

金を打ち延ばして作られた「金箔」を見たことがあるだろう。金属を叩いたとき、簡単に破壊されずに変形する性質を「展性」という。この性質を引き起こす、金属に特徴的な原子の結合について学習していこう。
薬学部出身の主婦ライターarpeggioと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Study-Z編集部
高校2年生でようやく理系の勉強に着手して以来、特に化学の面白さの虜になり、薬学部へ。最近は学術業務を続ける傍ら、自分の子どもやその友達と、身近なものを使った実験を楽しんでいる。
加圧によって破壊することなく、箔(はく)(フォイル)のように平面に広げられる性質。金、スズ、銅、アルミニウムのように金属には展性のよいものが多くある。延性とあわせて展延性ということもある。(以下略)
ー小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
打撃または圧延により、破壊することなく平面的に広げられる性質。一般に展性に富む物質には軟らかいものが多い。金、スズ、アルミニウムなどはそれぞれ箔(はく)として広く実用に供されている。
―森北出版「化学辞典(第2版)」

打ち延ばすなどして広げるのが展性、一定方向に細長く針金のように引き延ばす場合は延性という。いずれも材料がひび割れるなどせず、柔軟に変形する性質のことだが、用語をしっかり区別しておこう。
2. 金属の性質
「金属」を周期表で見るとどのあたりにあるか、復習してみましょう。
図の黄緑色の部分がいわゆる金属元素です。全体の約8割!意外と多いと感じられる方もいらっしゃるかも知れませんね。
それではまず、金属に共通する性質を見てみましょう。主に以下の4つが挙げられます。
\次のページで「2-1. 金属結合と自由電子」を解説!/
次のページを読む