「品行方正」の意味と使い方・例文・類義語・反対語は?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「品行方正」とは
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「品行方正」は通常、「品行方正な人(人物・人間)」といった形で用いられます。すなわち、人の性質・性格について言い表す言葉です。
それでは、以下に「品行方正」の意味と使い方を、なりたちを含めて説明していきましょう。
「品行方正」の意味
「品行方正」とは「おこないがきちんとしていて正しいこと。やましい点がないこと。また、そのさま」を意味しています。
「おこない」とはこの場合「日常の生活の仕方、身持ち」を指しており、「日常生活におけるさまざまな行動が、道義を逸脱せず、しっかりと整っている様子」だと言えるでしょう。
「品行方正」のなりたち
「品行方正」とは「品行」と「方正」という2つの熟語が連なった構成です。簡単に言うと「品行」が「方正」であることを意味します。
「品行」とは「おこない・行状・身持ち」のことで、「方正」は「行いがきちんとして正しい」こと。
中国前漢(紀元前206-前8年)の時代にまとめられた道教の思想書『淮南子(えなんじ)』には「智欲円而行欲方」(智は円ならんと欲し、行は方ならんと欲す)とあります。すなわち「方=四角」は「円」との対比において、存在感を発揮する言葉だったようです。
また、中国春秋時代(紀元前770-前431年)に成立したと言われる政治論集『管子(かんし)』には、語源ではないかと思われる記述があるので紹介しましょう。「人主身行方正使人有禮、遇人有信」という記述がそれで「人主は身の行い方正にして人を使うに礼あり、人を遇するに信あり」と読むことができます。
語感だけではなく、意味も通じているように感じられますが、どうでしょう。
「品行方正」な人は…
では「品行方正」な人とは、具体的に何をする人(しない人)なのでしょうか。
正しいとは「道徳・法律・規範などにかなっているさま」ですから、日ごろの生活におけるさまざまなシーンでそうした「正しさ」がにじみ出る好人物がイメージできます。
「礼儀正しい」「マナーが身についている」「落ち着いていて感情をむき出しにするようなことはない」「場の空気を乱さない」などを思い浮かべるとよいでしょう。
一方、あまりに道徳的すぎると、堅苦しく付き合いづらい面があるかもしれません。あらゆる場面で「品行方正」が好まれるかと言うと、そうとは言い切れないようです。
「品行方正」の使い方・例文
以上を踏まえて、「品行方正」の使い方を見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「彼女は品行方正で礼儀正しく、特に目上からの評判が高い」
「兄弟のうち弟は道楽者で遊び呆けてばかりいるが、兄のほうは品行方正で羽目をはずすようなことはしない、正反対の性格だ」
「彼は品行方正で仕事が終わるとふらふらと飲み歩くこともなくまっすぐ家に帰るので、奥さんはさぞかし安心なことだろう」
「品行方正が取り柄の男だが、酒も飲めないんじゃどうも誘いづらいね」
関連する四字熟語
人の性質・性格について表現する四字熟語は、正しいことを言い表す「品行方正」だけではなく、他にも多く存在します。類義語、対義語を中心にいくつか紹介しましょう。
いずれも少し難しい漢字や読み方ですが、いくつか覚えておくと役に立つかもしれません。
類義語
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類語の中でも「品行方正」と意味が近いものを紹介します。
【清廉潔白(せいれんけっぱく)】
意味は「心や行動が清らかで私欲がなく、不正などすることがまったくないこと」です。
例文:
「彼は不正はもちろん私利私欲によって動くこともない、今時めずらしい清廉潔白の青年だ」
「清廉潔白な気持ちでそれをやっているのだから恐れ入る」
【規行矩歩(きこうくほ)】
「歩き方が法則にかなっていること」というところから転じて「心や行動がしっかりしていて正しいこと。またその反面、規則にこだわって融通が利かないこと」を表します。
例文:
「彼は規行矩歩の人だから、袖の下を使おうとしても無駄だ」
「規行矩歩では、全員の同意を得るのは難しいかもしれない」
【危言危行(きげんきこう)】
意味は「言葉を正しくし、行いを正しくする」です。
例文:
「少なくとも政治の道に携わるのであれば、危言危行を旨とするべき」
【四角四面(しかくしめん)】
「あまりに真面目すぎて堅苦しい様子」を言い表します。「品行方正」のもう一つの面ですね。
例文:
「四角四面なあいさつはこの際抜きにしよう」
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