
エネルギー変換効率は何で決まる?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!
カルノーサイクルについて考えよう!

image by Study-Z編集部
先ほど、熱機関は熱エネルギーのすべてを運動エネルギーに変換できないことを学びました。ここでは、実際に熱機関はどの程度のエネルギー変換効率であるのかを考えましょう。
熱力学第二法則に基づくと、理論上、エネルギー変換効率が最大になるのはカルノーサイクルという熱機関だとされています。カルノーサイクルのエネルギー変換効率は、1-(低熱源の絶対温度)/(高熱源の絶対温度)という式で求めることができますよ。ここでは、低熱源とは熱機関を設置する場所の環境、高熱源とは燃料などを燃やす熱機関の内部だと考えてください。
この式を見れば、高熱源の絶対温度をかぎりなく大きくすると、エネルギー変換効率は100%に近づくように思われます。しかし、実際は熱機関を構成する材料の耐久性の問題から、高熱源の温度を上げることには限界があるのです。そのため、現実的な数字で考えると85%程度が限界となります。
エネルギー変換効率が小さくなるその他の理由
先ほど、カルノーサイクルを用いる場合、エネルギー変換効率を85%程度までであれば、引き上げることができると述べました。しかし、現実に用いられるガソリン機関では30%程度、ディーゼル機関では45%程度のエネルギー変換効率となっているのです。
このようになってしまう理由は、熱機関の仕組みをカルノーサイクルのものに近づけることが困難であること、熱機関の駆動部分で摩擦が生じることなどが理由にあげられます。さらに、火力発電などでは、熱機関のエネルギー変換効率に加えて、発電機のエネルギー変換効率も考える必要がありますね。発電機の回転部分には摩擦力が生じるのです。このような事例から、エネルギー変換効率を向上させることがいかに大変であるかが分かります。
太陽電池の変換効率

後半は、太陽電池のエネルギー変換効率について考えてみましょう。太陽電池は、太陽からやってくる光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。ソーラーパネルと呼ばれる場合もありますね。住宅の屋根などにも設置できて、最も身近な再生可能エネルギーを利用する装置だと言えます。
温度の影響
太陽電池は、温度が高くなりすぎると、エネルギー変換効率が低下するのです。太陽電池は、光エネルギーを受け取り、電子をより高いエネルギー準位に移動させ電流を生み出します。このとき、電子はバンドギャップ(禁制帯)という領域を乗り越える必要があるのです。温度が高くなると、この領域が広くなり、電子がこれを乗り越えるためにより多くの光エネルギーを受け取らなければならないようになります。
光には、紫外線、可視光線、赤外線などがありますね。この中で赤外線は、太陽電池表面の温度を高くするはたらきが強くなります。つまり、赤外線は太陽電池に悪い影響を与えうるといことです。太陽電池は、光がたくさん当たれば、エネルギー変換効率が向上するというわけではないのですね。
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