化学無機物質理科

金属の「延性」ってどんな性質?化学好き主婦がわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。

材料を引き延ばしたとき、簡単に破断されずに柔軟に延ばすことが出来る性質を「延性」といい、特に金属に共通して見られる。この性質を引き起こす、金属に特徴的な原子の結合について学習していこう。

薬学部出身の主婦ライターarpeggioと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Study-Z編集部

高校2年生でようやく理系の勉強に着手して以来、特に化学の面白さの虜になり、薬学部へ。最近は学術業務を続ける傍ら、自分の子どもやその友達と、身近なものを使った実験を楽しんでいる。

1. 延性の定義

image by iStockphoto

まず、今回のキーワードである「延性(えんせい)」について、辞書で言葉の定義を見てみましょう。

ちなみに、延性(および展性)は可塑性の一つであることを念頭にお読みください。

可塑性とは外力を加えて変形させ、外力を除くと元の寸法に戻らず変形する物質の性質のことで、元の寸法に戻る性質は弾性とよびます。

塑性の一種で、材料の延ばしやすさをいう。これを示すもっとも一般的な方法は、断面形状一定の丸棒や板の試験片を軸方向に一定速度で引っ張り、破壊後の延び量で示すことである。純金属は一般に延性が大きい。(以下略)

   ー小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

材料が破壊に至るまでに変形しうる塑性ひずみ量をいう。このためには変形方法、試験片を定義しなければ数値的な比較ができない。(中略)丸棒試験片の場合は、直径が2~3mmから20~30mmの場合は幾何学的に相似の試験片ならば相似則が成立するので、数値的な比較も可能である。(以下略)

   ―森北出版「化学辞典(第2版)」

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一口に延性といっても、一定方向に延ばすだけでなく、ねじり延性、曲げ延性など、成形性を対象として多くの試験法があるそうだ。

延性と展性は、いずれも材料に亀裂が入って壊れてしまうなどせず、柔軟に変形する性質のことだが、関連する用語をしっかり区別しておこう。

例えば、延性を利用しているのが針金など、つまり引き延ばして作る製品や部品等だ。一方で展性を利用しているのが、圧力をかけたり打ち延ばしたりして広げて作製する金箔などだ。

2. 金属に共通する代表的な性質

「金属」を周期表で見るとどのあたりにあるか、改めて復習してみましょう。

図の黄緑色の部分がいわゆる金属元素です。元素全体の約8割!意外と多いと感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

金属に共通する性質にどのようなものがあるか、すぐに思い浮かびますか?主に以下の4つが挙げられます。

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