「うっとり」という言葉は、「うっとりと~する」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面で日常的に使われている言葉ではありますが、具体的にどのようなことを表すのか、また他に似た意味を持つ語にはどのようなものがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「うっとり」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「うっとり」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「うっとり」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「うっとり」の意味は?

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まず、「うっとり」には以下のような意味があります。

美しいものなどに心を奪われて快いさま。恍惚(こうこつ)とするさま。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「うっとり」

つまり、「美しいものに心を引きつけられてその快さにぼんやりとする様子」を表す語となっています。

「うっとり」の語源

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「うっとり」と似たような響きを持つ言葉に「うっかり」があります。

この「うっかり」の語源は、ぼんやりとして注意が行き届かない状態の「浮く」にあるのではないかと言われており、同じように何かに心をひかれてうっとりしているさまも「うっかり」と表現していました。

「うっとり」の使い方・例文

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次に、「うっとり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「映画に登場するバレリーナ達のしなやかな動きがあまりに美しく、ついうっとりと見入ってしまった」

「ピアノとバイオリンが奏でる美しい旋律にうっとりと聞き入った」

「鮮やかに咲き誇るバラの花々がライトアップされ、夜の暗闇の中に美しく映える幻想的な光景にうっとりとする」

「上品な訪問着を着こなし楚々とした雰囲気が漂う彼女の姿を、彼はうっとりと眺めていた」

「うっとり」の類義語

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「うっとり」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。

この言葉と似た意味を持つ語には、以下のようなものが挙げられます。

「酔い痴れる」

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「酔い痴れる(よいしれる)」には以下の意味があります。

\次のページで「「惚れ惚れ」」を解説!/

あることに心を奪われてうっとりする。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「酔い痴れる」②

つまり「酔いしれる」とは、「あることに心を引きつけられてその快さに我を忘れる」ことを表します。

「酔いしれる」の「しれる」を「知れる」とするのは誤りです。正しくは「痴れる」で、「心を奪われる」という意味を持っています。

「酔いしれる」を使った例文は、次の通りです。

「試合に勝利した彼らは、その日初優勝の喜びに酔い痴れていた」

「夜景を見ながら美味しい料理とワインに酔いしれる至福のひとときを過ごす」

「惚れ惚れ」

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次に、「惚れ惚れ(ほれぼれ)」には以下の意味があります。

すっかり心を奪われてうっとりするさま。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「惚れ惚れ」

つまり「惚れ惚れ」とは、「あることに完全に魅了されてぼうっとしている様子」を表します。

「惚」は「うっとりする」「ぼんやりする」「恋い慕う」などの意味を持つ漢字です。

「惚れ惚れ」を使った例文は、次のようになります。

「その曲の繊細なメロディと彼の美しい歌声が互いに引き立て合い、惚れ惚れとするような聴き応えのある楽曲に仕上がっていた」

「彼女は、同性・異性にかかわらず誰もが惚れ惚れとするような、品のある美しく整った顔立ちをしていた」

「恍惚」

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「恍惚(こうこつ)」には、次のような意味があります。

\次のページで「「陶酔」」を解説!/

物事に心を奪われてうっとりするさま。

出典:小学館「恍惚」①

「恍惚」とは、「ある物事に心を奪われて放心状態になること」を表します。

「恍惚」の「恍」も「惚」も、「うっとりするさま」「ぼんやりするさま」を意味する漢字です。

同じような意味を持つ言葉に「陶酔」がありますが、「陶酔」が主体的な意思で何かに夢中になることを表すのに対して、「恍惚」は受け身的なニュアンスが強く、心を奪われている様子を表します。

「恍惚」を使った例文は、次の通りです。

「舞台の上で妖艶な踊りを繰り広げる彼女たちの姿に、観客は皆恍惚とした表情を浮かべていた」

「一流の弦楽四重奏を初めて直に聴いた彼は、恍惚として動けなくなった」

「陶酔」

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「陶酔(とうすい)」には、次のような意味があります。

 気持ちよく酔うこと。

 心を奪われてうっとりすること。

出典:小学館「陶酔」

「陶酔」とは、「何か美しいものや素晴らしいものに心を奪われてうっとりした気持ちになること」を表す言葉です。

「陶酔」の「陶」は「楽しむ」「喜ぶ」、「酔」は「酔いしれる」という意味を持つ漢字で、「陶酔」で「楽しいこと、気持ち良いことに酔いしれる」という意味になります。

例文は、次の通りです。

「何度も失敗を繰り返しながら長い間努力してきたから、今回の受賞は形容しがたい陶酔感がある」

「彼は確かに顔立ちが整っていてモテるけれど、自己陶酔しているのがはっきりわかるから私は好きになれない」

「陶然」

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「陶然(とうぜん)」が持つ意味は次の通りです。

\次のページで「「うっとり」の対義語」を解説!/

酒に酔ってよい気持ちになるさま。

うっとりとよい気持ちであるさま。

出典:小学館「陶然」

「陶然」は、「酒に気持ちよく酔うさま」「酔ったようにうっとりするさま」を表します。

「陶然」の「陶」は「土をこねて軟らかくする」という意味を持つ漢字です。また、「然」は他の語の後ろに付けることで「状態」を表します。この2つの字を組み合わせることで、「気持ちがほぐれてうっとりする」という意味になりました。

「陶然」の例文は、次のようになります。

「有名なオーケストラの演奏を聴いて、父は陶然としてしまった」

「そのとき、突然雲の切れ間から真っ赤な夕日が顔を出した姿に、人々は思わず立ち止まって陶然となった」

「うっとり」の対義語

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「うっとり」の反対の意味を持つ言葉には、次のようなものがあります。

「覚醒する」:目を覚ますこと。過ちや迷いに気づくこと。

「目が覚める」:迷いが去り、正しい判断力を取り戻すこと。

「我に返る」:何かに気を取られていたのが、正常な判断力を取り戻すこと。

心を奪われる言葉はさまざま

以上、「うっとり」の意味と使い方、類義語などについてまとめました。

この言葉は、「美しいものなどに心を奪われて快い様子」を表し、美しい音楽などに心を引かれてぼんやりとする場合に「うっとりと~する」「うっとりとした~」などの形で用いることができます。

また近い意味を持つ語には「酔い痴れる」「惚れ惚れ」といったものがあり、いずれもうっとりすることを表しますが、それぞれ「ある事柄に心を奪われる」「すっかり心を奪われる」というように若干ニュアンスの異なる表現です。

そのため、美しいものについていう場合には「うっとり」、試合に勝利するなどの喜ばしい出来事については「酔い痴れる」、容姿の美しい女性などの夢中にさせられる対象については「惚れ惚れ」というように使い分けると良いでしょう。

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言葉の意味

「うっとり」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「うっとり」という言葉は、「うっとりと~する」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面で日常的に使われている言葉ではありますが、具体的にどのようなことを表すのか、また他に似た意味を持つ語にはどのようなものがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「うっとり」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「うっとり」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「うっとり」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「うっとり」の意味は?

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まず、「うっとり」には以下のような意味があります。

美しいものなどに心を奪われて快いさま。恍惚(こうこつ)とするさま。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「うっとり」

つまり、「美しいものに心を引きつけられてその快さにぼんやりとする様子」を表す語となっています。

「うっとり」の語源

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「うっとり」と似たような響きを持つ言葉に「うっかり」があります。

この「うっかり」の語源は、ぼんやりとして注意が行き届かない状態の「浮く」にあるのではないかと言われており、同じように何かに心をひかれてうっとりしているさまも「うっかり」と表現していました。

「うっとり」の使い方・例文

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次に、「うっとり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「映画に登場するバレリーナ達のしなやかな動きがあまりに美しく、ついうっとりと見入ってしまった」

「ピアノとバイオリンが奏でる美しい旋律にうっとりと聞き入った」

「鮮やかに咲き誇るバラの花々がライトアップされ、夜の暗闇の中に美しく映える幻想的な光景にうっとりとする」

「上品な訪問着を着こなし楚々とした雰囲気が漂う彼女の姿を、彼はうっとりと眺めていた」

「うっとり」の類義語

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「うっとり」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。

この言葉と似た意味を持つ語には、以下のようなものが挙げられます。

「酔い痴れる」

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「酔い痴れる(よいしれる)」には以下の意味があります。

\次のページで「「惚れ惚れ」」を解説!/

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