化学

3分で簡単「塩酸」は「化合物」?それとも「 混合物」?元家庭教師が徹底わかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。化学の基礎の基礎、物質の分類はきちんと理解しているか?物質は混合物と純物質に分類でき、純物質はさらに化合物と単体に分けることができる。

ところで化学の実験によく出てくる塩酸はどれに分類されるかわかるか?今回は塩酸がどんな物質であるかその分類や性質を国公立大学大学院で化学を学んだというたかはしふみかが解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/たかはし ふみか

高校生の時は化学部に所属し、大学院では化学を専攻し新エネルギーに関する研究を行う。化学部にいた頃はエクセルの式が使いこなせず電卓で計算していたが、部活を通してデータ処理や研究発表について勉強した経験が大学で役に立った。塩酸といえば大学の学生実験で体積計算で苦労したことを思い出すリケジョ。

物質の分類のおさらい

物質の分類のおさらい

image by Study-Z編集部

まずは物質の分類についておさらいしましょう。

物質は純物質混合物に分けられます。化学式で表すことのできるのが純物質で、2種類以上の純物質が混ざった状態の物質が混合物です。純物質には1種類の元素でできた単体と、2種類以上の元素が合わさってできた化合物があります。

空気を例に考えてみましょう。空気は窒素や酸素、二酸化炭素などが混ざった混合物です。そして窒素や酸素は1種類の元素からできている分子なので単体になり、炭素と酸素が化合してできた二酸化炭素は化合物となります。物質の分類についてはこの内容を理解できればOKです。

塩酸はどれに分類される?

では塩酸は混合物、化合物、単体のどれに分類されているのでしょうか?正解は混合物。なぜなら塩酸は塩化水素の水溶液だからです。

理科の実験でおなじみの薬品瓶に入った塩酸は濃度35~37%のものが一般的ですが、用途によって他の濃度のものも販売されています。明確な定義があるわけではありませんが、35~37%の塩酸を濃塩酸と呼び、それを希釈したものを希塩酸と呼ぶことが多いです。25%以上の濃度の塩酸には発煙性があり、うっすら白い煙が上がっています。

ちなみに、10%を超える濃度の塩酸が入った製剤は劇物に指定されていて、その取り扱いには注意が必要です。家庭用の洗剤にも塩酸が入っているものがありますが、その濃度は10%以下となっています。

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希釈とは濃度の濃い物をその溶媒(塩酸の場合は水)で薄めること、劇物とは毒物ほどではないものの誤飲などによって死につながる可能性がある物質のことだ。

分からない用語があれば必ず教科書や資料集などで確認し、自分で説明できるようにしておけ。そして自分で考えた説明文をノートに実際に書いてみると、記述問題の対策になるぞ。

これを読めば塩酸が分かる!塩酸に関する知識

塩化水素の性質

上で説明したように塩酸は塩化水素の水溶液です。塩化水素は塩素と水素が化合してできた、ハロゲン化水素の1種になります。塩化水素は常温では気体の状態で、その沸点はー85℃。色は無色で水に溶けると強酸となります。刺激臭があることも塩化水素の特徴です。

アンモニアと反応して塩化アンモニウムを作り、白煙が生じます。

塩酸を作るのに欠かせない、塩化水素の作り方

塩酸を作るにはまず、塩化水素を作る必要があります。塩化水素の合成法としては以下の方法が一般的です。

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