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「時期尚早」の意味と使い方・例文・類義語・反対語は?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!

みなさんは「時期尚早(じきしょうそう)」という四字熟語を使ったことがありますか?「~するのは時期尚早だ」「時期尚早な~」といった形でよく用いられています。物事のタイミングに関わる表現ですが、他にも同じように行動を起こす時期やチャンスに関連する表現・言い回しがあるのか、気になるところです。今回の記事では「時期尚早」の意味と使い方、また類義語・反対語にあたる表現・言い回しについて、新聞記者歴29年の筆者が詳しく説明していきます。

「時期尚早」とは

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行動を起こすか否かの議論の中で「時期尚早」と言えば、行動にストップがかかることになります。主に会議の席などで用いられ、どちらかというと重要な判断に関わるイメージがありますね。

それでは、以下に「時期尚早」の意味と使い方ついて説明していきましょう。

「時期尚早」の意味

「時期尚早」とは「ある物事を行う時期として、まだ早すぎること。まだその時が来ていないこと」を指します。

「あるアクションを起こしたいのだけれども、周辺の状況などを考えると、ちょうど良いタイミングではない。早すぎるので、スタートを先送りしたほうがよいのではないか」という場合に「時期尚早」と表現します。

主にニュアンスとして「今は避けるが、今後、もっとよいタイミングがくるはず」という、期待の気持ちが込められるケースが多いようです。

「時期尚早」の由来

「時期」とは「頃合い。ちょうどよいタイミング」のこと。「尚早」は「時期が早すぎること。まだその時期でないこと」を指します。

漢字の「尚」は本来「ものの上に加える」ことを指し、そこから「なお、なおかつ」の意味を持つようになりました。また「早」は「時間が先であるさま。初期の」というところから「ある時期にまだ至っていないさま」を意味する漢字です。

「尚早」の古い用例は、中国春秋時代の歴史資料『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』にみられます。「盛服将朝尚早、坐而假寝」という記述がそれで、大意は「服を着て朝廷にまかり出ようとしたものの、時間がまだ早く、座ったままうたた寝していた」といった感じでしょうか。

現代では比較的大事な問題に関わる判断に「時期尚早」かどうかが検討されますが、古代中国ではシンプルに「まだちょっと早いよね」というくらいの軽い意味合いだったようです。

「時期尚早」の使い方・例文

以上を踏まえて、「時期尚早」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

例文:

「その事業への参入は時期尚早。今は足元をしっかりと固める時だ」

「確かにまだ目ぼしい効果は見られないが、とは言ってもこの段階で成果を問うのは時期尚早というものだ」

「いずれは2店舗目を出そうと考えているが、1号店の売上が順調とは言えない今は時期尚早だ」

「周囲は独立するなんて時期尚早な考えだと言うが、動き出さなければ何も進んでいかないだろう」

ちなみに、漢字の「期」と「機」は、どちらも読み方が同じ「き」でタイミングに関係する漢字ですが、微妙に意味が異なります。

「期」は「決まった、あるいは約束した時間」のこと。「機」は本来「弩(弓のような武器)の弦を引っ掛ける爪と引き金とからなる発射装置」を指したことから「物事をするのに適した頃合い」や「きっかけ」を意味するようになりました。

以上を覚えておくと、「期」「機」を含む多くの熟語の意味が、よく理解できるのではないでしょうか。

「時期尚早」の類義語・対義語

では、「時期尚早」のように、タイミングやチャンスに関連する表現、類義語を紹介しましょう。

「まだ早い」という近い意味の言葉があれば、「すぐやれ、今しかないぞ」という逆の意味の言葉もあります。

早計(そうけい)

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「早計」とは「軽はずみな判断。早まった考え」を意味します。「時期尚早」と同じく、早まってしまったときの表現ですが、こちらは行動ではなく考えのほうに重きを置いたニュアンスを持つ表現です。

例文:

「一時間たったからといって、危機が去ったと考えるのは早計だ」

「委員会の結論が出ていない段階で、退任の判断をするのは早計であろう」

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