日常会話などで、親戚や知人の男性を「おじ」もしくは「おじさん」「おじちゃん」と呼ぶことがあります。

会話では特に意識することはありませんが、これを漢字で書き表すと「伯父」「叔父」「小父」というようにいくつかの表記のし方ができます。

これらの言葉にはそれぞれどのような違いがあってどのような場合に用いるのか、手紙の文面で相手を呼ぶ場合などに疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで今回は、「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方

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それでは、以下に「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方を説明します。

「伯父」「叔父」「小父」の意味は?

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まず、「伯父」「叔父」「小父」には以下のような意味があります。

父または母の兄弟。また、おばの夫。

【表記】父母の兄、父母の姉の夫の場合は「伯父」、父母の弟、父母の妹の夫の場合は「叔父」と書く。

出典:明鏡国語辞典「伯父・叔父」

他人である中年の男性を呼ぶ語。

出典:明鏡国語辞典「小父さん」

つまり、これらの言葉は、

「自分の父または母の兄にあたる人」(もしくは伯母の夫にあたる人)には「伯父」

「父または母の弟にあたる人」(もしくは叔母の夫)には「叔父」

「特に血縁関係がない中年男性」には「小父」というように使い分けます。

ちなみに、「おば」「おばさん」についても同様に、「父や母の姉」(もしくは伯父の妻にあたる人)を「伯母」「父や母の妹」(もしくは叔父の妻)を「叔母」「血縁関係のない中年女性」を「小母」というように書き表しましょう。

「伯父」「叔父」「小父」の使い方

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上記のように、「伯父」「叔父」「小父」という言葉は、それぞれ「父母の兄か弟」か「他人の中年男性」かで使い分けることができ、手紙などで相手を呼ぶときには次のような使い方をします。

「ご無沙汰しておりましたが、その後伯父様の具合はいかがですか」
「伯父さん、お元気ですか。私は相変わらず子育てに追われる毎日を過ごしています」
「叔父様、叔母様におかれましては、お健やかにお過ごしのことと存じます」
「春になったらぜひ我が家にお越しください。母も叔父さんに会いたがっています」
「先日、近所にある酒屋の小父さんからめずらしいお酒をいただきました」
「一人暮らしを始めましたが、近所の小父さんが何かと世話を焼いてくれるので助かっています」

\次のページで「「伯父」「叔父」の語源」を解説!/

ちなみに、「伯父・叔父」や「伯母・叔母」の使い方について、その人が義理の関係である場合、父母よりも年上か年下かで悩むこともあるのではないでしょうか。

その場合でも年齢には関係なく、あくまでもその人が自分自身の父もしくは母の「兄か弟」、もしくは「姉か妹」どちらの配偶者であるかで判断しましょう。

たとえば「伯父の配偶者」、母の兄の妻にあたる人を呼ぶ場合には、その人が母親よりも齢が下である場合でも「伯母」となり、もし「叔父の配偶者」(母の弟の妻)であれば、母よりも齢が上であっても「叔母」ということになります。

「伯父」「叔父」の語源

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「おじ」「おば」を、自分との関係性によって使い分けるのは、中国の儒教の影響からきています。中国では兄弟のことを、長男、次男、三男、末っ子の順でそれぞれ「伯、仲、叔・季(はく・ちゅう・しゅく・き)」と呼んできました。

そのために、日本では父や母より上の立場である兄のことを「伯父」、下の立場の弟のことを「叔父」と呼ぶようになったのです。

この「伯、仲、叔・季」を覚えておけば、〇〇おじさんは、「伯父」だったっけ?それとも「叔父」だったっけ?と迷うこともなくなりますね。

「伯仲の間」

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「伯仲の間(はくちゅうのかん)」という言葉があります。その意味は、「互いの才能に優劣がなく、互いに似たり寄ったりであること」です。

兄弟の順番である「伯、仲、叔・季」の中で、伯と仲との間には差がないことから、「伯仲の間」という言葉が生まれ、そこから派生して「伯仲」「実力が伯仲している」などと言うようになりました。

親類の範囲とは

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親類は、「親戚」や「親族」の類義語で、「血縁関係にある人々。婚姻関係にある人々」のことです。

ただし近世では「縁者」と区別するために「父方の一族」を指す意味もありました。「縁者」とは、婚姻や養子縁組みによって縁続きとなった人のことです。

どこまでが「親類」と呼べる範囲にあるかというのは、日本の民放により定められており、「6親等内の血族および配偶者と、3親等内の姻族」となっています。

親類の呼び方

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親類の呼び方の一部を紹介します。

「いとこ・従兄(じゅうけい)・従姉(じゅうし)」は、おじやおばの子どもで自分より年上の場合
「いとこ・従弟(じゅうてい)・従妹(じゅうまい)」は、おじやおばの子どもで自分より年下の場合

「大伯父・大叔父」は、祖父母の兄と弟
「大伯母・大叔母」は、祖父母の姉と妹

「いとこ違い・従伯父(じゅうはくふ)従伯母(じゅうはくぼ)」は、大おじの子どもで父母より年上の場合
「いとこ違い・従叔父(じゅうしゅくふ)従叔母(じゅうしゅくぼ)」は、大おじの子どもで父母より年下の場合

「またいとこ・はとこ・再従兄(さいじゅうけい)・再従姉(さいじゅうし)」は、大おじの孫で自分より年上の場合
「またいとこ・はとこ・再従弟(さいじゅうてい)・再従妹(さいじゅうまい)」は、大おじの孫で自分より年下の場合

「はとこ」は6親等に当たりますので、ぎりぎり親族に該当する関係です。

父母との関係で「伯父」「叔父」「小父」を使い分けよう

以上、「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方などについてまとめました。

普段あまり意識することなく使っている「おじ」という言葉ですが、漢字で表記する場合にはいくつかのパターンに分けられます。

とはいっても、それぞれ「両親の兄」「両親の弟」「他人の中年男性」といったように明確に異なる意味があるため、その相手が父母とどのような間柄にあるかによって使い分けましょう。

親類の呼び方は複雑な面もありますが、覚えておくと手紙を書く際などに困ることがなくなるので、ぜひ身につけることをおすすめします。

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言葉の意味

「伯父」「叔父」「小父」の違いとは?それぞれの意味と使い方は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説

日常会話などで、親戚や知人の男性を「おじ」もしくは「おじさん」「おじちゃん」と呼ぶことがあります。

会話では特に意識することはありませんが、これを漢字で書き表すと「伯父」「叔父」「小父」というようにいくつかの表記のし方ができます。

これらの言葉にはそれぞれどのような違いがあってどのような場合に用いるのか、手紙の文面で相手を呼ぶ場合などに疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで今回は、「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方

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それでは、以下に「伯父」「叔父」「小父」の意味と使い方を説明します。

「伯父」「叔父」「小父」の意味は?

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まず、「伯父」「叔父」「小父」には以下のような意味があります。

父または母の兄弟。また、おばの夫。

【表記】父母の兄、父母の姉の夫の場合は「伯父」、父母の弟、父母の妹の夫の場合は「叔父」と書く。

出典:明鏡国語辞典「伯父・叔父」

他人である中年の男性を呼ぶ語。

出典:明鏡国語辞典「小父さん」

つまり、これらの言葉は、

「自分の父または母の兄にあたる人」(もしくは伯母の夫にあたる人)には「伯父」

「父または母の弟にあたる人」(もしくは叔母の夫)には「叔父」

「特に血縁関係がない中年男性」には「小父」というように使い分けます。

ちなみに、「おば」「おばさん」についても同様に、「父や母の姉」(もしくは伯父の妻にあたる人)を「伯母」「父や母の妹」(もしくは叔父の妻)を「叔母」「血縁関係のない中年女性」を「小母」というように書き表しましょう。

「伯父」「叔父」「小父」の使い方

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上記のように、「伯父」「叔父」「小父」という言葉は、それぞれ「父母の兄か弟」か「他人の中年男性」かで使い分けることができ、手紙などで相手を呼ぶときには次のような使い方をします。

「ご無沙汰しておりましたが、その後伯父様の具合はいかがですか」
「伯父さん、お元気ですか。私は相変わらず子育てに追われる毎日を過ごしています」
「叔父様、叔母様におかれましては、お健やかにお過ごしのことと存じます」
「春になったらぜひ我が家にお越しください。母も叔父さんに会いたがっています」
「先日、近所にある酒屋の小父さんからめずらしいお酒をいただきました」
「一人暮らしを始めましたが、近所の小父さんが何かと世話を焼いてくれるので助かっています」

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