有機物とはかなり広い範囲のグループで、人によって想像するものは全く違うはずです。
それだけ幅広く可能性に溢れた分野だということです。
そんな有機物について、大学で有機化学を専攻している学生ライターずんだもちと一緒に解説していきます。
ライター/ずんだもち
化学系の研究室で日々研究を重ねる理系学生。1日の半分以上の時間を化学実験に使う化学徒の鑑。受験生のときは化学が得意でなかったからこそ、化学を苦手とする人の立場に立ってわかりやすく解説する。
1.有機物とは?
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有機物(=有機化合物)とは「炭素を含む化合物の総称」「炭素を骨格とした化合物の総称」などと定義されます。ただし、どの物質までを有機物に含めるかどうかは明確な基準があるわけではありません。デジタル大辞泉の説明でも「炭素を含む化合物の総称。ただし、二酸化炭素・炭酸塩などの簡単な炭素化合物は習慣で無機物(=無機化合物)として扱うため含めない。」と書かれているようにその定義は曖昧です。別の言い方をするならば、どこまでが有機物かを分類することに意味がないとも言えます。定義の話はここまでにして、有機物とはどんなものなのかをさっそく見ていきましょう。
2.身近な有機物
有機物といってもその種類は無数にありますので、ここからは私たちの身近にある有機物をいくつか紹介し、その構造式を具体的に見ていきながら、有機物にどんな可能性があるのかを解説していきます。
2-1.アルコール
アルコールは非常に身近な有機物の1つです。
一般にお酒に含まれているアルコールは「エタノール」という化合物で、以下のような構造をしています。
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ここでの重要なポイントは「炭素には手が4本ある」こと。化学を勉強している人なら当たり前だと思う人もいるかもしれませんが、この事実はとても大切で、有機物の幅を広げている大きな理由の1つになります。
地球上に数多く存在する原子の中で手が4本というのは最大です。手が3本の原子であればそれだけ結合できる原子の数が減ってしまい構造の自由度も減ってしまいます。手が4本あるからこそより多くの構造をとることができ、同じ有機物というグループの中でも多様な性質を示すのですね。
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