程で白い煙のように広がっていく様子が非常によく似ていますね。しかし、もともとの物質が固体化液体かによって、分子の動きやエネルギー変化に大きな差があることを理解しましょう。

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蒸発と昇華、見た目の似ている2つの物質で覚えておこう。どちらも取り扱いには要注意なのも知っておこうな。

みなさんもドライアイスはスーパーなどで目にすることがあるでしょう。液体窒素はバラを一瞬で凍らせ、花弁を粉々にしてしまう実験によく使われていますよね。これらの物質は実験材料として用いられるほか、保冷剤治療などさまざまなものに使われています。

しかし非常に低い温度の物質であるために、扱いには注意が必要です。身体にかかったり触れてしまうことで凍傷によるやけどを負う危険があるため、手袋や長袖を身につける必要があるでしょう。薬品などの化学物質の危険は毒性によるものだけではありません。白衣で衣服などの表面を覆ったり、防護メガネを使用するのにはきちんとした理由があるのです。

4.温度と圧力の関係

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物質の三態と温度変化は密接な関わりがありましたね。それに関連して、温度と圧力の関係について最後に解説します。

その前に、ボイル=シャルルの法則とその公式を確認しておきましょう。

ボイルの法則:PV=一定(圧力は体積に反比例する)

シャルルの法則:V/T=一定(体積は温度に比例する)

P:圧力 V:体積 T:絶対温度

image by Study-Z編集部

まずはシャルルの法則について考えてみましょう。「体積は温度に比例する」を言い換えると、体積が増えれば温度は上がり、温度が上がれば体積も増える。これは加熱によって 固体→液体→気体 と相転移していくことからも理解できるのではないでしょうか。

また、ボイルの法則の法則についてはこう考えてみましょう。圧力を抑え込む力と考えれば、圧力が上がれば体積は小さくなっていくのが想像できますよね。つまり、「圧力は体積に反比例する」ということがいえるのです。

これらを加味して相転移と圧力・温度の関係を示したのがこのグラフです。

横軸の温度(temperature)に注目して見ると、温度が低ければ固体(solid)、高ければ気体(gas)になることを意味しています。縦軸の圧力(pressure)に注目して見た場合、圧力が小さいときには気体、高くなると固体になるのがわかりますね。液体(liquid)は固体と気体の中間に位置する相ですから、グラフでは右上に位置しています。

少し難しいグラフではありますが、おさらいのつもりで意味を考えておくといいですね。

蒸発熱=気化熱≒昇華熱

物質が気体になる現象を総称して「気化」、そのときの反応熱を「気化熱」といいます。しかし、物質が気体になる現象には2つの過程が考えられますね。1つは液体が「沸騰」したり「蒸発」することによって気体になるもの、もう1つは固体が「昇華」によって気体になるものです。沸騰と蒸発は起こりの違いによるもので、沸騰は蒸発の一種と考えていいでしょう。また、それぞれの反応熱が「蒸発熱」「昇華熱」です。

単に気化・気化熱とするときは蒸発・蒸発熱を意味することが多いものの、総称する意味で昇華・昇華熱を含める場合があります。そこで、蒸発熱=気化熱≒昇華熱 と覚えておくのがいいでしょう。テキストや本、インターネットページで気化や気化熱についての記述があった際には、それが蒸発と昇華、どちらを意味しているのかを考えて理解するようにしたいですね。

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