
カロリー、ジュール、ワットなどのエネルギーの単位を理系学生ライターがわかりやすく解説!

「カロリー」や「ワット」という言葉を聞いたことがあるだろう。これらはエネルギーに関連がある単位だ。エネルギーの単位は身近な物理単位でありながら、定義について説明しようとすると戸惑ってしまうことも少なくない。ぜひこの記事を読んで、エネルギーの単位について理解してくれ。
エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。
エネルギーの定義を考えよう!

エネルギーの単位を考える前に、そもそもエネルギーとは何かを考えてみましょう。そうすると、私たちが普段使っている「エネルギー」という言葉の定義が曖昧であることが分かってきます。例えば、「エネルギーを消費する」という表現は正しいでしょうか?例をとって考えてみましょう。
ガソリンを使って自動車を走らせるということを考えます。ガソリンを燃焼させると熱が発生しますね。その熱でエンジンを動かし、タイヤを回転させます。そして、ブレーキを踏むと、やがて自動車は止まることでしょう。では、自動車が停止した後、ガソリンのエネルギーはどこへいってしまうのでしょうか?消えてしまったのでしょうか?実は、摩擦をおこして熱となります。
このように考えると、「エネルギーを消費する」という表現は不適切です。どうやら、私たちは自分たちのとって有用なエネルギーの形でなくなってしまうと、「消費する」という表現を用いるようですね。しかし、物理学では違います。私たちが使えない形のものも含めて、すべてエネルギーと呼ぶのです。
この記事で、紹介するエネルギーの単位は物理学的な考え方に基づきます。以下では、動力、熱、電気、光、音などの能力を統一的に扱うためのエネルギーの単位を解説していきますね。この言葉通り、以下で登場するエネルギーの単位は、力学、電磁気、熱力学、光学などすべての分野で用いることが可能です。

エネルギーが消えてなくなることはない。違う形のエネルギーに姿を変えているだけだ。
エネルギーの単位をみてみよう!
それでは、ここからは代表的なエネルギーの単位をいくつか紹介します。使用目的、各単位の定義、他の単位との換算法などを中心に解説していきますね。

ここで紹介する内容について理解することができたら、ほとんどのエネルギー計算に対応できるようになるぞ。難しい数学の計算はないから、安心してくれ。
カロリー(cal)

カロリーは、私たちにとって最も馴染みのあるエネルギーの単位ではないでしょうか?アルファベットで表記するとcalです。ほぼすべての食品に、キロカロリー表示がなされていると思います。ダイエット中に気にしてしまう数字ですね。他にも、ガスコンロやガスストーブの性能を示すためにも、カロリーという単位が使われます。
では、カロリーという単位の定義を考えてみましょう。1カロリーは、1kgの水を1℃温度上昇させるのに必要なエネルギーです。当初は、蒸気機関の開発研究のために作られた単位でした。また、食品に表示されるキロカロリーは、人間が体内で食品を消化したときに最終的に放出される熱量となっています。たんぱく質、脂質、炭水化物などの各栄養素から得られるエネルギーを重みづけして計算していますよ。
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