
「寛容」の意味と使い方・例文・類義語・対義語は?日本文学専攻の現役ライターがサクッとわかりやすく解説!
人の性質を表す語としてよく使われる語ではありますが、どのような場面で使うことができるのか、もしくは同じような意味のある「大らか」「寛大」といった語とは具体的にどのような違いがあるのかなど、中には疑問を抱いている方もいるかもしれません。
そこで、ここでは「寛容」の意味と使い方・例文・類義語・対義語などを、法律事務所の事務職として、弁護士が作成した文書の校正やマニュアル改訂作業を行った経験を持つ筆者が解説します。
「寛容」の意味は?
まず、「寛容」を辞書で引いてみると、以下のように解説されています。
心が広く、人の言動をよく受け入れること。また、人の過ちや欠点をきびしくせめないこと。
出典:明鏡国語辞典「寛容」
つまり、「他人の言動を受け入れること、他人の欠点などを不要にとがめないこと」といった意味があり、心の広さがある、人の良い性質を表す語となっています。
実はこの言葉は、英語の「tolerance」という言葉を翻訳するために、明治に入ってから作られた語で、もともとは、異なる宗教を受け入れることを指しました。
「寛容」の元となった「tolerance」は15世紀の近世ヨーロッパで生まれた概念です。
当時はヨーロッパ宗教改革の後、カトリックやプロテスタントなどの異なる宗教や異なる民族・価値観がぶつかり合う社会でした。
そんな中で生き延びるためには、異なる信仰や考えを持つ人たちを受け入れ、共存することが必要となり、「寛容の精神」という概念が生み出されたわけです。
現在では宗教に限らず、「他人を許し受け入れる」という広い意味で「寛容」という言葉が使われています。
「寛」という字は「ひろい」「ゆるやか」「くつろぐ」とも読むことができ、「ゆったりと広い」「ゆるやか」などの意味を持つ漢字です。
また、「容」という字は「許容」「容器」などの熟語に使われていることからもわかるように、「何かを受け入れる」「許す」という意味があります。
これら2つの字を合わせて、広い心で他人を受け入れるという意味で使われるようになったのですね。
「彼は仕事でミスをすることはほとんどないが、部下のミスには寛容な態度で接している。」
「彼は寛容な人だから、数分の遅刻であれば大目に見るだろう。」
「日頃寛容な彼でも、人を欺くような行為は許すことができなかった。」
「誠に恐縮ではございますが、ご寛容のほどお願い申し上げます。」
「寛容」の類義語
では次に、「寛容」と似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。
大らか(おおらか)・寛大(かんだい)
まず、これらの語には以下の意味があります。
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