「珠玉」(読み方:「しゅぎょく」)という言葉は、「珠玉の短編」「珠玉の作品」などの形でよく用いられています。

文学や芸術作品などを形容する言葉としてよく目にしますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また他に似た意味を持つ語にはどのようなものがあるのか、疑問に思うことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「珠玉」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「珠玉」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「珠玉」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「珠玉」の意味は?

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まず、「珠玉」には以下のような意味があります。

海から産する玉と、山から産する玉。真珠と宝石。

美しいもの、すぐれたもののたとえ。特に、すぐれた詩文などをほめたたえていう。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「珠玉」

つまり「珠玉」とは、「真珠と宝石」「(誌や文章、文芸作品などの)美しいもの、優れているもの、尊いもののたとえ」を表す言葉です。

一般的には前者よりも後者の意味で使われることが多いですが、その場合でも、金銭的に高価で価値があるという意味ではありません。あくまでも美しいものや優れたものを指し、芸術作品などについてよく使われます。

「珠玉」の語源

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「珠玉」は「珠」も「玉」も、どちらも「たま」と読みます。「珠」は「真珠やそれに似た丸い粒」、「玉」は「宝石などの丸く美しい石」を表す漢字です。そしてこの二つを合わせた「珠玉」という言葉は、「(真珠や宝石のように)美しく優れたもの」を表すようになりました。

「珠玉」の使い方・例文

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次に、「珠玉」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その店には、まるで珠玉が鏤められているかのように見た目にも華やかなチョコレートがぎっしりと並んでいた」

「ブライダルフェアに行き、珠玉を贅沢にあしらい繊細な彫刻が施された高貴なティアラに目が奪われる」

「彼の新作は、日常と非日常が混在する独特の心象風景を描いた作品で構成される珠玉の短編集だ」

「彼女の生い立ちは決して恵まれていたとはいえないものだったが、そこにこそ珠玉の作品を産みだした原点があるといえるだろう」

ここで注意しておきたいことがあります。

真珠や宝石は小さなものなので、「珠玉」も大きなものは対象になりません。「珠玉の小品」「珠玉の名言集」とはいいますが、「珠玉の大作」「珠玉の長編集」などというのは誤用ですので、気を付けておきましょう。

「珠玉」を使った熟語

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次に、「珠玉」を使った熟語を紹介します。

\次のページで「「琳琅珠玉」」を解説!/

「琳琅珠玉」

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「琳琅珠玉(りんろうしゅぎょく)」とは、「とても優れた人物や美しい詩文のこと」を表す四字熟語です。

「琳」は「美しい玉」「玉が触れ合って鳴る澄んだ音」、「琅」は「美しい石や玉」の意味を持ち、「琳琅」で「美しい宝石や詩文」を表します。

それだけでもとても美しい様子を表しているのに、さらに「珠玉」を加えていますから、この上なく美しい、または優れたものを形容する言葉になりますね。

「珠玉」の類義語

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では、「珠玉」の類語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味を持つ語には、以下のようなものが挙げられます。

 

「宝玉」

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まず、「宝玉(ほうぎょく)」には以下の意味があります。

宝として珍重される貴重な玉。宝石。宝珠。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「宝玉」

「宝玉」は「宝として大切にされる貴重な玉」を表し、以下のように用いることができます。

「その場所から見る夜景は、まるで色とりどりの宝玉をちりばめたかのような美しさだった」

「やりたいことを見つけて、水を得た魚のように生き生きと活動している彼の目は宝玉のように輝いていた」

「逸品」

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次に、「逸品(いっぴん)」には以下の意味があります。

特にすぐれた品物や作品。一品。絶品。

出典:明鏡国語辞典「逸品」

\次のページで「「至上」」を解説!/

つまり「逸品」とは「優れた作品」のことをいい、以下のように用いることができます。

「この新作は彼のこれまでの作品と比べてもなかなかの逸品に仕上がっている」

「思わぬ逸品との出会いを期待しながら骨董市巡りをする」

「至上」

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「至上(しじょう)」には、次のような意味があります。

この上もないこと。また、そのさま。最上。最高。

出典:小学館「至上」

「至上」には「最上」「最高」という意味があり、「至上の栄光」「至上の喜び」のような使い方をします。

なお、似たような言葉に「至高(しこう)」がありますが、こちらは「この上もなく高いこと」を表す言葉です。

どちらも似たような意味ですが、「至上」の方が「至高」よりも高い位置にあると考えられます。

「至上の喜び」は「至高の喜び」と言い換えることはできませんので、気を付けましょう。

「随一」

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「随一(ずいいち)」が持つ意味は、次の通りです。

多くのものの中の第一位。第一番。

出典:小学館「随一」

「随一」とは、「同類のものの中で一番であること」を表す言葉で、「当代随一」や「業界随一を誇る」などといった使い方をします。

\次のページで「「究極」」を解説!/

「究極」

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「究極(きゅうきょく)」の意味は、次の通りです。

物事をつきつめ、きわめること。また、その最後の到達点。究竟。

出典:小学館「究極/窮極」

「究極」とは、「物事をつきつめていった最後の到達点」を表す言葉です。「最高」という意味ではないので、良い意味ばかりでなく悪い意味で使われることもあります。

「究極の選択」「究極の美」などの使い方をする言葉です。

「珠玉」の対義語

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「珠玉」の反対の意味を持つ言葉は、「瓦礫(がれき)」であると考えられます。

というのも、中国の歴史書『晋書』の「王衍伝(おうえんでん)」に、「珠玉の瓦礫に在るが如し(しゅぎょくのがれきにあるがごとし)」という文章があるからです。

これは「珠玉が瓦や小石の中に混じっている」つまり「優秀な人物がつまらない人々の中に混じっている」ことを意味します。

このことから、「珠玉」と「瓦礫」は反対の意味を持つ言葉だと認識されるようになりました。

「珠玉」の英語訳

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「珠玉」を英語で表現すると、どのようになるのでしょうか。

「jewel(宝石)」「gem(宝石、逸品)」などが「珠玉」に当たると考えられます。

「a literary gem」は「珠玉の作品」という意味です。

優れた作品には「珠玉」を使おう

以上、「珠玉」の意味と使い方、類義語などについてまとめました。

この言葉は「真珠と宝石」「優れたものや美しいものの例え」を表す言葉で、芸術作品や文芸作品を褒める意味を込めて紹介する場合などに「珠玉の作品」「珠玉の短編」といった形で用いられています。

また近い意味を持つ言葉には「宝玉」「逸品」などがあり、それぞれ「宝として大切にする玉(宝石や真珠)」「(美術などの)優れた作品」を表すものです。

それぞれニュアンスが異なりますが、美しいものや優れたものを表現する際に使うことができますので、正しい意味を知って使い分けられるようにしておくと良いですね。

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言葉の意味

「珠玉」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

「珠玉」(読み方:「しゅぎょく」)という言葉は、「珠玉の短編」「珠玉の作品」などの形でよく用いられています。

文学や芸術作品などを形容する言葉としてよく目にしますが、具体的にはどのようなことを表すのか、また他に似た意味を持つ語にはどのようなものがあるのか、疑問に思うことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「珠玉」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「珠玉」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「珠玉」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「珠玉」の意味は?

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まず、「珠玉」には以下のような意味があります。

海から産する玉と、山から産する玉。真珠と宝石。

美しいもの、すぐれたもののたとえ。特に、すぐれた詩文などをほめたたえていう。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「珠玉」

つまり「珠玉」とは、「真珠と宝石」「(誌や文章、文芸作品などの)美しいもの、優れているもの、尊いもののたとえ」を表す言葉です。

一般的には前者よりも後者の意味で使われることが多いですが、その場合でも、金銭的に高価で価値があるという意味ではありません。あくまでも美しいものや優れたものを指し、芸術作品などについてよく使われます。

「珠玉」の語源

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「珠玉」は「珠」も「玉」も、どちらも「たま」と読みます。「珠」は「真珠やそれに似た丸い粒」、「玉」は「宝石などの丸く美しい石」を表す漢字です。そしてこの二つを合わせた「珠玉」という言葉は、「(真珠や宝石のように)美しく優れたもの」を表すようになりました。

「珠玉」の使い方・例文

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次に、「珠玉」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その店には、まるで珠玉が鏤められているかのように見た目にも華やかなチョコレートがぎっしりと並んでいた」

「ブライダルフェアに行き、珠玉を贅沢にあしらい繊細な彫刻が施された高貴なティアラに目が奪われる」

「彼の新作は、日常と非日常が混在する独特の心象風景を描いた作品で構成される珠玉の短編集だ」

「彼女の生い立ちは決して恵まれていたとはいえないものだったが、そこにこそ珠玉の作品を産みだした原点があるといえるだろう」

ここで注意しておきたいことがあります。

真珠や宝石は小さなものなので、「珠玉」も大きなものは対象になりません。「珠玉の小品」「珠玉の名言集」とはいいますが、「珠玉の大作」「珠玉の長編集」などというのは誤用ですので、気を付けておきましょう。

「珠玉」を使った熟語

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次に、「珠玉」を使った熟語を紹介します。

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