
「鳴り物入り」の意味と使い方・例文・言い換え表現は?日本文学専攻の現役ライターがサクッとわかりやすく解説!
ある物事を大げさに宣伝する時に使う慣用句ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また他の言葉で言い換えるにはどのような言い方をすることができるのか、よく分からないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、ここでは、法律事務所の事務職として、弁護士が作成した文書の校正・マニュアル改訂作業を行った経験を持つ筆者が、「鳴り物入り」の意味と使い方、類義語・言い換え表現について解説していきます。
「鳴り物入り」の意味と語源は?
まず、「鳴り物入り」を辞書で引くと以下のように解説されています。
歌舞・演劇などで鳴物を入れて調子を取り、またはにぎやかにすること。
転じて、物事におおげさな宣伝などを伴うこと。
出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)
「鳴り物」はもともと歌舞伎の用語で、太鼓、鉦、笛といった楽器のことを指します。
花形役者が舞台に登場するとき、これらの楽器を賑やかに演奏して場を盛り上げるのです。
つまり「鳴り物入り」は、「楽器を使うなどして賑わしくすること」を指し、そこから転じて、「ある物事に併せて大げさな宣伝を行うこと」を表すときに使われるようになりました。
ほかにもまだある!実は歌舞伎から生まれた言葉

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余談ですが、歌舞伎用語が由来となって日常語として使われるようになった言葉は他にもたくさんあります。
ほんの一部ですがご紹介しましょう。
1. 二枚目
美男子のことを指すときに使う「二枚目」。
これは、歌舞伎の番付において、若い色男の役者を二枚目の看板に書く慣習があることに由来しています。
同じように、道化役は三枚目に書かれることから、現在でもコミカルな役の俳優のことを「三枚目」と呼びますね。
2. 十八番
一番得意とする演目や芸のことを「十八番(じゅうはちばん・おはこ)」と呼ぶことがありますが、これも歌舞伎から生まれた用語です。
七代目市川団十郎が、市川家が代々得意としていた18種類の演目を選んで、「歌舞伎十八番」として発表しました。
また、これらの台本を桐の箱に入れて大切に保管していたことから、「おはこ」という読み方をするようになったと言われています。
3. 幕の内弁当
白飯と数種類のおかずを詰め合わせた、お弁当の代表格である「幕の内弁当」。
この言葉の語源は諸説あるようですが、いずれも歌舞伎の芝居小屋で食べられるようになったお弁当に由来しています。
・芝居の幕間(幕の内)に観客/役者が食べていたから
・役者が幕の内側(舞台裏)で食べていたから
卵焼き、かまぼこ、焼き魚、煮物、お漬物など、一口大のおかずが少しずついろいろ詰め合わさっているのは、芝居の合間に手早く食べられるための工夫なのだそうです。
「鳴り物入り」の使い方・例文
ある物事を大げさに宣伝する様子を表す「鳴り物入り」という言葉ですが、具体的にどんなシチュエーションで使えばよいのでしょうか?
一つ注意が必要なのは、単に「賑やかで華々しい様子」を表すだけではなく、少し皮肉っぽいニュアンスを込めるときによく使われるということ。
例文をまじえて詳しく見ていきましょう。
まずは以下のような文章の中で使うことができます。
「球場では、トランペットや笛などを使った鳴り物入りの応援で賑わっていた」
「その企業は、社運を掛けた新製品をテレビCMを流すなどして鳴り物入りで宣伝した」
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