
「颯爽」の意味と使い方・例文・類義語は?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「颯爽」とは

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「颯爽」はプラスのイメージを持つ語で、主に他人を褒める際に使われます。詳しい意味や語源、イメージを押さえておくと、より適切な場面で用いることができるのではないでしょうか。
それでは、以下に「颯爽」の意味と使い方について説明します。
「颯爽」の意味
「颯爽」とは「人の姿・態度・行動がきりりとしているさま」あるいは「姿などが勇ましく、きびきびしているさま」を言い表す言葉です。
「きりり」とは「強く引き締まっていて、一分の隙も無いほど美しい様子」。「きびきび」は「言動・態度が生き生きとしている様子」のことを言います。総合すると「その人の容姿や態度から活動的なパワーが満ち溢れており、マイナス要素が入り込む余地がなく引き締まった美しさをたたえている」といった感じでしょうか。
また、以下のポイントも押さえておくとよいでしょう。
・多くは人間に対して使われる。
・男性・女性の区別なく使われる。
・プラス評価ゆえに自分に対して使うと尊大な印象を与える。
「颯爽」の語源

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「颯爽」を構成する漢字2文字を、それぞれ見ていきましょう。
「颯」は本来「風が吹く」様子を表していました。「颯颯(さっさつ)」というと風が吹く音や雨音を表現するときの言葉ですから、実際の自然の音から連想した読み方だと思われます。
「爽」は訓読みすると「さわやか」で、「不快な要素がなくすっきりと気分がよい、気持ちよい様子」です。基本的には季節・気候などについての表現ですが、非常にプラスのイメージを持つ言葉ですね。
以上を合わせると「颯爽」は「風にようにさわやかですっきりした様子であり、接するものに心地よい印象を与えるもの」とまとめることができるでしょう。
古い用例としては、中国唐代の詩人・杜甫の『丹青引贈曹将軍覇』が挙げられます。「褒公鄂公毛髪動、英姿颯爽来酣戦」という箇所がそれで、大意は「褒公や鄂公の髪の毛がまるで動いているかと思えるほど、その姿は爽やかで勇ましく、あたかも戦いの中から出てきたように感じられた」といった感じでしょうか。
タイトル中の「丹青」とは絵のこと。絵の名手である曹将軍(曹覇)の作品を絶賛する内容の詩で、「颯爽」が使われていました。「颯」も「爽」も、本来は自然条件から発生した表現ですが、いつの間にか人の様子を自然になぞらえて表現するときに使われる言葉となっていったようです。
「颯爽」としているのはこんな人
現代的な「颯爽」のイメージから、人物像を連想してみましょう。
・軽やかに駆け抜けるランナー:颯の字に引っ張られるせいか、素早く風にように行動する(走る)姿を連想させます。
・きりりとした和装の女性:引き締まったイメージの服装というとこれかもしれません。
・スマートで活動的なビジネスマン:軽快に仕事をこなすイメージです。
・警察官・消防士・自衛官:制服のイメージが強く勇ましさも感じさせます。
みなさんはどのようなイメージをお持ちですか?
以上を踏まえて、使い方を例文で見ていきましょう。
「選手たちは颯爽とフィールドを駆け回り、圧巻のパフォーマンスで観衆を魅了した」
「主演俳優が颯爽と馬に乗って登場するシーンになると、彼女はほれぼれとそれを見つめた」
「モデルをしているという彼は、顔立ちがすっきりとしているばかりでなく立ち姿も颯爽としていた」
「彼は精悍な顔つきと颯爽とした身のこなしで、どこに行っても女性たちの人気の的になっていた」
涼やか(すずやか)
「涼やか」はもちろん「いかにも涼しそう」という意味もありますが、比ゆ的に用いると「さわやかで清々しい感じがするさま」を表す言葉です。
人の見た目全てに対してだけではなく、その人の「目元」「瞳」「声」「笑顔」などに用いることができます。
例文:
「涼やかな目元であっさりときついことを言うのだから、大したものだ」
「球場に彼女の涼やかな声が響きわたると、観客の視線が一気にトップバッターへと集中した」
「彼の涼やかな笑顔には子供から年配の方まで、誰もが魅了される」
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