「立役者」(読み方:「たてやくしゃ」)という言葉は、「立役者になる」「影の立役者」などの形でよく用いられています。

何かの物事を成す上で、重要な役割を果たした人物についていう場合に用いる言葉ですが、
具体的にどのような使い方をするのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問を抱く方もいるかもしれません。
そこで、ここでは「立役者」の意味、言葉の成り立ちと、使い方や類義語について学んでいきましょう。
歌舞伎を含め、舞台を愛するライターあかりが、本稿を担当いたします。

「立役者」の意味と使い方・例文

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それでは、以下に「立役者」の意味と使い方について説明します。

「立役者」の意味とは?

まず、「立役者」には以下のような意味があります。

一座の中心となる重要な役者。転じて、重要な役割をする中心的人物。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「立役者」

 

芝居で一座の中心になる役者。立役(たてやく)。立者(たてもの)。
ある方面で中心となって活躍する者。中心人物。 
 
出典:大辞林 第三版(発行所 三省堂株式会社)
 
演劇用語。
一座で主要な役を演ずるほどの俳優をいう。歌舞伎(かぶき)の場合、古くは名題(なだい)役者のことを「立者(たてもの)」といい、そのうち一座を統率する座頭(ざがしら)をはじめ、立女方(たておやま)、書出し、中軸(なかじく)などの幹部俳優をとくに「大立者」とよんだ。今日、立役者または大立者といえば、むしろ一般語で、物事の主人公を意味する語になっている。
出典:日本大百科全書(発行所 株式会社小学館)

つまり、もともとは演劇用語で芝居の一座において「中心となる重要な俳優」を指す言葉。現在、そこから転じて一般的にも「ある物事において重要な役割を担っている中心的な人物」を「立役者」と表現しています。

歌舞伎では、男役のこと(また男役の主役のこと)を「立者(たてもの)」また「立役(たちやく)」。またその役を演じる役者や一座をまとめる中心的な幹部俳優を「大立者」などと呼んでいます。「立役者」も同じ意味です。

一つのストーリー(エピソード)において、主人公・ヒーロー的な役割を担った人をこの言葉で指し示すと良いでしょう。

 

「立役者」の使い方・例文

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次に、「立役者」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼は地域ブランドを確立し地域活性化を成功させた立役者だ」

「スーパーセーブで相手方のシュートを阻止しチームのピンチを救った彼は、チームを勝利へと導いた影の立役者だ」

「劇団の立役者である彼は、座長として一座の責任者的な役割も担っている」

「スティーブ・ジョブズはApple創業者の一人でありながら会社を追い出されたが、後に復帰し絶不調にあったAppleの業績を回復させる立役者となった」

「過疎化が進んだこの村に注目が集まり、活気が戻った。その立役者は伝統を受け継いだおばあちゃんだった。」

辞書を紐解くと、「立役者」とは主役(または中心的な役者)や出来事の中心人物とされており、一見すると、《人物》以外を指す際には使えないように思わえるのではないでしょうか。

しかし、近年は人物以外にも、そのモノの魅力の中心となるポイント、流行の要因になってたモノを「立役者」と呼ぶケースが多々見受けられます。

「鰹節は、料理の立役者として、今世界で注目を集めている。」

「手帳ブームの立役者、マスキングテープの魅力に迫る。」

\次のページで「「立役者」の類義語とは?」を解説!/

「立役者」の類義語とは?

次に、「立役者」の類義語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味の語には、以下のようなものが挙げられます。

 

#1 花形

次に、「花形」には以下の意味があります。

一座を代表する人気役者。「花形役者」の略。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「花形」

人気があって、一座の代表的な俳優。転じて、ある分野で人気があり、注目を集めている人や事柄。

出典:デジタル大辞泉(発行所 株式会社小学館)こ

つまり、「(劇団など)その一座の代表となる人気俳優」のことをいいます。

元々は歌舞伎の世界から生まれた言葉で、歌舞伎俳優のうち演技の実力がある人を「実方(みがた)」、人気があり華やかな人を「花方(はながた)」と呼んでいました。「男方・女方」を「男形・女形」と表記が変わったように、「花方」も「花形」と変わり、今に至ります。

「長身の美男子で体格の良い彼は劇団に入ってから1年で花形に抜擢された」

「その舞台では劇団の花形となる俳優が主役を演じている」

「今夏の甲子園の花形選手が多く、注目を集めている」

#2 中心人物

まず、「中心人物」には以下の意味があります。

\次のページで「アジテーター」を解説!/

ある事件または団体の中心に立つ重要な人物。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「中心人物」

 

英語の「core(核)」「center(中心)」「pillar(支柱)」などは、どの言葉も文脈によって「中心人物」と訳すことができます。

逆に英訳する際は、上記のとおりニュアンスが異なりますので、適切な単語を選ぶように留意しましょう。

「彼は新規事業展開のために発足されたプロジェクトチームの中心人物となって、メンバーを取りまとめている」

「久坂玄瑞は松下村塾で高杉晋作とともに『双璧』と呼ばれた逸材で、幕末の長州藩において攘夷派の中心人物として活躍した人物である」

「ターゲットに合わせて、この企画の中心人物は女性ばかりだ」

「疑惑の中心人物は、皆取り調べを受けている」

#3 アジテーター

次に、「アジテーター」について意味を見ていきましょう。

扇動(agitationアジテーション)する人。扇動家。

気持ちをあおり、ある行動を起こすようにしむけることを扇動といい、そのような働きをする人のこと。

出典:コトバンク

「立役者」には、ある物事において重要な役割を担っている中心的な人物という意味があります。

「アジテーター」は物事が起きる要因となる重要な役割をする人という意味で、今回類語としてあげました。

音楽のライブなどでもアジテーターと呼ばれるパートが存在し、観客を煽り、盛り上げる役割を務める人です。盛り上がったライブを作る影の立役者とも言えるでしょう。

ただ、政治的な意味で使われる場合は、大衆の不平不満、不安や怒りを煽る嫌いがあり、ネガティブな意味で使われることが多い言葉です。

\次のページで「脇役」を解説!/

「アジテーターとしての才覚がひかり、彼は政界をのし上がっていった」

「うちのクラスは彼というアジテーターがいるので、イベントごとの結束が強い」

#4 脇役

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次に、類語として「脇役」についてご紹介します。

映画・演劇などで、主役を助け、引き立たせる演技をする役。また、その人。わき。

中心となる人を補佐し、守り立てる役。また、その人。

出典:コトバンク

「今回のプロジェクトは、しっかりと脇役にまわって、なんとしても成功させたい」

「あの映画は、名脇役の好演で、最高に見応えがあった」

「立役者」は推進力であり、決定力のある中心人物。

以上、「立役者」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は「一座の中心となる重要な役者」「物事をする上で重要な役割をする中心的な人物」のことをいい、主に「(~を成功させた)立役者となる」「(~を成功に導いた)陰の立役者」などの形で使われています。

また、近い意味の語には「中心人物」「花形」といったものがあげられるでしょう。

「中心人物」は「団体などにおいて中心となる立場にある重要な人物」をいい、ある団体や事件の中で核となる役割を果たす重要な人物についていう場合に「チームの中心人物」などの形で使うことができます。

そして「花形」は「一座を代表する人気俳優」のこといい、若くて華のある俳優という位置付けにある役者のことをいう場合に使い、主役級の俳優であっても「重鎮」「ベテラン」と言われる域の俳優に対しては適切ではありません。スポーツ選手などでも若手の注目選手のことは花形と表現します。

これらの語は、それぞれ「劇団などの一座」もしくは「ある物事や団体」などにおいて、中心的な立場にある重要な人物についていう場合に使うことができるので、立場に合わせ使い分けると良いでしょう。

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言葉の意味

「立役者」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「立役者」(読み方:「たてやくしゃ」)という言葉は、「立役者になる」「影の立役者」などの形でよく用いられています。

何かの物事を成す上で、重要な役割を果たした人物についていう場合に用いる言葉ですが、
具体的にどのような使い方をするのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問を抱く方もいるかもしれません。
そこで、ここでは「立役者」の意味、言葉の成り立ちと、使い方や類義語について学んでいきましょう。
歌舞伎を含め、舞台を愛するライターあかりが、本稿を担当いたします。

「立役者」の意味と使い方・例文

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それでは、以下に「立役者」の意味と使い方について説明します。

「立役者」の意味とは?

まず、「立役者」には以下のような意味があります。

一座の中心となる重要な役者。転じて、重要な役割をする中心的人物。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「立役者」

 

芝居で一座の中心になる役者。立役(たてやく)。立者(たてもの)。
ある方面で中心となって活躍する者。中心人物。 
 
出典:大辞林 第三版(発行所 三省堂株式会社)
 
演劇用語。
一座で主要な役を演ずるほどの俳優をいう。歌舞伎(かぶき)の場合、古くは名題(なだい)役者のことを「立者(たてもの)」といい、そのうち一座を統率する座頭(ざがしら)をはじめ、立女方(たておやま)、書出し、中軸(なかじく)などの幹部俳優をとくに「大立者」とよんだ。今日、立役者または大立者といえば、むしろ一般語で、物事の主人公を意味する語になっている。
出典:日本大百科全書(発行所 株式会社小学館)

つまり、もともとは演劇用語で芝居の一座において「中心となる重要な俳優」を指す言葉。現在、そこから転じて一般的にも「ある物事において重要な役割を担っている中心的な人物」を「立役者」と表現しています。

歌舞伎では、男役のこと(また男役の主役のこと)を「立者(たてもの)」また「立役(たちやく)」。またその役を演じる役者や一座をまとめる中心的な幹部俳優を「大立者」などと呼んでいます。「立役者」も同じ意味です。

一つのストーリー(エピソード)において、主人公・ヒーロー的な役割を担った人をこの言葉で指し示すと良いでしょう。

 

「立役者」の使い方・例文

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次に、「立役者」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼は地域ブランドを確立し地域活性化を成功させた立役者だ」

「スーパーセーブで相手方のシュートを阻止しチームのピンチを救った彼は、チームを勝利へと導いた影の立役者だ」

「劇団の立役者である彼は、座長として一座の責任者的な役割も担っている」

「スティーブ・ジョブズはApple創業者の一人でありながら会社を追い出されたが、後に復帰し絶不調にあったAppleの業績を回復させる立役者となった」

「過疎化が進んだこの村に注目が集まり、活気が戻った。その立役者は伝統を受け継いだおばあちゃんだった。」

辞書を紐解くと、「立役者」とは主役(または中心的な役者)や出来事の中心人物とされており、一見すると、《人物》以外を指す際には使えないように思わえるのではないでしょうか。

しかし、近年は人物以外にも、そのモノの魅力の中心となるポイント、流行の要因になってたモノを「立役者」と呼ぶケースが多々見受けられます。

「鰹節は、料理の立役者として、今世界で注目を集めている。」

「手帳ブームの立役者、マスキングテープの魅力に迫る。」

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