
「各々」の意味と使い方・例文・「個々」「各自」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「各々」とは

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「各々」は人が複数存在する場面で使われますが、物体に対して用いることもあります。また、グループの中のほぼ全員(全部)をイメージさせる言葉ですが、何か決まりはあるのでしょうか。
それでは、「各々」の意味と使い方を解説していきます。
「各々」の意味
「各々」には「集合の中のひとりひとり。めいめい。各自」という意味があります。
用いるための条件を、細かく見ていきましょう。
1.人(または物体)の集団があって使用可能に。グループが特定の人数か不特定かは問わない。
2.グループの中での「ひとり」を優先した捉え方で、一人でも欠けるとダメといったような拘束性はない。
3.主に、「全員一致」というようりは、「ひとりひとり別々」といったニュアンスを持たせたい場合に用いる。
「各々」の由来
漢字の「各」は一文字でも「おのおの」と読むことができます。本来「ある集合の中で一つ一つの個別を指す語」で、それぞれが異なることを表していました。
古い用例としては、中国古代に書かれた『易経(周易)』に「致天下民、聚天下之貨、交易而退、各得其所」という記述があります。
大意は「交易を行って、物資があるところとないところ、それぞれを適切な状態にする」といった感じですが、「各得其所」だけで「適材適所」の意と理解されることもあるようです。
また、「各々」は、いわゆる畳語(じょうご)表現の一つと言えるでしょう。漢字で「己己」と表記するケースもあることから、本来は「おのれおのれ」だったと考えられます。「おのれ」は一人称で「自分、その人本人」を指す言葉。畳語とすることで多数であることを示し、さらに「おのれ」を強調する意味を持たせたわけですね。
「各々」の使い方・例文
以上を踏まえて、「各々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「受賞した作品は各々高く評価できる要素を持っている」
「その問題については、各々が案を出し合って改善策を考えるように」
「参加者が各々席につくと、定刻よりも前であるが早速会議が開始された」
「セミナーで使用するパソコンは各々用意する必要がある」
「当日の昼食は各々が持参することになっている」
「個々」「各自」との違い
似た意味のある「個々」「各自」とは、使い方にあまり差がないようにも感じられますが、単純に置き換えても問題はないのでしょうか。
では、それぞれの共通点と違いについて見ていきます。
「個々」の意味と使い方・例文

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「個々」は「各々」と同じく「いくつかあるうちのひとつひとつ。ひとりひとり」という意味を持つ言葉で、人間と物体、どちらにも使うことが出来ます。
漢字の「個」は「ひとつ・ひとり」の意味。さらに「個々」を畳語として捉えると、「各々」のケースと同様に、多数であることと多数の中の「個」であることを強調する言葉となります。
例文:
「働きやすい職場環境の実現に向けて、個々の意見を聞くことにした」
「本プロジェクトの成功は、個々の能力を存分に出し切った結果である」
「各自」の意味と使い方・例文

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「各自」も「集団の中のめいめい、ひとりひとり」を指しますが、人に対して用いられる言葉です。
この場合の「自」は「自ら~する」の意で、動作主が自分で動作や行為を行うことを表しています。中国漢代の歴史書『史記』には「天下事大定矣、君王自為之」との記述があり、大意は「国家のことを決めるのは、君王あなたが自分でやりなさい」といった感じでしょうか。
すなわち、「各自」は「君王」が「各(=おのおの)」に置き換わり、動作主である「各」が「自分で(何かを)行う」ことを指す表現だと言えるでしょう。
例文:
「現地までの交通費は参加者が各自負担してください」
「その件については、各自の判断に任せるということでよいでしょう」
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