「憶測」の意味と使い方・例文・「推測」「予測」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!
「憶測」とは
「憶測」は「臆測」とも表記されます。
「憶測」という言葉には「憶測する・ある・飛ぶ・呼ぶ・生む」あるいは「憶測でものを言う・口にする」さらに「憶測の域」など、さまざまな言い回しで活用されているので、どこかで目にした方も多いのではないでしょうか。
そのような、日ごろよく使われる「憶測」の意味と使い方を、説明しましょう。
「憶測」の意味
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「憶測」は「根拠もなく、いいかげんに推測すること。当て推量」という意味を持っています。
「推量」とは「おしはかること」つまり「ある事柄をもとにして、他の事柄の見当をつけること」の意味です。したがって、分からない事柄にこうではないかと見当をつけるのだけれども、ベースとなる正確な情報がない、あるいは乏しい状態から、無責任に想像し判断してしまうことを言います。
基本的に「憶測」は「あてずっぽう」ですから、そのいい加減さが他人に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。また、他人の発言に「それは憶測だ」などと言うと、「ちゃんと考えたのにバカにするな!」と反論されトラブルにつながる可能性もあります。こうした点には気を付けておきたいですね。
漢字の「憶」と「臆」
「憶測」を構成する漢字の一つに「憶」があります。
「憶」はこの場合「推測する。おもんぱかる」という意味。「測」にも「推測する。おしはかる」という意味があり、「憶測」は同じようなことを意味する漢字が2つつながった構造になっています。
とはいえ、「憶」は「臆」の置き換えのための字として使われた時代もありました。意味的には「臆(=「根拠のないまま主観的に考える」の意もある)」のほうがしっくりくるので、「憶測」と表記するのは置き換え時代の名残と言うこともできます。
「憶測」の使い方・例文
次に、「憶測」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。
例文:
「彼はすぐに憶測でものを言うため、彼の言っていることを真に受けるとろくなことにならない」
「その事件の背景についてさまざまな噂が飛び交っているが、すべて憶測の域を出ていない」
「大企業を退職して起業した彼の動向について、さまざまな憶測がなされている」
「軽々しく憶測でものを言うことは、周囲に不要な誤解を与えるばかりでなく、自身の思考力低下を招くことにもなるため避けたほうがよい」
四字熟語
ちなみに、「憶測」と関連した四字熟語に「揣摩憶測(しまおくそく)」があります。
「揣摩」は「あれこれと推量すること。当て推量」という意味なので、「憶測」とはほぼ同じ意味の言葉です。したがって、「揣摩」と「憶測」がつながることにより、いっそう多くのことを考えつつおしはかるといったニュアンスとなります。
使い方も「憶測」と同じですから、覚えておくと役に立つかもしれません。
「推測」「予測」との違い
「憶測」「推測」「予測」、いずれも分からないことについてこうではないかと考えるときに用いる言葉ですが、それぞれの意味や使い方に違いはあるのでしょうか。
次に、「憶測」と似た意味のある「推測」「予測」という語を説明していきます。
「推測」の意味と使い方・例文
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「推測」とは「おしはかって考えること。推量」という意味です。
「推」は訓読みでは「おす」と読むことができ、実際に押すときの動作イメージから発展して、この場合「考えや判断を前に押し出す」ことを指します。つまり、分からない事柄をあれこれ考え(前に押し出し)、こうではないかと見当をつける様子だといえるでしょう。
主に「推測する・される」「推測できる/できない」といった形で用いられます。
例文:
「見た目や話し方から、彼は30代半ばだと推測される」
「ここまでは私の推測通りに事が運んだようだ」
「これまでのデータからは、原因が何なのか推測できない」
「凶器が鋭利な刃物であることは、容易に推測できた」
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