「しみじみ」(漢字:「染み染み」「沁沁」)という言葉は、「しみじみ感じる」「しみじみと思う」などの形でよく用いられています。

しかしながら、具体的にはどのようなことを表すのか、また似た意味を持つ「つくづく」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「しみじみ」の意味と使い方、また「つくづく」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「しみじみ」の意味と使い方・例文・「つくづく」との違い

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それでは、「しみじみ」の意味と使い方、また「つくづく」との違いなどについて説明していきましょう。

「しみじみ」の意味は?

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まず、「しみじみ」には以下のような意味があります。

心の底から深く感じ入るさま。心に深くしみいるさま。

心静かに落ち着いてするさま。しんみり。

じっと見るさま

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「しみじみ」

つまり、「心から深く感じる様子」「心静かに落ち着いて何かを行う様子」「ある物をじっと見る様子」を表す語となっています。

「しみじみ」の使い方・例文

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次に、「しみじみ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

 「風の便りにしばらく疎遠になっていた学生時代の友人が結婚したことを聞き、当時のことを懐かしくしみじみと思い出した」

「彼は母が語る思い出話を聞き、遠い日の記憶を手繰るように幼い頃の写真をしみじみと眺めていた」

「彼は幼い時に亡くした両親との思い出をしみじみと語った」

「口調こそぶっきらぼうなものの、彼のその言葉は思いやりからのものであることがしみじみと分かった」

「辛く苦しい受験戦争に勝ち抜いた末に送る大学生活は良いものだとしみじみ感じる」

「つくづく」との違い

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次に、似た意味を持つ「つくづく」(漢字:「熟」)との違いについて見ていきましょう。

まず、「つくづく」には以下の意味があります。

深く考えたり、痛切に感じたりするさま。よくよく。

注意してものを見るさま。また、物事に熱心に集中するさま。じっと。

出典:三省堂「熟・熟熟」①②

\次のページで「その他の類似表現」を解説!/

そして、「つくづく」と「しみじみ」の使い方を比較すると以下のようになります。

「つくづく」:「矛盾や理不尽な出来事に遭遇して、つくづくと世の中が嫌になることがある」(矛盾や理不尽な出来事に遭遇して、世の中は嫌なものだと深く感じることがある)

「しみじみ」:「誰でも病気になると健康のありがたみをしみじみと感じるようになるものだ」(誰でも病気になると心底から健康のありがたみを感じるようになるものだ)

「つくづく」は「何かを痛感する、心に強く感じる様子」のことで、上記の例でいうと「何度も世の中が嫌になることがあって、今回は本当に嫌になった」状態、つまり「何度か繰り返した結果」という意味合いが含まれる表現です。

それに対して「しみじみ」は、「あることを心に深く感じる様子、心からそう思う様子」で、「しみじみとした気持ちで」というニュアンスを含むという違いがあります。

その他の類似表現

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では、「つくづく」の他に「しみじみ」と似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「感慨」

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「感慨(かんがい)」は、次の意味を持つ言葉です。

心に深く感じて、しみじみとした気持ちになること。また、その気持ち。

出典:小学館「感慨」

「感慨」の「感」は「心が動く」「心にひびく」、「慨」は「心を揺さぶる思いでいっぱいになる」ことを表し、「感慨」で「ものごとに感じて、しみじみと思うこと」を表す言葉です。

「感動」よりも、それまでのことを振り返って、いろいろなことに思いをはせてしみじみと心を動かされる場合に「感慨」が使われます。

よく目にするのは、「感慨深い」「感慨にふける」「感慨に浸る」などの形でしょう。

「感慨」を使った例文は、次のようになります。

\次のページで「「ひしひし」」を解説!/

「おむつを換えてやっていた赤ちゃんだったあの子が結婚するなんて、感慨深いものだ」

「卒業式を迎えて、この3年間にあった楽しかったことや辛かったことを思い出し、感慨に浸る」

「編集者と何度もやりとりをして書き上げた原稿が書籍化して手元に届いたとき、ついにここまで来たかと感慨に耽った」

「ひしひし」

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「ひしひし」には、次のような意味があります。

外部からの働きかけが身や心に迫ったり感じたりするさま。

出典:三省堂「ひしひし」①

「ひしひし」にはさまざまな意味がありますが、そのうちのひとつが「強く心に伝わってくる」「切実に感じる」というものです。

「ひしひしと」の形で使われることが多く、例文は次のようになります。

 

「長年父親に反発してきたが、いざ離れて暮らしてみると、その存在のありがたさをひしひしと感じている」

「教える立場になり、正しい日本語を身につける必要性をひしひしと感じる」

「味わい深い」

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「味わい深い」が持つ意味は、次の通りです。

物事や飲食物などに、しみじみとした趣や風味がある。

出典:小学館「味わい深い」

\次のページで「「しみじみ」の古語」を解説!/

「味わい深い」とは、「趣がある」「旨みや風味が豊かである」といった場合に使う表現で、例文は次の通りです。

「その庭園は純和風で、苔むした大きな石がなんとも味わい深い」

「丁寧に出汁から作った味噌汁は味わい深いものだ」

「しみじみ」の古語

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「しみじみ」を表す古語には、「あはれ」があります。

これは「をかし」とともに平安時代における重要な美的理念の一つで、見るものや聞くものに触発されることによる、しみじみとした情趣のことです。

そののち、しだいに日本の文化における美の根幹となり、自然・人生・精神的理念までのさまざまな内容を表すようになりました。

「しみじみ」の英語表現

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「しみじみ」を英語で表す際には、「keenly」(鋭く、熱心に)や「deeply」(ひどく、徹底的に)などが使われます。

「feel keenly」で「しみじみ感じる」

「remember deeply about~」で「~をしみじみと思い出す」

といった形での表現が可能です。

「つくづく」とその他の表現を使い分けよう

以上、「しみじみ」の意味と使い方、「つくづく」との違いなどについてまとめました。

「しみじみ」にはいくつかの意味がありますが、主に「何かを深く感じる様子」を表し、たとえば他人の親切を心からありがたいと思う、健康であることに心から感謝する様子などについて言う場合に「(~をありがたいと)しみじみ思う」「しみじみと感じる」などの形で用いられています。

また「つくづく」は「何かを身にしみて深く感じる様子」を表し、何度も考えるうちにあることを心から強く感じるようになった、骨身に染みる様子についていう場合に「世の中は理不尽だとつくづく思う」「気の利かない自分ががつくづくと嫌になる」などのように用いることができる表現です。

何かを強く感じることを表す表現にはいくつかありますが、それぞれニュアンスが異なるため、意識して使い分けることをおすすめします。

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言葉の意味

「しみじみ」の意味と使い方・例文・「つくづく」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「しみじみ」(漢字:「染み染み」「沁沁」)という言葉は、「しみじみ感じる」「しみじみと思う」などの形でよく用いられています。

しかしながら、具体的にはどのようなことを表すのか、また似た意味を持つ「つくづく」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「しみじみ」の意味と使い方、また「つくづく」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「しみじみ」の意味と使い方・例文・「つくづく」との違い

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それでは、「しみじみ」の意味と使い方、また「つくづく」との違いなどについて説明していきましょう。

「しみじみ」の意味は?

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まず、「しみじみ」には以下のような意味があります。

心の底から深く感じ入るさま。心に深くしみいるさま。

心静かに落ち着いてするさま。しんみり。

じっと見るさま

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「しみじみ」

つまり、「心から深く感じる様子」「心静かに落ち着いて何かを行う様子」「ある物をじっと見る様子」を表す語となっています。

「しみじみ」の使い方・例文

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次に、「しみじみ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

 「風の便りにしばらく疎遠になっていた学生時代の友人が結婚したことを聞き、当時のことを懐かしくしみじみと思い出した」

「彼は母が語る思い出話を聞き、遠い日の記憶を手繰るように幼い頃の写真をしみじみと眺めていた」

「彼は幼い時に亡くした両親との思い出をしみじみと語った」

「口調こそぶっきらぼうなものの、彼のその言葉は思いやりからのものであることがしみじみと分かった」

「辛く苦しい受験戦争に勝ち抜いた末に送る大学生活は良いものだとしみじみ感じる」

「つくづく」との違い

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次に、似た意味を持つ「つくづく」(漢字:「熟」)との違いについて見ていきましょう。

まず、「つくづく」には以下の意味があります。

深く考えたり、痛切に感じたりするさま。よくよく。

注意してものを見るさま。また、物事に熱心に集中するさま。じっと。

出典:三省堂「熟・熟熟」①②

\次のページで「その他の類似表現」を解説!/

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