
「向こう見ず」の意味と使い方・例文・類義語・対義語。日本文学専攻の現役ライターがサクッとわかりやすく解説!
先のことを考えずに行動することについていう時に使う言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また他の言葉で言い換えるにはどのような言い方ができるのか、疑問を抱いている方もいるかもしれません。
そこで、ここでは、「向こう見ず」の意味と使い方・例文・類義語・対義語などを、法律事務所の事務職として、弁護士が作成した文書の校正やマニュアル改訂作業を行った経験を持つ筆者が解説します。
「向こう見ず」の意味は?
まず、「向こう見ず」を辞書で引くと以下のように解説されています。
結果がどうなるかも考えないで行動すること。無鉄砲。
出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「向こう見ず」
つまり、「それを行った結果がどうなるかを考えることなく行動すること」を表す語です。
夏目漱石の「坊っちゃん」を読んだことはあるでしょうか。「親譲りの無鉄砲で子供のころから損ばかりしている」という有名な一文で始まる小説です。
主人公の坊ちゃんは、同級生にけしかけられて2階から飛び降りてしまったり、「このナイフは何でも切れる」と自慢したら「じゃあ自分の指を切ってみろ」と言われて、本当に自分の手を切ってみせたりします。
まさに「向こう見ず」な性格といえるでしょう。
読んで字のごとくなので、由来というほどでもないのですが、「向こう」は「あちら」という意味で場所を指すほかにも「今後・これから」といった時系列を指すこともできます。
そこから、「この先どうなるか考えない様子」を指して、「向こう見ず」と言うのですね。
「向こう見ずな性格の彼は、台風が来ていてもお構いなしに自転車で出掛けていった。」
「彼は向こう見ずにも競合店のひしめく激戦区に店を出すことを決めた。」
「猛烈なスピードを出して走る彼の向こう見ずな運転に、同乗した友人はひやひやしっぱなしだった。」
「仕事のしかたについて上司から注意を受けるも納得がいかない彼は、仕事へのやる気をなくして向こう見ずにも退職を決めた。」
「向こう見ず」は、上記のようにある人が後のことを考えずに行動する様子についていう場合に「向こう見ずに~する」「向こう見ずな性格」などの形で使うことができます。
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