「堪える」の意味と使い方・例文・「応える」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「応える」との違い
「堪える」と「応える」、読み方が同じなので、会話の中で使うとどちらの「こたえる」なのか分かりませんね。ですが、それぞれ違った意味を持つ用語なので、文書の場合には使い分けする必要があります。
では、「応える」について説明していきましょう。
「応える」の意味と使い方・例文
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「応える」には、主に2つの意味があります。
1.相手の期待・要望などの働きかけに応じる、報いる。
2.刺激や衝撃などを強く感じる。
一見するとつながらない意味のように感じますが、漢字の「応」は本来の「返事をする」というところから転じて「共鳴する、調和する」意味も持っています。
古代中国に書かれた『易経(周易)』には「同聲相應、同氣相求」とあり、大意は「同じ音は互いに共鳴し合い、同じ性格のものは求め合う」です。もしかするとこちらの用法が「衝撃などを強く感じる」ほうの意味に繋がったのかもしれません。
例文(報いる):
「彼のツイートはいつもウィットに富んでおり、期待に応えてくれる」
「信頼に応えることができるよう、関連サービスにも注力していきたいと思います」
例文(強く感じる):
「彼の受験失敗による落胆ぶりは、私の胸にも応えた」
「今晩のお前の忠告が、よほど骨身に応えたようだ」
つまり、「堪える」と表現した場合、主に内的な苦しみやネガティブな感情などから発せられた苦痛に対して我慢する・耐え忍ぶというニュアンスがあります。一方、「応える」は、外的な要因(期待・信頼など)に応じる・報いるという意味だけでなく、外からの刺激に共鳴して覚える苦痛を言い表す際に用いられる言葉です。
明確な違いがある
以上、「堪える」の意味と使い方、また「応える」との違いについて、解説してきました。
この言葉は主に「内的な苦しみに対して耐える・我慢する」ことを表し、しばしば動詞の下について「持ち堪える」「踏み堪える」といった形で用います。また、「堪えられない」と否定形にすると、逆に「この上なく良い」状態の表現です。
一方、同じ読み方の「応える」という語は、主に「相手に応じる・報いる」「刺激などを強く感じる」という2通りに解釈されます。前者の場合は「期待・要望」「信頼」「呼びかけ」に「応える」、後者の場合は「暑さ(寒さ)が身に応える」といった形で用いることができるでしょう。
両者の語は異なることを表しているため、場面に応じて上手に活用すると良さそうです。