「紛糾」(読み方:「ふんきゅう」)という言葉は、「議会が紛糾する」などの形でよく用いられています。

ニュース等で話し合いがまとまらない場面の映像と共に、この言葉を耳にすることが多いですね。しかしながら、普段の会話などで頻繁に用いる言葉ではないため、具体的にどのようなことを表すのか、どのような場面で使うのか、また類義語である「いざこざ」とはどのような違いがあるのか、中には疑問が浮かぶことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「紛糾」の意味や由来・使い方、また「いざこざ」との違いや対義語について、「誰にでも分かる言葉で伝える」を心掛ける現役ライターが分かりやすく説明していきます。

「紛糾」の意味や由来・使い方・例文・「いざこざ」との違い

image by iStockphoto

それでは、以下に「紛糾」の意味と由来・使い方、また類義語について説明します。

#1 「紛糾」の意味は?

まず、「紛糾」の意味を見ていきましょう。この言葉には、以下のような意味があります。

物事がもつれて、まとまらないこと。

出典:明鏡国語辞典「紛糾」

つまり、「物事が複雑に関係し合って決着がつかない・解決しないこと」を表す言葉です。この言葉が使われると、お互いに主張を一歩も引かない・相手の主張を認めないイメージから、人間関係もこじれていることが想像できますね。

#2 「紛糾」の由来は?

ここで、「紛糾」という熟語の由来を見ていきましょう。まず、「紛」は、「まぎれる・まぎらわしい」と読みます。この漢字は、「糸」と「分」から成り立っているように、糸が2つに分かれること、つまり、物事がまとまらないという意味を持った漢字です。次に、「糾」は、「あざなう・ただす」と読みます。もともと「糾」は、2本の糸を1つにより合わす形から作られており、「もつれる・からみつく」という意味を持つ漢字です。

漢字の意味からも、物事がまとまらず、解決しそうにない様子がよく分かりますね。

#3 「紛糾」の使い方・例文

次に、「紛糾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。


「白熱した議論が交わされ、会議は次第に紛糾していった」
「その一家の家族関係は遺産の分割を巡り一段と紛糾した」
「互いに条件を譲らず、取引先との交渉は紛糾した」
「双方が感情的になることで、離婚の話し合いに紛糾を招くことになる」

\次のページで「「紛糾」の類義語との違いは?」を解説!/

「紛糾」は、上記のように物事が複雑に絡み合い、まとまらない・収集がつかないことを意味しており、「会議が紛糾する」「交渉は紛糾した」などの形で使うことができます。

#4 「紛糾」の類義語との違いは?

それでは次に、「紛糾」の類義語を見ていきましょう。類義語には「混乱」「いざこざ」「無秩序」などがあり、それぞれ以下のような意味があります。

混乱:物事が入り乱れて整理がつかなくなること
いざこざ:争いごとやもめごと
無秩序:秩序がなく、乱雑な様子

「混乱」と「無秩序」は、「紛糾」とほぼ同じような意味を持ちますが、「いざこざ」は少しニュアンスが異なることが分かりますね。「いざこざ」という語についてもう少し詳しく見ていきましょう。「いざこざ」は以下のように記されています。

小さな争い。もめごと。ごたごた。

出典:明鏡国語辞典「紛糾」

そして、この言葉と「紛糾」の使い方を比較すると以下のようになります。

「いざこざ」
「彼は母親と同居を始めてから、嫁姑問題による家庭内でのいざこざが絶えないようだ」
「あそこの部署では、上司と部下のいざこざが日常茶飯事に起きている」
「このマンションは、住民同士のいざこざが絶えないため、管理人は苦労している」

「紛糾」
「遺産相続で兄弟の関係が紛糾することを防ぐために、母は正式な遺言書を残していた」
「この案件の責任の所在を巡り、会議室内は紛糾した」
「マンションでのトラブルを巡り、住民説明会は紛糾した」

つまり、「いざこざ」は「家庭内で起こるような小さな争いごと」、「紛糾」は「物事が複雑に絡み合って話し合いがつかない(収まりがつかない)状態になること」を表すというニュアンスの違いがあります。家庭内や職場などにおける日々のちょっとしたもめ事には、「いざこざ」を用いるのが一般的でしょう。もう少し「いざこざ」を分かりやすい表現にするならば、「ケンカ」に近いイメージでしょう。

\次のページで「「紛糾」の対義語は?」を解説!/

「紛糾」は物事が複雑化し、解決しない・まとまらない時に、「いざこざ」はちょっとした小さな争いごとを指すときに使われます。組織同士のトラブルや、家族間であっても書類が必要なほどの重要性の高いもめ事に関して使われる場合には「紛糾」、ケンカに近いような日々の些細なもめ事には「いざこざ」が使われるイメージです。

#5 「紛糾」の対義語は?

最後に、「紛糾」の対義語について説明します。この対義語は、「解決」「収束」などです。それぞれ以下のような意味となります。

解決:問題のある事柄が、うまく片付くこと
収束:混乱していた物事が、収まりがつくこと

可能ならばもめ事は避けたいところですが、日々の生活の中で誰かとトラブルになってしまうこともあるでしょう。相手ともめてしまった場合には、「紛糾」する前にできるだけ早く解決したいものですね。

「紛糾」は状況で使い分けよう

以上、「紛糾」の意味と使い方、また「いざこざ」との違いについてまとめました。

この言葉は、物事が複雑に絡み合って進展せず解決しない状態のことをいい、交渉、会議などの話し合いや人の関係などが混乱した状態にあることについていう場合に、(主に文章において)用いられるのが一般的です。

それに対して、「いざこざ」は家庭内や個人間で起こるような小さな争いごと(もめごと)のことをいいます。

たとえば「遺産相続問題で兄弟の関係が紛糾する」「遺産相続が原因で兄弟はいざこざが絶えない」などのような言い方をする場合には、「遺産相続問題で兄弟の関係が複雑にもつれて解決しない状態にあること」「遺産相続が原因で兄弟には小さな争いごとが絶えないこと」といったようにニュアンスが異なるため、場面に応じて適度に使い分けると良さそうです。

事態が「紛糾」する前に、双方が納得できる解決策を見いだす努力をしていきたいですね。

" /> 「紛糾」の意味と使い方・例文・「いざこざ」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説! – Study-Z
言葉の意味

「紛糾」の意味と使い方・例文・「いざこざ」との違いは?現役ライターがサクッとわかりやすく解説!

「紛糾」(読み方:「ふんきゅう」)という言葉は、「議会が紛糾する」などの形でよく用いられています。

ニュース等で話し合いがまとまらない場面の映像と共に、この言葉を耳にすることが多いですね。しかしながら、普段の会話などで頻繁に用いる言葉ではないため、具体的にどのようなことを表すのか、どのような場面で使うのか、また類義語である「いざこざ」とはどのような違いがあるのか、中には疑問が浮かぶことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「紛糾」の意味や由来・使い方、また「いざこざ」との違いや対義語について、「誰にでも分かる言葉で伝える」を心掛ける現役ライターが分かりやすく説明していきます。

「紛糾」の意味や由来・使い方・例文・「いざこざ」との違い

image by iStockphoto

それでは、以下に「紛糾」の意味と由来・使い方、また類義語について説明します。

#1 「紛糾」の意味は?

まず、「紛糾」の意味を見ていきましょう。この言葉には、以下のような意味があります。

物事がもつれて、まとまらないこと。

出典:明鏡国語辞典「紛糾」

つまり、「物事が複雑に関係し合って決着がつかない・解決しないこと」を表す言葉です。この言葉が使われると、お互いに主張を一歩も引かない・相手の主張を認めないイメージから、人間関係もこじれていることが想像できますね。

#2 「紛糾」の由来は?

ここで、「紛糾」という熟語の由来を見ていきましょう。まず、「紛」は、「まぎれる・まぎらわしい」と読みます。この漢字は、「糸」と「分」から成り立っているように、糸が2つに分かれること、つまり、物事がまとまらないという意味を持った漢字です。次に、「糾」は、「あざなう・ただす」と読みます。もともと「糾」は、2本の糸を1つにより合わす形から作られており、「もつれる・からみつく」という意味を持つ漢字です。

漢字の意味からも、物事がまとまらず、解決しそうにない様子がよく分かりますね。

#3 「紛糾」の使い方・例文

次に、「紛糾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。


「白熱した議論が交わされ、会議は次第に紛糾していった」
「その一家の家族関係は遺産の分割を巡り一段と紛糾した」
「互いに条件を譲らず、取引先との交渉は紛糾した」
「双方が感情的になることで、離婚の話し合いに紛糾を招くことになる」

\次のページで「「紛糾」の類義語との違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: