「本位」(読み方:「ほんい」)という言葉は、「自分本位」「興味本位」などの形でよく用いられています。

日常的によく用いられている言葉ですが、具体的にはどのようなことを表すのか、また混同しやすい「本意」や似た意味を持つ「基準」「規準」という語とはどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「本位」の意味と使い方、また「本意」「基準」「規準」との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「本位」の意味と使い方・例文・「本意」との違い

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それでは、始めに「本位」の意味と使い方、また「本意」との違いを説明します。

「本位」の意味は?

まず、一般的に用いられている「本位」という語には、以下のような意味があります。

判断や行動などの基本となるもの

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「本位」①

つまり、主に「物事を判断したり何かの行動をとる上で中心に位置づけられるもの」を表す語として用いられています。

「本位」は、この意味のほか、「金本位制」などと使われる「貨幣制度の基準」、「本位に復する」といった形で用いられる「もとの地位」という意味があります。

「本位」の使い方は?

では次に、「本位」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その企業は学歴でなく人物・能力本位で選考をしている」

「自分本位の考え方や振る舞いは相手に誤解を与えかねない」

「その本は興味本位で書かれた記事ばかりで中身がないように感じる」

「当社は常にお客様に満足していただける品質本位の製品にこだわって提供しております」

「彼はすべてが、親がとか、学校がとか、社会がとか、みんな他人本位だった」

「プロの世界はどこも、まったく記録本位、成績本位だ」

「このビルは、鉄・ガラス・コンクリートといった材料を使った無装飾で実用本位な建築物だ」

「文章の推敲というものは、表面的な文学上の修飾ではなく、どこまでも内容を本位とするものでなければならない」

「会社は顧客だけでなく従業員を本位としなければ発展はしない」

\次のページで「「本位」と「本意」の違いは?」を解説!/

このように、「本位」は、ほとんどの場面で前に語を置いて「~本位」といった形で用いられますが、「~を本位とする」という用法もあります。

「本位」と「本意」の違いは?

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次に、読み方が同じである「本意」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「本意」には以下の意味があります。

本当の考え・気持ち。真意

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「本意」①

そして、この語と「本位」の使い方を比較すると以下のようになります。

「本意」:「彼は弁護士になる夢を諦めたが、それは決して彼の本意ではない」(彼は弁護士になる夢を諦めたが、それは決して彼の本当の気持ちからのものではない)

「本位」:「興味本位でその事件について記事にすることは感心しない」(面白いかどうかだけを基準に考えてその事件について記事にすることは感心しない)

つまり、「本意」は「ある物事に対するその人の本当の考えや気持ち」、「本位」は「ある物事を判断する基準」を表すという明確な違いがあります。

\次のページで「「本位」と類似した語との違いは?」を解説!/

「本位」と類似した語との違いは?

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それでは、次は「本位」と似た意味を持つ「基準」「規準」について見ていきましょう。

まず、これらの語の意味は以下のようになります。

「基準」:物事を比較・判断するときの拠り所。満たさねばならない一定して必要とされる条件。

「規準」:思考・行為などの際に従う、または手本とするべき拠り所。規範とするもの。

「基準」の使い方は?「本位」との違いは?

それでは、次に「基準」の使い方、また「本位」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「国内の成績を基準にして、どの選手を世界大会に出すかを検討する」

「美に対する判断基準は、時代や文化によって大きな差がある」

「実験器具の目盛りを読む際の基準や注意点についても覚えておくと良いでしょう」

「文学作品批評には、評価の基準が重大な意味をもつ」

「基準」と「本位」は「物事を比較・判断するときにもとにするもの」という意味では同じですが、「本位」でもとにするのは「重要視するもの」であり、「基準」でもとにするのは「何を重要視するかを決める拠り所」であるというニュアンスの違いがあります。

「規準」の使い方は?「本位」との違いは?

それでは、次に「規準」の使い方、また「本位」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「日本においては、食品機械用潤滑剤の安全性に関する規準は定められていない」

「監査とは、一定の規準に照らして証拠を収集し、その証拠に基づいて何らかの評価を行い、結果を利害関係者に伝達することをいう」

「たまたま問題を処理するための規準となるべき規則が抜けていた」

「先進国が途上国に援助をしようとすると、たいてい自国の常識を規準にして、方針を立ててしまう」

\次のページで「「本位」は「判断する上で中心とするもの」を表し、「本意」とは全く意味が違う」を解説!/

このように、「規準」は、「何かを行う際に従うべき、もしくは手本とするべき拠り所」を表しており、主に社会的・道徳的に守らなければならない決まりごとなどを述べる場合に用いられます。

「本位」は「判断する上で中心とするもの」を表し、「本意」とは全く意味が違う

以上、「本位」の意味と使い方、「本意」「基準」「規準」との違いについてまとめました。

この言葉は「物事を判断する上での基準や中心となるもの」をいい、「自分本位」「興味本位」などように名詞の後に付いて用いられます。

また、読み方が同じ「本意」については、「その人の本当の考えや気持ち」のことをいいますが、あることがその人の本心から言ったものではないということを述べる場合などに用いられますが、読み方が同じでもまったく異なることを表しているので注意が必要です。

一方、似た意味を持つ「基準」「規準」について、「基準」は「判断するときの拠り所」、「規準」は「従うべき拠り所」を表し、「判断する上で中心とするもの」を表す「本位」とはそれぞれ微妙にニュアンスが異なります。

「本意」は全く意味が異なりますし、「基準」「規準」との違いは分かりにくいので、場面に応じて使い分けられるように意識しておくと良いでしょう。

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言葉の意味

「本位」の意味と使い方・例文・「本意」「基準」「規準」との違いは?現役記者がサクッとわかりやすく解説!

「本位」(読み方:「ほんい」)という言葉は、「自分本位」「興味本位」などの形でよく用いられています。

日常的によく用いられている言葉ですが、具体的にはどのようなことを表すのか、また混同しやすい「本意」や似た意味を持つ「基準」「規準」という語とはどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「本位」の意味と使い方、また「本意」「基準」「規準」との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「本位」の意味と使い方・例文・「本意」との違い

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それでは、始めに「本位」の意味と使い方、また「本意」との違いを説明します。

「本位」の意味は?

まず、一般的に用いられている「本位」という語には、以下のような意味があります。

判断や行動などの基本となるもの

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「本位」①

つまり、主に「物事を判断したり何かの行動をとる上で中心に位置づけられるもの」を表す語として用いられています。

「本位」は、この意味のほか、「金本位制」などと使われる「貨幣制度の基準」、「本位に復する」といった形で用いられる「もとの地位」という意味があります。

「本位」の使い方は?

では次に、「本位」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その企業は学歴でなく人物・能力本位で選考をしている」

「自分本位の考え方や振る舞いは相手に誤解を与えかねない」

「その本は興味本位で書かれた記事ばかりで中身がないように感じる」

「当社は常にお客様に満足していただける品質本位の製品にこだわって提供しております」

「彼はすべてが、親がとか、学校がとか、社会がとか、みんな他人本位だった」

「プロの世界はどこも、まったく記録本位、成績本位だ」

「このビルは、鉄・ガラス・コンクリートといった材料を使った無装飾で実用本位な建築物だ」

「文章の推敲というものは、表面的な文学上の修飾ではなく、どこまでも内容を本位とするものでなければならない」

「会社は顧客だけでなく従業員を本位としなければ発展はしない」

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