生物学

【生物】「両生類」ってなんだ?現役講師がさくっと解説!

よぉ、桜木建二だ。今回は両生類について学んでいこう。

小学校の理科では生物の大まかな分類を習う。「哺乳類」や「鳥類」、「爬虫類」などの言葉とともに「両生類」という言葉も学習したはずだ。昔は身近な生物だった両生類だが、近頃は数が減少。都会の人たちにとっては縁の遠い生き物になってきてしまっている。改めて両生類の特徴や種類を復習しよう。

大学で分類学を中心に勉強していた現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

両生類とは?

両生類とは、脊椎動物の一グループである両生綱に分類されている生物のことを指します。「方できる」と書きますが、これは両生類が生きていくために陸上と水中の両環境が必要である、という意味です。

両生類は魚類と爬虫類の中間的存在

両生類は魚類と爬虫類の中間的な存在であるといわれます。鰓呼吸をし、水中から出ることのできない魚類の一部が両生類へと進化。四肢を手に入れて陸上と水中を行き来できるような種も誕生しました。そのうちの一部がさらに陸上に適応し、爬虫類となったと考えられています。

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昔は「両棲類」という字を使っていたが、現在は「両生類」という書き方がスタンダードだな。

両生類の特徴

両生類には以下のような基本的な特徴があります。

・皮膚呼吸が発達している

・皮膚呼吸に加え、子ども(幼体)のころは鰓呼吸、大人(成体)になると肺呼吸をするものが多い

・基本的に卵生。水中で産卵することが多い

・卵に殻はない

・変温動物

・心臓は2心房1心室

両生類の分類

両生類の分類

image by Study-Z編集部

両生類(両生綱)は絶滅した種も含めると3つの亜綱に細分されると考えられています。現在も生き残っている種が含まれるのが平滑両生亜綱。そして、すでに絶滅した種のみが属している迷歯亜綱空椎亜綱です。

まずは現生種がふくまれる平滑両生亜綱について詳しくみていきましょう。

平滑両生亜綱

いま自然界で見ることのできる両生類は、すべてこの平滑両生亜綱にふくまれています。平滑両生亜綱はさらに有尾目、無尾目、無足目の3つのグループに細分されますので、それぞれについて詳しく解説しましょう。

有尾目

「尾が有る」とかいて有尾目(ゆうびもく)というグループ。名前の通り、尾をもってる両生類がふくまれます。サンショウウオイモリなどですね。有尾目には670種程度の両生類が属します。これらの種はさらに10の科に分けられているんです。

image by iStockphoto

日本国内にはどんな種がいるでしょう?昔から田んぼなどではよく見られたアカハライモリ、特別天然記念物のオオサンショウウオ、水のきれいな環境にいるハコネサンショウウオやクロサンショウウオなどがいます。とくにサンショウウオの仲間は地域ごとに分化(種が分かれること)が進んでいるようで、国内だけでも30近い種が認められているほどです。

また、ペットとして人気のウーパールーパーなども、この有尾目の仲間。学校で飼育しているところも結構ありますよね。

無尾目

こちらも一目瞭然の名前。「尾の無い」両生類が含まれている無尾目(むびもく)です。簡単に言うとカエルの仲間を指し、カエル目と書かれることもあります。世界で知られているカエルの種数はなんと6000種以上。

日本には、亜種も含めると43種のカエルが生息しているといわれています。北海道から沖縄まで、多様な環境にたくさんのカエルが暮らしているんです。皆さんが一番よく見かけるカエルは、小さな緑色のニホンアマガエルでしょう。少し自然の豊かなところであれば、ニホンヒキガエルやトノサマガエル、シュレーゲルアオガエルなどもみられるかもしれません。

image by iStockphoto

日本に住む多くのカエルは、水田やきれいな川辺などの生息環境が減っているため、数が減少傾向にあります。ところが、ウシガエルのような外来種は例外です。在来のカエルや小動物を食べて数を増やしています。

無尾目を脅かす問題はこれ以外にも山積み。2006年ごろから日本でもカエルツボカビ症という、カエルがかかる病気が知られるようになってきました。カエルツボカビ症はカエルツボカビという菌が寄生することにより、カエルは皮膚呼吸がしにくくなり、最悪の場合死に至ってしまう病気です。

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ただでさえ、環境の悪化によりカエル類が減っている現代。カエルツボカビ症によるカエルの死は、生態系の破壊に拍車をかけると考えられている。ペットとしてカエルを飼っている人は十分気を付けてほしい。

なお、カエルツボカビ症はサンショウウオの仲間でも発症するものがいる。近くで不審なサンショウウオやカエルの死を目にしたら、役所や大学、研究機関などに相談してみよう。

無足目

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パブリック・ドメイン, リンク

熱帯地方に住む動物にアシナシイモリという両生類が生息しています。ぱっと見は大きなミミズのように見える生き物ですが、このアシナシイモリの仲間は原始的な姿を残しつつも現代まで生き残った両生類です。アシナシイモリの仲間が分類されるグループを足無目(むそくもく)とよびます。

日本には分布していない生き物ですが、無足目は両生類の進化を考えるうえで重要な存在です。土の中での生活に適応した種が多く、未発見の種も残っている可能性があります。研究の発展が期待される分類群です。

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現在の両生類は以上の3目に分類されるぞ。

では、ここからはすでに絶滅してしまった分類群をみていこう。

迷歯亜綱

古生代から中生代にかけて地球上に生きていた両生類の多くが、この迷歯亜綱(めいしあこう)に分類されています。イクチオステガやアカントステガ、エリオプスなどは、恐竜や古生物が好きな人にとってはよく聞く名前の生物たちでしょう。

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Nobu Tamura (http://spinops.blogspot.com) – 投稿者自身による作品, CC 表示 2.5, リンクによる

この迷歯亜綱に属する生物の特徴は、名前の由来にもなっている迷路歯という歯をもっているところです。私たちの歯は、その表面をエナメル質という固い素材が層状に覆っています。一方、迷路歯では表面のエナメル質が歯の中心へ向かって複雑に入り込んでいて、まるで迷路のようになっているのです。

実は、現在生き残っている生物の中でも、この迷路歯をもっているものがいます。それが、シーラカンスなどの肉鰭類(にくきるい)です。前述の通り、両生類は魚類から爬虫類への進化途中の存在とみなされています。迷路歯の関係により、魚類である肉鰭類の一部が迷歯亜綱に進化したと考えられているのです。

空椎亜綱

空椎亜綱(くうついあこう)も、絶滅した両生類のみをふくんでいるグループです。三角形の頭をもったサンショウウオのような生物・ディプロカウルスや、ヘビのようなすがたのリソロフィスの仲間などが属しています。まるでファンタジーの世界のような、不思議な姿の生き物ばかりです。

古生代石炭紀からは化石が見つかっていますが、ペルム紀の前期には絶滅したと考えられています。

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太古の昔に絶滅した迷歯亜綱でも空椎亜綱でも、両生類であることに変わりはない。完全に水中で暮らすものや、水中と陸上を行き来したとみられるもの、多くの時間を陸上で過ごしたものなど様々だったと考えられているが、いずれにしても水辺からはそれほど離れられなかったと考えられている。

これらの両生類の化石が出てくれば、その場所は少なくとも近くに水辺があったか、もしくは水中であった可能性が高いと考えることができるな。

現生種も絶滅種も面白い!両生類の分類

現在生き残っている両生類はどんどん数を減らしています。両生類の分類を通じて、これらの生き物に興味を持っていただけると、筆者は大変うれしいです。

また、今回は絶滅した分類群についてもご紹介いたしました。今はいなくなってしまった生物でも、その化石が見つかれば現生種の進化への道のりを考えることができます。復元図や化石などを手掛かりにして生物の進化に思いをはせるのはとても楽しいことです。ここを出発点に、古生物学への一歩を踏み出してみるのもよいでしょう。

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