![](http://study-z.net/img/is/iStock-177031259.jpg)
メインベルトの軌道について
my own work derived from NASA’s image. – Image:Asteroid Belt.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる
一口にメインベルトといってもその軌道には濃淡があります。基本的には黄道面に沿ってほぼ円に近い軌道を回っていますが、上の図をよく見ると木星の軌道の前と後ろにトロヤ群と書かれた塊があるのがわかるでしょう。ここの群れは公転周期が木星の公転周期と、1:1の関係になっていて、ラグランジュ点とよばれる力学的に安定した領域にあります。そのためにこのような場所にも小惑星が存在しているのです。また小惑星帯の中でも、木星の公転周期と1:3などの整数比となる領域では、木星の重力の影響によって小惑星が少ない領域が存在しています。さらに、小惑星帯の外側と内側の端は、木星との周期が1:2と1:4になる場所です。これより外側は木星、内側は火星の重力の影響で軌道が不安定になってしまいます。このように現在の小惑星にも大きな影響を与えているのが木星の重力です。
小惑星について紹介
ここからは小惑星の具体的な姿を見てきましょう。
ケレスについて
まず最大の小惑星ケレスの姿です。直径約1000キロメートル、質量約9.39×10の20乗キログラムで小惑星帯全質量の3分の1程度をしめると考えらています。上記の画像のように球形でクレーターに覆われた衛星のような見た目です。ただ近年の探査によってクレーターが予想よりも大きくなく、地質学的活動が存在するのではないかと考えられています。ケレスの表面は非常に炭素が多く、表面付近の全質量の約20パーセントも存在するようです。ケレスの構造は中心に岩石質の核、その周りに氷状のマントル、そのまわりに地殻というようになっていると考えられています。以上のようなことから、ケレスは惑星まで成長できなかった原始惑星の生き残りだと考えられているようです。
マティルドについて
NASA – http://nssdc.gsfc.nasa.gov/imgcat/html/object_page/nea_19970627_mos.html, パブリック・ドメイン, リンクによる
次はニアーシューメーカー探査機が調査した小惑星マティルドです。マティルドは直径が約5800キロメートル、質量が1.0×10の17乗キログラムであり、探査機が接近した始めてのC型小惑星、つまり黒っぽい炭素質の小惑星になります。C型小惑星であるため地球に落下してくる炭素質の隕石(炭素質コンドライト)と同様の存在だろうと思われていたのですが、探査の結果、密度が1立方センチメートルあたり1.3グラムしかありませんでした。この値は隕石の半分しかありません。この小さな密度の理由は、マティルドがさらに小さな微惑星や破片が再集積してできた小惑星であるため、中身がすかすかの状態でであることが理由だと考えられています。このような小惑星の構造はラブルパイルと呼ばれていて、以前より研究者によってその存在が予想されていました。
イトカワについて
江戸村のとくぞう – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
最後は日本の探査機はやぶさが探査したイトカワについてです。イトカワはメインベルトから弾き出され、地球に近い軌道にある地球近傍小惑星に分類されています。S型の小惑星で直径が約330メートルしかなく、探査機が探査をした最も小さな天体です。イトカワの持ち帰ったサンプルによって、地球に落ちてくる隕石の8割をしめる岩石質隕石(普通コンドライト)がS型小惑星由来であることが確かめられました。宇宙風化していることや約800度で過熱された痕跡の粒子も確認されています。研究の結果によると、イトカワは直径20キロメートル以上の母天体として生まれ、衝突によってばらばらになった破片の一部が自己重力によって再び集まってできた小惑星のようです。つまりイトカワもラブルパイルということになります。上記の写真はイトカワの模型です。
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