ベクトルとスカラーの違い
それではいよいよ運動量と力学的エネルギーの違いについてみていきましょう!
まず大きな違いは先ほども出ましたが向きがあるかないかということです。運動量がベクトル量、力学的エネルギーがスカラー量ですね。運動量は方向別に考えることができるのです。
実際の問題を解くときも運動量を扱うときには向きがあるので図を書くようにしましょう。式で扱うときも問題に指定がないときは自分で正の方向を決めてしまいましょう!エネルギーにはマイナスが存在しないことも覚えておくと計算結果でマイナスの値が出てきたときに間違いに気づくことができますよ!
保存則が成り立つ条件の違い
実際に物理の問題を解くときには運動量も力学的エネルギーも保存則を用いて式を立てて解いていきます。しかし保存則にも成り立つ条件というものがあるんですね。
この条件が分かっていないと保存則を使っていい問題なのかそうでないのかが分かりません。運動量保存と力学的エネルギー保存の法則では成り立つ条件が異なるのです。次からはそれぞれの保存則について成り立つ条件についてみていきましょう!
運動量保存の法則
運動量保存の法則が成り立つ法則についてみていきましょう。
運動量が保存される条件は物体系に外力が働かないということです。物体系と外力とはなんだという話になるのでそれぞれ解説していきますね。
物体系というのは人間が勝手に定める物体のグループのことです。例えば物体A、B、Cがあったとします。このときAとCのグループを物体系として定めるとしましょう。この場合AとCが互いに及ぼす力が内力です。AとC以外の物体が及ぼす力、BがAやCに及ぼす力が外力ですね。
この場合AとCがどれだけ互いに力を及ぼしても運動量の保存が成り立ちます。
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力学的エネルギー保存の法則
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力学的エネルギー保存の法則が成り立つ条件は物体に保存力のみが働いていることです。保存力とはいったいなんでしょうか。反対の非保存力と合わせてみていきましょう。
物体が何かの力を受けながら点mから点nまで移動したとします。保存力とはこのときに力が物体にした仕事が移動した経路によらず、移動後の位置だけで決まる力のことをいうんですね。保存力の例は重力やバネのフック力などがありますね。非保存力は摩擦力やクーロン力があげられます。
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運動量と力学的エネルギーの単位
単位については世界的な基準であるSI単位系が用いられています。これはSI基本単位という7つの単位を元にして世の中の単位が定められているということ。7つの単位は調べればすぐに分かるので各自で調べてみてください。
運動量の単位は[kg・m/s]で表されます。これは運動量が質量と速さの積で表されるので理解しやすいですよね。
力学的エネルギーの単位は[J]で表されるのが一般的。[J]は基本単位で表すと[m^2*kg*s^-2]で表されます。もう少し分かりやすくすると[N*m]でも表せますね。これは1Nの力がその方向に1m物体を動かすときの仕事が1Jと定義されているからです。
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