「酸」と「アルカリ」が出す「イオン」について元研究員がわかりやすく解説
2.酸と塩基の電離式
物質がイオンに分かれることを電離といい、水に溶けると電離する物質を電解質といいます。アレーニウスの定義によると、電離して水素イオンを出すもとが酸でしたね。
同じ酸のなかでも、例えば塩酸は電離して水素イオンを1つ出しますが、硫酸は電離して水素イオンを2つ出します。水素イオンを1つ出す酸を1価の酸、水素イオンを2つ出す酸を2価の酸というのです。
この水素イオンをいくつだすのか(=何価の酸であるか)はイオン式を用いて、電離の様子を表した電離式を書くとわかります。では、酸の電離式をいくつか書いて価数を比べてみましょう。
2-1.酸の電離式
HCl → H+ + Cl–
塩酸は水素イオン1つと塩化物イオン1つに電離します。それなので1価の酸であるといえますね。
CH3COOH ⇔ H+ + CH3COO–
酢酸は水素イオン1つと酢酸イオン1つに電離します。酢酸の4つの水素のうち電離できるのは1番右端の水素だけと決まっているのです。酢酸は1つの水素イオンを放出する1価の酸といえます。⇔なのは酢酸は弱酸で一部の分子しか電離せず、反応が左向きにも進むことを表しているのです。本当は→と←を上下に重ねて書きます。
H2SO4 → 2H+ + SO42-
硫酸は水素イオン2つと硫酸イオンに電離するので、2価の酸です。
H2CO3 ⇔ 2H+ + CO32-
炭酸は水素イオン2つと炭酸イオンに電離します。おなじく2価の酸です。
2-2.塩基の電離式
NaOH → Na+ + OH–
水酸化ナトリウムはナトリウムイオン1つと水酸化物イオン1つに電離します。それなので1価の塩基です。
Ca(OH)2 → Ca2+ + 2OH–
水酸化カルシウムはカルシウムイオン1つと水酸化物イオン2つに電離します。なので2価の塩基ですね。
NH3 + H2O ⇔ NH4+ + OH–
アンモニアは分子式にOHを持ちませんが、水と反応して水酸化物イオンを1つ出すので1価の塩基です。
3.電離度と強弱
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電離式を書いてわかった通り、塩酸と酢酸はどちらも1価の酸です。しかし、同じ濃度の塩酸と酢酸に同じ量のマグネシウム片を入れると、塩酸の方が激しくマグネシウム片を溶かし水素を発生します。
なぜこのような違いがあるのでしょうか。例えば同じ1価の酸でも、水溶液中で陽イオンと陰イオンが離れやすいものと離れにくいものがあります。塩酸は水溶液中でH+とCl–がほぼ完全に離れているのに対して、酢酸はH+とCH3COO–がごく一部しか離れていないために、水溶液中の水素イオン濃度にかなりの差があるのです。
水溶液中でほぼ完全に電離している酸を強酸、一部しか離れていない酸を弱酸といいます。同様に、水溶液中でほぼ完全にイオン化している塩基を強塩基、一部しかイオン化していない塩基を弱塩基とよぶのです。
この溶解した酸や塩基の量に対する、イオン化した酸や塩基の割合を電離度といいます。同じ濃度の酸や塩基も電離度を比べることでどちらの酸(または塩基)が強いか弱いか知ることができるのです。
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