理系のみんなはコイルと電流の関係はしっかり分かっているか?
コイルは電気回路や電子回路の中で磁気的な作用もありますが今回はコイルと電流の関係に絞って一緒にみていこう!

電流には直流と交流の2つの種類がある。今回は分かりやすくするためにコイルに直流電流を流したときと交流電流を流した場合に分けて進めていく。今回は理系大学生ライターの四月一日そうと一緒にみていくぞ!

ライター/四月一日そう

現役の理系大学生ライター。電気電子工学科に所属しており、電気回路や電子回路、電磁気学を主に勉強中。アルバイトは塾講師をしており高校生たちに数学や物理の面白さを伝えている。

そもそもコイルとは?

image by iStockphoto

コイルとは電気回路、電子回路にはほとんど組み込まれていると言っても過言でないほど基本的な回路素子です。回路を理解しようとするならコイルを避けて通ることはできません。

ではそもそもコイルとはどんな素子なのでしょうか。コイル自体は導線をバネのような形状になるようにグルグル巻いたものです。作り自体は非常に簡単な作りをしているのですが、このコイルに電流を流すことでさまざまな働きをします。

次からコイルに直流電流を流したときのコイルと電流の関係をみていきましょう。

コイルと直流の関係

直流電流をコイルに流したときにコイルがどのような働きをするのかみていきましょう。

コイルに電流を流し始めたとき、実はコイルにはほとんど電流が流れ込みません。ただ、しばらく電流を流し続けると徐々にコイルに電流が流れていき、最後には普通の導線と同じ扱いになります。

次に流し続けていた電流を止めてみましょう。そうするとなんといままで電流が流れていたのと同じ方向に電流が流れ出します!

このことをまとめるとコイルは電流の変化を和らげるような動きをすることが分かりますね!次からはなぜコイルがこのような挙動をするのか磁気的な関係を含めながらみていきましょう!

\次のページで「コイルと電磁誘導」を解説!/

コイルと電磁誘導

先ほど説明したコイルの電流の変化を和らげる働きは、電磁誘導の法則という自然現象と大きく関係があります。電磁誘導の法則とはコイル内の磁束の時間変化によってコイルに起電力が発生するということです。この法則を踏まえてコイルに電流を流してみましょう。

コイルに電流が流れると右ネジの向きに磁束が発生します。右ネジの向きとは右手の親指以外をコイルを流れる電流に沿わせて握って親指を立てたときに、親指が向いている方向が右ネジの向きです。

電磁誘導の法則によりこのとき発生した磁束を打ち消す方向にコイル内で起電力が発生します。これはもともとコイルにかかっている電圧と逆の電圧です。これによって電流の流しはじめはコイルには電流が流れ込みにくいんですね。

電流を止めたときにはもともとあった磁束をコイルが作りだそうとします。そのためにもともとコイルにかかっていた電圧と同じ方向に電圧が発生し、止めた電流と同じ方向に電流が流れるんですね。

コイルの蓄えるエネルギー

コイルの蓄えるエネルギー

image by Study-Z編集部

コイルに電流を流すと、一時的にですがエネルギーを蓄えることができます

先ほどの説明で、電流を流すのをやめた直後にコイルがもともと流れていた電流と同じ向きの電流を流すというものがありました。このとき、流れる電流のエネルギーはコイルが持っていたと考えることができますよね。

コイルが蓄えるエネルギーは、インダクタンスというコイル固有の値とコイルに流れていた電流の大きさで決まります。上の画像の式ですね。LがインダクタンスでIがコイルに流れている電流です。ここでの電流は電源によってコイルに流れていた電流で、コイルが流す電流ではないので注意してください。

コイルと交流の関係

次にコイルに交流電流を流したときのコイルと電流の関係についてみていきましょう。コイルに交流電流を流した際には大きく2つの働きがあります。

1.交流電流ではコイルは電流の流れを妨げる働きがある
2.電流と電圧の位相が90°ずれる

次からはこの2つの働きについて詳しくみていきましょう!

\次のページで「コイルが持つ抵抗の働き」を解説!/

コイルが持つ抵抗の働き

直流電流の場合は最初こそ電流が流れにくかったですが、しばらく電流を流し続けるとコイルは導線と同じ扱いになりました。しかし交流の場合は導線と同じ扱いにすることができません

コイルに交流電流を流した際の電流と電圧の比(V/I)は「jωL」で表されます。「j」は虚数単位で電気分野では電流と混同しないように「i」ではなく「j」を用いることが多いです。

このときの「ωL」はオームの法則での抵抗と同じ形になっているのでコイルの擬似的な抵抗を表します。ただし、抵抗と違って電力を消費しないことに注意しないといけません。また「ω」に比例するので高い周波数の電流ほどコイルに流れ込みにくくなることも覚えておきましょう。

コイルの位相のずれ

2つめの働きは電流と電圧の位相がずれるということです。

位相がずれるとはどういう状態を表しているのでしょうか?交流電源は波形で表すとsinカーブのような波形が連続しています。このとき抵抗であれば電圧と電流の波形が左右にずれることはありません。

しかしコイルの場合は電圧と電流の波形が左右にずれているのです。どのようにずれているのかというと電圧波形に対して電流波形が90°右にずれています。これは電流が電圧に対して90°遅れていることを表していますね。

今回のコイルのポイント

これまでコイルと電流の関係についてみてきました。直流電流と交流電流それぞれの押さえてほしいポイントを振り返りたいと思います。

直流電流を流した場合のコイルの働きで大切なのは電流の変化を和らげると言うことです。交流電流で大切なことは電流と電圧の位相が90°ずれるということですね。

この2つは確実に覚えておいてくださいね!高校物理の範囲では直流電流を流した際のコイルの働きについて詳しく勉強するので大学受験に物理を使うという方は直流電流の方を重点的にやるといいですね。

実際の問題ではコイルだけでなく抵抗やコンデンサといった他の素子と組み合わさった回路が出題されます。そんなときでもそれぞれの働きを理解して順番に回路を追っていけば頭の中を整理しながら解くことができるのでおすすめですよ!

" /> コイルと電流の関係がスッキリわかる!直流・交流での働きの違いも理系ライターが詳しくわかりやすく解説 – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

コイルと電流の関係がスッキリわかる!直流・交流での働きの違いも理系ライターが詳しくわかりやすく解説

理系のみんなはコイルと電流の関係はしっかり分かっているか?
コイルは電気回路や電子回路の中で磁気的な作用もありますが今回はコイルと電流の関係に絞って一緒にみていこう!

電流には直流と交流の2つの種類がある。今回は分かりやすくするためにコイルに直流電流を流したときと交流電流を流した場合に分けて進めていく。今回は理系大学生ライターの四月一日そうと一緒にみていくぞ!

ライター/四月一日そう

現役の理系大学生ライター。電気電子工学科に所属しており、電気回路や電子回路、電磁気学を主に勉強中。アルバイトは塾講師をしており高校生たちに数学や物理の面白さを伝えている。

そもそもコイルとは?

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コイルとは電気回路、電子回路にはほとんど組み込まれていると言っても過言でないほど基本的な回路素子です。回路を理解しようとするならコイルを避けて通ることはできません。

ではそもそもコイルとはどんな素子なのでしょうか。コイル自体は導線をバネのような形状になるようにグルグル巻いたものです。作り自体は非常に簡単な作りをしているのですが、このコイルに電流を流すことでさまざまな働きをします。

次からコイルに直流電流を流したときのコイルと電流の関係をみていきましょう。

コイルと直流の関係

直流電流をコイルに流したときにコイルがどのような働きをするのかみていきましょう。

コイルに電流を流し始めたとき、実はコイルにはほとんど電流が流れ込みません。ただ、しばらく電流を流し続けると徐々にコイルに電流が流れていき、最後には普通の導線と同じ扱いになります。

次に流し続けていた電流を止めてみましょう。そうするとなんといままで電流が流れていたのと同じ方向に電流が流れ出します!

このことをまとめるとコイルは電流の変化を和らげるような動きをすることが分かりますね!次からはなぜコイルがこのような挙動をするのか磁気的な関係を含めながらみていきましょう!

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