地面の下がどうなっているのかというのは、誰でも一度は考えたことがあるでしょう。しかし、実際に調べようと思うと非常に難しいことがわかる。理由は地球が大きすぎるのです。半径6400キロメートルもある岩の塊の中を調べるのは並大抵のことではない。ですが、現代科学よっていくつかのことは明らかになってきている。それを見てみよう。
今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。
ライター/トオル
物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。
地球の内部構造について
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地球は半径約6400キロメートルの岩石型惑星に分類されています。地球の内部構造について理論的には昔から色々な議論はあるのですが、実際に調査するとなると非常に難しく、本格的な調査がはじめるのはようやく20世紀に入ってからです。つまり、まだ地球の内部構造の調査がはじまって100年程度しかたっていません。おまけに現在でも調査方法が限られているため、特に地球深部についてはよくわかっていないのが現状です。とはいっても、100年間もあれば少しはわかってきています。今回は地球の内部構造について、現在わかっていることを紹介してみましょう。
地球の内部を調べる方法
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地球の内部を調べる方法としては直接掘るということがまずは思い浮かびますが、これは非常に難しく現在でも地上より高々10キロメートル程度しかできません。地球の半径は約6400キロメートルですので、この方法ではほんの表面しか調べられないことになります。そのため、現在では地球内部の探査に主に使われるのは地震波です。地震波とは地震によって引き起こされる揺れのことで、縦波であるP波と横波であるS波が存在します。縦波とは伝わる方向に振動している波のことで、横波は伝わる方向と垂直に振動している波のことです。P波とS波は物質の密度によって進む速度がことなったり、密度が急激に変化する境界で反射したりする性質があります。このため地球の様々な地点で地震波の到達時刻や強さを測定することにより、地球の密度や構造が推測できるのです。
地震波にはP波とS波の他にも地表面を水平方向にのみ伝播する表面波や、大きな地震時に地球自体が振動する自由振動という波も存在します。これら全ての波を分析することによって、現在では地球内部の地震波速度の標準モデルができるまでになりました。上記の画像はそのモデルの一例です。横軸が地球の半径で原点が中心部、縦軸が地震波の速度、Vpが縦波、Vsが横波になります。さらに近年では地球深部の高温高圧の状態を実験室で再現できるようになり、様々の物質の高温高圧での状態を研究することにより、地球深部の構成物質を推測することが可能になってきているようです。
核について
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では現在推測されている地球内部の構造を見ていきましょう。まず中心には核が存在します。先ほどの地震波の速度分布のモデル画像を見ていただくと、中心より約3500キロメートルあたりで速度が大きく変化しているのがわかるはずです。この境界より内側が核になります。さらに核の内側では横波の速度が、中心より1200キロメートルから3500キロメートルまでゼロです。この約1200キロより内側を内核、外側を外核といいます。核についてはほとんど理論的に推測するしかないのですが、主に鉄とニッケルからできているようです。内核が固体、外核は流体だと考えられています。内核では温度が約6000度にもなると考えられていますが、圧力が360ギガパスカルもあるので固体になっているようです。外核は内核近くで約6000度、一番外側で約4000度ほどだと推測されています。外核での対流によって地球の磁場が形成されているようです。
マントルについて
Los688 – Myown wrok, パブリック・ドメイン, リンクによる
核の外側約3500キロメートルから、大陸で地表から約30から70キロメートルまで、海洋で海底から約7キロメートルまではマントルです。マントルにはいくつかの地震波の速度が急激に変わる境界面があるのですが、特に明瞭な地上より約660キロメートルを境として上部マントルと下部マントルに分けられています。マントル上部はかんらん岩を主成分とする岩石で構成されていて、地下に深くになるほど温度と圧力が上昇し、最近の研究ではかんらん岩等が相転移することにより、それぞれの鉱物相が層状になっていると考えられているようです。それによると、かんらん岩の下が変形スピネル相、その下がスピネル相、その下がペロブスカイト相、その下がポストペブロスカイト相になります。マントル部の対流がプレートテクトニクスの原因のようです。
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