温めると膨張「シャルルの法則」について理系ライターがわかりやすく解説
2-2.逆に、圧力が一定でない状態は?
圧力が一定でない=自由に膨らめない状態とイメージしましょう。硬くて膨張できないボールのような状態。自由に膨らめないので、膨らまさそうとするとどんどん内圧が上がります。
3.状態方程式との関連
image by Study-Z編集部
理想気体の状態方程式なるものと、シャルルの法則の関係を見ていきましょう。
状態方程式:PV=nRT
P:圧力、V:体積、n:気体の物質量、R:モル気体定数、T:気体の絶対温度
シャルルの法則では圧力一定としていますから、P=一定。気体の物質量を変える話は出てこないのでnも一定。Rは元々定数なので一定。
定数xV=定数xT
V/T=定数/定数=定数。シャルルの法則の形に変形できました。
このように、気体の状態方程式からも「圧力一定なら、温度と体積が比例する」ということを確認できます。シャルルの法則の公式を使う問題を、状態方程式を利用して解くことも可能。
4.温度と体積が比例する理由
「気体は温かくなると膨張」。これだけでも直感的にうなずけますが、もう少し深掘っていきましょう。
そもそも気体の温度とは?
温度=気体の熱のことですね。では、熱とは?熱の単位はジュール[J]、つまり熱はエネルギー、気体粒子の熱運動によるエネルギーなのです。
たどっていくと、温度=気体のエネルギーの指標となります。そして、絶対温度Tは気体のエネルギーに比例するように定義されているもの。
もし、絶対温度T=0Kなら、気体のエネルギーは0(全く熱運動していない状態)。絶対温度Tが2倍になれば、エネルギーも2倍。
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温度が高いほど、エネルギーが大きい=気体粒子(原子や分子)の運動が激しいわけですから、スペースをたくさん必要とするもの。
例えば、絶対温度が2倍になると、2倍激しく動きます。気体同士がぶつかる確率が2倍になるので、体積が同じままだと圧力が2倍になるのです。
圧力(=ぶつかる頻度)を据え置くためには、気体粒子の密度を半分=気体粒子の個数は同じでスペース(体積)を2倍にする必要があります。
以上より、圧力が一定の場合、絶対温度と体積が比例することが確認できました。
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