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「兆し」の意味と使い方・例文・「前兆」との違いは?新聞記者歴29年の筆者がわかりやすく解説!

みなさんは「兆し(きざし)」というと、どのようなものをイメージしますか?日常では「春の兆し」「回復の兆し」などの形でよく用いられています。ですが、大まかな意味は分かっていても、具体的にはどのようなことを指すのか、また類語の「前兆」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。今回の記事では「兆し」の意味と使い方、また「前兆」との違いを、新聞記者歴29年の筆者が詳しく解説します。

「兆し」とは

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「兆し」「前兆」はともに、これから起ころうとすることに関わる言葉です。それがよいことなのか、悪いことなのかは問いません。いずれのケースでも使用が可能です。では、同じ意味なのかというと、実は違いがあります。

まず、「兆し」の意味や成り立ち、使い方から、紹介していきましょう。

「兆し」の意味

「兆し」は「萌し」と表記されることもあります。読み方は同じ「きざし」です。「物事が起ころうとする気配。兆候(徴候)」ということを意味します。

気配とは「周囲の状況から何となく感じられる様子」を表しますから、何がしかの変化・出来事などがすぐそばまで迫っているかのような雰囲気を、何となく感じさせるもの・ことを指す言葉です。

漢字の「兆」

漢字の「兆」は象形文字です。古い時代には、占いのために亀の腹甲や動物の骨を焼き、吉凶を判断しました。その表面にできたひび割れの形に由来しています。

こうしたルーツから、「兆」は神意(神の心・意志)を知る「きざし」の意味を持つようになったようです。

日本語の「きざし」

一方、日本語の「きざし」には複数の語源説があります。

1.「気差す(きざす)」の意味で、その気配が始まることを指していた。

2.「牙差す(きざす)」で、牙のような形に植物の芽が芽ぐむことから、芽生え始めのことを指した。

どちらが正しいかは分かりませんが、いずれにせよ「始まり」がキーワードだということは言えそうです。

つまり、人の意志が及ばないような現象が、これから始まりそう(起こりそう)な気配がするというときに「兆し」と表現するのが適切でしょう。

「兆し」の使い方・例文

では、以上を踏まえて、「兆し」の使い方・例文を見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

例文:

「嵐のような一晩が過ぎると、そこにはもう春の兆しがある」

「かつての大ヒット商品に、再び人気再燃の兆しがあるという」

「店舗改革のおかげか、久しぶりに客足が回復する兆しが見えてきた」

「彼の失脚以降、派閥は弱体化の兆しを見せ始めた」

「前兆」とは

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かなり近い意味で使われている「兆し」と「前兆」ですが、ある一点において明確な違いがあり、本来は置き換えられない言葉です。

では、「前兆」の意味と使い方を紹介していきましょう。

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