「勘所」(読み方:「かんどころ」)という言葉は、「話の勘所」「勘所を押さえる」などの形でよく用いられています。

「要点」という語と近い意味で使われていますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「勘所」の意味と使い方、類義語にあたる言葉について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「勘所」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「勘所」の意味と使い方について説明していきます。

「勘所」の意味は?

まず、「勘所」には「はずすことのできない大事なところ。肝心なところ」という意味があり、「物事を行うにあたって外してはいけない大切なこと」を表す語となっています。

また、「勘所」は日本音楽の用語として、「(三味線・琴などの弦楽器で)弦を押えて音高を定める位置のこと。つぼ」という意味でも用いられ、この意味を類推することで「肝心なところ」といった一般的に用いられる意味が発生したと考えられます。

「勘所」の使い方は?

次に、「勘所」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「さすがに彼は業界経験が豊富なだけあって仕事の勘所をつかんでいる」

「隙がなく勘所を外さない彼の仕事ぶりは上司からも高く評価されている」

「メリハリを付けた表現力のある話し方をするのが人に伝わるスピーチをする上での勘所だ」

「経験を重ねて成功するプレゼンテーションの勘所をつかむ」

「彼女の病気は軽い胃潰瘍だったが、これまでに何度も診察しているのでその勘所はわかっていた」

「精緻な手工業などは体で覚えるという側面があるため、相手に勘所をうまく伝えることが難しい」

「どれほど技術が発達しても、戦闘機乗りには本能的な勘所と職人芸が要求される」

「彼の実に勘所を心得た仕事ぶりに私は思わずひざを打った」

「私は部下への指導を通じてビジネスの勘所を押さえることができた」

なお、「勘所を押さえる」は「勘所」の慣用句で「物事の肝心な点や急所をとらえる」ことを意味します。

「勘所」の類義語は?

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それでは、次は「勘所」の類義語・類語である「要点(ようてん)」「肝心(かんじん)」「急所(きゅうしょ)」について見ていきましょう。

まず、これらの語は以下のような意味があります。

「要点」:物事の中心となる大切な点。物事の重要な箇所。肝要なところ。

「肝心」:非常に重要なこと。特に大切なこと。肝要。

「急所」:物事の最も大事なところ。要所。要点。

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「要点」の使い方は?「勘所」との違いは?

それでは、次に「要点」の使い方、また「勘所」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「授業の内容の要点をノートに書き出して整理する」

「短時間で相手にこちらの伝えたいことを理解してもらうには、要点を整理して話をすることが大切だ」

「読者が作品を読む上で多少とも参考になればと思い、参考文献の要点を紹介した」

「彼は前後の説明をせずにいきなり要点に入るので、内容を飲み込むのに時間がかかる」

「時間がなかったことから、私はなるべく簡単に自分の知ってる要点だけを話した」

このように、「要点」は「物事の重要なところ」を表す一方、「勘所」は「物事を行うにあたって重要なところ」を表すというニュアンスの違いがあります。

「肝心」の使い方は?「勘所」との違いは?

それでは、次に「肝心」の使い方、また「勘所」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「歓迎会の準備は整ったが、肝心の主役がまだ来ていない」

「彼は普段偉そうにしていても肝心な時には役に立たない」

「今からこんなに緊張していたら肝心の時に何もできなくなってしまう」

「彼は中途半端なバッティングが多く、肝心要の局面で活躍しないので評判はあまり芳しくない」

「彼女は肝心な点になると、話をぼかしてしまうというか、気を持たせた言い方をする」

そもそも「勘所」は「肝心なところ」というように「肝心」に「所・箇所」といった意味を加えた意味を表わしている点で両者は異なります。

また「肝心」には、「(他と比べてとりわけ)重要なこと」というニュアンスがあるため、この点においても「勘所」とも「要点」とも意味が異なるでしょう。

なお、「肝心要」は「肝心」に「要」を重ねることで「肝心」を強調した語で「とりわけて重要なこと」を表します。

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「急所」の使い方は?「勘所」との違いは?

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それでは、次に「急所」の使い方、また「勘所」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「今日の国会では文字通り政権の急所を衝いた質問もあれば、時間を割かれること自体が馬鹿馬鹿しいタイプの質問もあった」

「このパイプライン構想が進めば、ドイツがロシアにエネルギー依存を高め、急所を握られることになるだろう」

「これらの問題は宇宙の構造に関する科学上の問題の急所に触れている」

「いつものことながら、彼の質問は急所を押さえたものだった」

「彼は検事側の発言に対して正直に反応し、表情を変えたり変えなかったりで、急所を突かれるとすぐに分かる」

「急所」も「要点」と同じく「物事の重要なところ」を表すため、「物事を行うにあたって重要なところ」を表す「勘所」とはニュアンスの違いがあります。

ただし、「急所」には「致命的な箇所」というニュアンスがある点で、「要点」などとは意味が異なると言えるでしょう。

「勘所」は「何かを行う上で大事な所」、「要点」「肝心」「急所」は「大事な所」を表わす

以上、「勘所」の意味と使い方、また類義語についてまとめました。

この言葉は主に「外してはいけない最も重要なところ」をいい、ある物事を行う上で外せない大事なことを把握することについていう場合に「勘所を押さえる」「勘所をつかむ」などの形で用いることができるでしょう。

また、近い意味の語には「要点」「肝心」「急所」といったものがありますが、これらは「ある物事において非常に重要なこと」「複数あるものの中で最も大事なこと」「致命的なところ」をいい、「要点を整理する」「肝心な~」「急所を衝く」などの形で用いることができます。

それぞれ「重要なこと」といった近い意味がありますが、それぞれ異なるニュアンスがあるため、適切に使い分けられるよう以上のことを念頭に置いておくと良いでしょう。

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言葉の意味

「勘所」の意味と使い方・例文・類義語は?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「勘所」(読み方:「かんどころ」)という言葉は、「話の勘所」「勘所を押さえる」などの形でよく用いられています。

「要点」という語と近い意味で使われていますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「勘所」の意味と使い方、類義語にあたる言葉について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「勘所」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「勘所」の意味と使い方について説明していきます。

「勘所」の意味は?

まず、「勘所」には「はずすことのできない大事なところ。肝心なところ」という意味があり、「物事を行うにあたって外してはいけない大切なこと」を表す語となっています。

また、「勘所」は日本音楽の用語として、「(三味線・琴などの弦楽器で)弦を押えて音高を定める位置のこと。つぼ」という意味でも用いられ、この意味を類推することで「肝心なところ」といった一般的に用いられる意味が発生したと考えられます。

「勘所」の使い方は?

次に、「勘所」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「さすがに彼は業界経験が豊富なだけあって仕事の勘所をつかんでいる」

「隙がなく勘所を外さない彼の仕事ぶりは上司からも高く評価されている」

「メリハリを付けた表現力のある話し方をするのが人に伝わるスピーチをする上での勘所だ」

「経験を重ねて成功するプレゼンテーションの勘所をつかむ」

「彼女の病気は軽い胃潰瘍だったが、これまでに何度も診察しているのでその勘所はわかっていた」

「精緻な手工業などは体で覚えるという側面があるため、相手に勘所をうまく伝えることが難しい」

「どれほど技術が発達しても、戦闘機乗りには本能的な勘所と職人芸が要求される」

「彼の実に勘所を心得た仕事ぶりに私は思わずひざを打った」

「私は部下への指導を通じてビジネスの勘所を押さえることができた」

なお、「勘所を押さえる」は「勘所」の慣用句で「物事の肝心な点や急所をとらえる」ことを意味します。

「勘所」の類義語は?

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それでは、次は「勘所」の類義語・類語である「要点(ようてん)」「肝心(かんじん)」「急所(きゅうしょ)」について見ていきましょう。

まず、これらの語は以下のような意味があります。

「要点」:物事の中心となる大切な点。物事の重要な箇所。肝要なところ。

「肝心」:非常に重要なこと。特に大切なこと。肝要。

「急所」:物事の最も大事なところ。要所。要点。

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