「羽目」の意味と使い方・例文・類義語は?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
憂き目(うきめ)に遭う
「憂き目」とは「つらく、悲しいこと。嫌な体験。つらい目」の意味。つまり「憂き目に遭う」とは「望まずしてつらく、ひどい目に遭う」ことを指します。
例文:
「つい勢いで他人の悪口を言ってしまい、何時間も説教されるという憂き目に遭った」
「人手不足からサービス残業が当然のようになり、体を壊し退職するという憂き目に遭った」
貧乏(びんぼう)くじを引く
「貧乏くじを引く(引かされる)」は「最も損な役回りを押し付けられる」という意味です。「貧乏くじ」というくじを具体的に想定しているわけではなく、望まずして「当たり(この場合は悪い意味)」つまり不利益な役どころが巡ってきてしまうということを、くじにたとえています。
例文:
「面倒な仕事とは知らず、見事に貧乏くじを引いてしまった」
「そこまで人望のない自分がフォロー役を任されるとは、まさに貧乏くじを引かされた格好だ」
見境(みさかい)がない
「見境がない」とは「物事の見分けや善悪・良否の判断、分別などを無視して行動すること」を指します。大目に見てもらえそうなニュアンスの「羽目を外す」より、さらに暴走して周りに迷惑をかけるニュアンスが感じられるでしょう。
例文:
「酒に酔えば相手が誰であろうと見境なく喧嘩をふっかける」
「甘いものと見ると見境がない。後悔するのは目に見えている」
常軌(じょうき)を逸する
「常軌を逸する」とは「通常のやり方や規則から外れた、普通ではない行動・言動をすること」です。ただ、「羽目を外す」が一時的な(外したものはすぐに戻せる)イメージを与えるのに対し、「常軌を逸する」の場合は簡単には戻りそうにないニュアンスを持ちます。
例文:
「業績が下降線にある現状で、設備投資に巨額の資金を投入するなど常軌を逸している」
「想定外の出来事でパニックに陥り、彼らは常軌を逸した行動を取り始めた」
本来の意味を知って表現を豊かに
以上、「羽目」の意味と使い方、また「羽目を外す」「羽目になる」と意味が似ている表現についてまとめました。
この言葉は「建築用語の羽目板のこと」と「成り行きで起こる好ましくない状況」という2通りの意味を持つ語です。「食む(はむ)」から派生した「嵌める(はめる)」がルーツだと言われており、よく使われる慣用句には「羽目を外す」「羽目になる(陥る・落ちる)」などがあります。
また近い意味の言い回しとして「憂き目に遭う」「貧乏くじを引く」や「見境がない」「常軌を逸する」などがあるので、場面によって使い分けるとよいでしょう。多くの語を覚えておくことで、表現の幅がより広がっていくのではないでしょうか。