「横着」(読み方:「おうちゃく」)という言葉は、「横着する」「横着を決め込む」などの形でよく用いられています。

何かの手を抜くことについて使われますが、具体的にはどのようなことを表す言葉なのか、また他に近い意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「横着」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「横着」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「横着」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「横着」の意味は?

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まず、「横着」には以下のような意味があります。

押しが強く遠慮のないこと。ずうずうしいこと。
ずるくなまけること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「横着」

つまり「横着」とは、「気遣いがなく、人に迷惑を掛けながら平気なこと」「分かっていながらも、しなければいけないことをしないで済まそうとすること」を表す言葉です。

「横着」の語源

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「横着」の「横」には「枠をはみ出る」「無理やり」「勝手な」、「着」には「おさまる」という意味があります。つまり、「自分勝手な状態に落ち着いてしまっている」ということです。

もともとは仏教の言葉で、勤行を怠けて行わないことを表す言葉でしたが、のちに一般の人でも使うようになりました。

「横着」の使い方・例文

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次に、「横着」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「家事分担を嫌がる横着者の彼は、休日になると、忙しく立ち働く妻を余所にして寝そべってテレビばかり見ていた」

「彼は訪問販売のバイトを始めたが、真面目に仕事をする気にならず、横着を決め込んでさぼっているようだ」

「必要な注意事項の説明を怠るなど、彼の勤務態度には近ごろ横着なところが目立つ」

自分の行動について「横着をして~」と言う分には問題ありませんが、他人の行動に対して「横着」と言うのは注意や批判の意味を含みます。目下から目上の人に対してこの言葉を使うと失礼になりますので、避けるようにしましょう。

「横着」の類義語

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次に、「横着」の類語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものが挙げられます。

ふてぶてしい

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まず、「ふてぶてしい」には以下の意味があります。

開き直ってずうずうしいさま。きわめて図太い。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「ふてぶてしい」

\次のページで「怠惰」を解説!/

つまり、「大胆で物怖じせず厚かましい様子」をいい、以下のように用いることができます。

「遅刻が多いことを指摘すると、彼はふてぶてしくも電車遅延が多いためで自分のせいではない食って掛かった」

「店で持参したお菓子を食べている客に持ち込みは禁止だと注意すると、飲み物を注文したんだからいいだろうと彼女たちはふてぶてしく居直った」

怠惰

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次に、「怠惰(たいだ)」には以下の意味があります。

すべきことをなまけて、だらしないこと。怠慢。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「怠惰」

つまり、「しなければいけないことをせずにだらしがないこと」をいい、以下のように用います。

「彼はリストラに遭い会社を辞めてから、仕事を探すでもなく怠惰な生活を送っていた」

「やりたいことがあってもなかなか腰を上げず、ただ怠惰に流されているというのはよくあることだ」

怠慢

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「怠慢(たいまん)」には、次のような意味があります。

当然しなければならないことをしないこと。なまけて、おろそかにすること。また、そのさま。

出典:小学館「怠慢」

「怠慢」の「怠」も「慢」も「なまける」の意味を持ち、「しなければいけないことをせずに、なまけていること」を表す言葉です。

「職務怠慢」「業務怠慢」「怠慢な暮らし方」「私の怠慢から~」のような使い方をします。

無精

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「無精(ぶしょう)」が持つ意味は、次の通りです。

\次のページで「ぐうたら」を解説!/

精を出さずに、なまけること。面倒くさがること。また、そのさま。ぶせい。

出典:三省堂「無精・不精」

「無精」の「無」は「ない」、「精」は「心、魂」の意味を持ち、「なまけること」「ものぐさなこと」を表す言葉です。

「無精ひげ」「無精を決め込む」「無精者」「筆不精」のように使われます。

ぐうたら

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「ぐうたら」は、次のような意味を持っています。

気力に欠けていて、すぐ怠けようとすること。不精でいいかげんなさま。また、そういう人。

出典:小学館「ぐうたら」

「ぐうたら」は「ぐずぐずしていてすぐに怠けようとすること」を表す言葉です。

江戸時代から使われている表現で、「愚(ぐ)」+「弛む(たるむ)」で「ぐうたら」になったと言われています。

「ぐうたらだ」「ぐうたらな生活」「ぐうたら亭主」といった形で使う表現です。

ものぐさ

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「ものぐさ」は、次のような意味を持つ言葉です。

何かすることを面倒がること。また、そのような性質や人。また、そのさま。ぶしょう。

出典:三省堂「ものぐさ」

「ものぐさ」は「面倒がること、怠惰なこと」を表す言葉です。

語源は「病気で気分がすぐれない、気分が乗らない」という意味の「物臭し」にあると言われています。

「ものぐさをする」「ものぐさ者」「ものぐさな私」のように使われる表現です。

骨惜しみ

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「骨惜しみ」が持つ意味は、次の通りです。

苦労するのを嫌がって、怠けること。

出典:小学館「骨惜しみ」

\次のページで「「横着」の反対語」を解説!/

「骨惜しみ」とは、「面倒を嫌がって怠けること」を表す言葉です。

「骨」には「からだ」という意味があり、「骨身を惜しまず」は「身体を使うことを嫌がらない」ことから「面倒がらずに励む」ことを表します。

「骨惜しみ」は「骨惜しみして~」というよりも、「骨惜しみせず」「骨身を惜しまず」の形で使われることが多いようです。

「横着」の反対語

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では、「横着」の反対の意味を持つ言葉を紹介します。

几帳面

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「几帳面(きちょうめん)」は、次のような意味を持つ言葉です。

細かいところまで、物事をきちんと行うさま。決まりや約束にかなうように正確に処理するさま。

出典:小学館「几帳面」

「几帳面」とは、「丁寧できちんとしていること」を表す言葉です。

「几帳」とは、平安時代に貴族が間仕切りや風除けに使っていた調度品のことで、その柱の表面を削って角を丸くし、両端に刻み目を入れたものを「几帳面」といいました。この言葉を今のように人の性格や行動に対して使うようになったのは、江戸時代になってからといわれています。

「几帳面な性格」「几帳面にメモをとる」のように使われる表現です。

誠実

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「誠実(せいじつ)」には、次のような意味があります。

私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

出典:小学館「誠実」

「誠実」とは、「まじめで偽りがないこと。真心が感じられるさま」を表す言葉です。

「誠」は「偽りのないこと」、「実」は「中身がしっかりある」「本当の」という意味を持つ漢字から成ります。

「誠実な人柄」「誠実な態度」「誠実さ」といった使い方をする表現です。

「横着」と類義語との違いを知っておこう

以上、「横着」の意味と使い方、類義語などについてまとめました。

この言葉は、「ずるく怠けること」「遠慮がなく図々しいこと」を表し、主に何かしなければいけないことがあるにもかかわらず、それをわざとしないで済まそうとするずるい態度や人について言う場合に、「横着を決め込む」「横着者」といった形で用いられます。

また、近い意味を持つものには「ふてぶてしい」「怠惰」などがあり、これらはそれぞれ「開き直って図々しい様子」「すべきことをせずにだらしがないこと」を表す言葉です。

つまり、前者は「横着」の度合いがさらにひどい「人目を気にすることなく恐れを知らない」様子で、後者は「横着」の「しなければいけないと知っていながらもしないで済ます」というずるい意味合いは含まず単に「だらしがない、怠ける」という意味を持っています。

どれも同じようで意味が異なるため、適切な場面で使い分けられるようにしておきましょう。

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言葉の意味

「横着」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「横着」(読み方:「おうちゃく」)という言葉は、「横着する」「横着を決め込む」などの形でよく用いられています。

何かの手を抜くことについて使われますが、具体的にはどのようなことを表す言葉なのか、また他に近い意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「横着」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「横着」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「横着」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「横着」の意味は?

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まず、「横着」には以下のような意味があります。

押しが強く遠慮のないこと。ずうずうしいこと。
ずるくなまけること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「横着」

つまり「横着」とは、「気遣いがなく、人に迷惑を掛けながら平気なこと」「分かっていながらも、しなければいけないことをしないで済まそうとすること」を表す言葉です。

「横着」の語源

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「横着」の「横」には「枠をはみ出る」「無理やり」「勝手な」、「着」には「おさまる」という意味があります。つまり、「自分勝手な状態に落ち着いてしまっている」ということです。

もともとは仏教の言葉で、勤行を怠けて行わないことを表す言葉でしたが、のちに一般の人でも使うようになりました。

「横着」の使い方・例文

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次に、「横着」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「家事分担を嫌がる横着者の彼は、休日になると、忙しく立ち働く妻を余所にして寝そべってテレビばかり見ていた」

「彼は訪問販売のバイトを始めたが、真面目に仕事をする気にならず、横着を決め込んでさぼっているようだ」

「必要な注意事項の説明を怠るなど、彼の勤務態度には近ごろ横着なところが目立つ」

自分の行動について「横着をして~」と言う分には問題ありませんが、他人の行動に対して「横着」と言うのは注意や批判の意味を含みます。目下から目上の人に対してこの言葉を使うと失礼になりますので、避けるようにしましょう。

「横着」の類義語

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次に、「横着」の類語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものが挙げられます。

ふてぶてしい

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まず、「ふてぶてしい」には以下の意味があります。

開き直ってずうずうしいさま。きわめて図太い。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「ふてぶてしい」

\次のページで「怠惰」を解説!/

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